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2022年は客観的な予想を心がけます。

エリザベス女王杯(GI)展望

2007-11-08 23:30:37 | 見解
ウオッカ
ダービー馬が、復権をかけて女王統一を目指す。前走の秋華賞3着は、宝塚記念8着以来の実践。普段から掛かり気味に時計を出す気性で、好仕上がりだった。16番枠から中団を伺うも、首を左右に振り行きたがる。仕方なく後方にポディションを下げ、折り合いに専念する道中。その甲斐あって向こう正面ではピタリと折り合う。流れの落ち着いた残り700㍍あたりで外めを引っ張り切りの手応えで進出。4角で満を持して手綱が放たれるも、内回りでコーナーワークにぎこちなさを見せる。鞍上が右手綱を引いて必死に内へ誘導する。直線を向いて右手前のままグンと加速し、一気に差し切ろうかの勢い。だが、残り1F地点で左手前に替えると上位馬と同じ脚色になり、伸びあぐねてしまった。久々の影響も多分にあったろう。休養前の宝塚記念8着は、下見どころでは耳をキョロキョロと動かし、少し集中力を欠く面が見られた。2番枠からダービーと同じように前に馬を置きたかったが、雨馬場で他馬が外めに持ち出したために、ポッカリ前が開いてしまう。スタンド前でモロに掛かり、更にインティライミと接触するアクシデントが。本来なら息を入れるはずの1角でも前に壁を置けず。3角手前までずっと折り合いを欠いていた。そして、先行馬のバテた3角で積極的に押し上げる競馬。直線でインを突くも、そこから抵抗するスタミナは残っていなかった。雨馬場で1000㍍通過57秒5の乱ペースを、道中であれだけ掛かっては勝負にならなかった。ダービーのように壁を作りたかった。3走前mの東京優駿1着は、下見どころから17頭の牡馬に臆することなく落ち着き払った姿。フサイチホウオーが発汗でテンションが上がっていたのとは対照的。発馬直後は中団のインで我慢。初距離だけにスタンド前は口を割って行きたがる。だが、1角で平静を取り戻す。その後は至極順調に運び、3角では痺れるほどの手応え。ここで勝利を確信するほどだった。直線で前残りを図るアサクサキングスを一完歩毎に力強い末脚で迫り、ガァーッと伸びる伸びる。最後は3馬身の差を付ける圧勝。上がり3ハロンは驚異の33秒0。決め手を生かせる流れで存分に力を発揮した。64年ぶりの牝馬によりダービー制覇。ポテンシャルの高さは疑いようがない。しかし、前向き過ぎる気性で折り合いに難点がある。前走で抑える競馬をしたことで折り合いは付きやすいはずだが、一度叩かれてデキが上向いたことで行きっぷりが良過ぎる危険性もある。大トビで内回りの前走は4角でコーナーワークにぎこちなさを見せ、スピードに乗り切れなかった。広い外回りは大歓迎だ。折り合った時の爆発力はダービーで証明済み。あとは右手前の時に最高のパフォーマンスを見せる。右回りだと多少の割引きが必要。

ローブデコルテ
前走の秋華賞10着は、久々だが、乗り込み十分だった。18番枠からスムーズに中団を伺うも、若干ハミを噛んで力んでしまう。向こう正面の走りを見せても、どうもムキになっている。4角で追い出してからの反応も悪く、外から一気にウオッカに被される。直線で内にモタれ、鞍上がハミをかけ直して反応を待つも、そのまま馬群に沈んでしまった。久々が応えたか。前々走のアメリカンオークス5着はレース中に鼻出血を発症した。度外視。3走前の優駿牝馬1着は、課題の発馬を決めて前へ。だが、鞍上は手綱をグッと抑えて中団まで位置取りを下げる。緩みない流れで結果的には好判断だった。直線で外めの位置取りをするも、ミンティエアーに進路を阻まれ、残り2Fを切った坂上で大外に進路を切り替える。そこから力強い末脚でグイグイ伸びる。ゴール前で僅かに差し切り、ヴィクトリー。前走の内容がいかにも地味。中距離で上がりの掛かる展開を差す競馬を得意としているが、このメンバーでは強気になれない。

スイープトウショウ
久々で予定していた京都大賞典を追い切りが行えずに回避。ここまで復帰戦がずれ込んだ。18㌔増で明らかな太目残りだった。それでも、スプリント寄りの速い流れに戸惑うことなく中団を追走できたのはさすが。2番枠で終始、馬場の悪いところを通らされるも、直線で馬場の良い大外へスムーズに持ち出す。ゴール100㍍手前までは突き抜けるかの脚を見せた。最後は失速したものの、久々でこれだけやれれば十分。昨年のこのレースは休み明けの京都大賞典激走の反動で万全の状態ではなく、道中は縦長の速い流れを後方でカワカミをマークする形。終始、いい形で進められ、フサイチ→カワカミが動いた3角の下りから4角で、同馬も外を通ってポディションを上げる。直線で馬場のいい大外へ持ち出し、差し切りも狙える圏内にいたが、思ったほど弾けず、伸び切れなかった。ゼンノロブロイ、ハーツクライといった超一流牡馬を粉砕した宝塚記念、33秒台の抜群の脚力で一蹴した一昨年のエリザベス女王杯に04年の秋華賞。とにかくペースの緩急問わず一線級の牡馬相手にも通用する決め手を持っている。相変わらず馬場入りを嫌がっているが、実践を一度使われ、最終追いも坂路でビッシリやれた。態勢は整ったと見たい。

キストゥヘヴン
2走前の安田記念8着は、好発から抑え切れない手応えで好位へ。道中はなだめるのに精一杯。流れを考えれば位置取りは正解。直線入り口、外のジョリーダンスに寄られ、内のダイワに進路を阻まれる。だが、仕掛け開始前だったし、何ら問題ない程度。いざ、追い出しを開始させてからはジリジリとバテずに懸命に脚を伸ばすも、今ひとつスパッとは切れなかった。やはり、この馬はタメての切れ味勝負が持ち味と思っている。今回の馬場で後方から競馬していては、どちらにしても厳しかったのは確か。3走前のヴィクトリアM4着は発馬直後から抑え切れない手応えで3番手へ。終始、抜群の行きっぷりで3角で早めに2番手へ。直線で馬群に飲み込まれそうになったが、渋太い脚で粘りに粘り、勝ち馬からコンマ3秒差だった。4走前の中山牝馬S5着は1角でゴチャつき、最後方からの競馬。腹を括って最後方から直線でインを突く。だが、狭いところに入ってしまい、なかなか抜け出せなかった。マイルの速い流れで一瞬の爆発力を生かすのがベスト。2200㍍はいかにも長いし、最後の切れ味が鈍る。

ディアデラノビア
前走の府中牝馬S4着は、緩い流れを中団から引っ張り切りの手応えで追走。終始、経済コースを通ってロスのない競馬。直線を向き、楽な手応えのまま3番手まで押し上げ残り2Fを切ったところで追い出しを開始。だが、一瞬は伸びかけたもののゴール前で脚色が鈍ってしまった。一瞬の爆発力は今冬の京都牝馬Sで証明済み。だが、それが長続きしないのがネック。いかにも府中は乗り難しい。今回は得意の京都コースに舞台を移し、鞍上に武豊を迎える。怖い。

ディアチャンス
前走の札幌記念4着は、4番枠から前半は気合いを付けながら中団へ。インを通るも、道中の手綱のアクションに余裕がない。常に気合いを付けながらだった。しかも、スローで馬群が固まったために三分三厘で動けず位置取りを落とす。ようやく4角で仕掛けて、直線で狭いところを鋭い脚で迫るも、僅かに届かなかった。前々走のクイーンS3着は、発馬直後にスッと最後方に下げる。一頭ポツンと置かれる形。他馬が仕掛けを開始させた三分三厘でも動かず。ようやく4角で馬群のなかに突っ込むと、直線で左手綱を引いて外へ誘導。ラスト1Fで外から猛然とスパートするも、小回りコースで前が楽をしていては捕らえられなかった。3走前のマーメイドS1着は、下見どころで鞍の下の発汗が目立った。だが、レースへ行けばシェルズレイの作る速い流れを5番手でスムーズに流れに乗る。併走していたライラプスが動き出した残り4~3F地点でも慌てずジックリ。インで我慢する。仕掛けを開始させたのは直線に入ってから。先行馬が膨らんでできたインを突く。鞍上の右ステッキに応えてグンと加速。残り1F地点で逃げ馬の外めへ持ち出し、左ステッキが放たれる。この時、内へ寄れてヒヤリとしたが、すぐに左手綱を引いて修正。そこから、もうひと伸びして後続の追撃を封印させた。レース運びに安定感がある。2000㍍も全く問題なかった。ここ2走は小回りの札幌で脚を余す結果になっている。テンに行けなくなっているし、ズブくなっている。三分三厘に下り坂があり、広い京都に替わるのは多いにプラス材料。最後の決め手はここでも通用する。展開さえ向けば一発も。

フサイチパンドラ
前走のエルムS11着はダート戦で度外視。前々走の札幌記念1着は、馬インフルエンザの影響で中間に2度の熱発に見舞われ、万全には程遠いデキだった。それでも、1番枠から単騎逃げに持ち込み、直線で天皇賞2着のアグネスアークに寄られながら振り切った。3走前のクイーンS5着は、イレ込みがきつく、小回り札幌で中団から立ち回るもスムーズさを欠き、ゴチャついて全く力を発揮できなかった。今春のマイル2戦は距離不足で決め手の差が出た。度外視。昨年のこのレースは、道中、縦長の速い流れのなか、後方で末脚を温存。前走時から下を縛り、ハミを替えたことと、激流のおかげで折り合いは完璧。3角の下り坂で外目をジワリと進出。残り3ハロン地点で一気に仕掛け、先団へ取り付く。直線も馬場のいい大外へ持ち出すと力強いフットワークで駆け抜け、カワカミに末脚には屈したものの、2位入線を果たした。終始、目標にされる苦しい展開で自ら動く横綱相撲。内容は文句なし。速い流れで持続力を生かせた。中距離の上がりの掛かる展開を理想とし、昨年はまさに理想の条件だった。スローなら自らハナへ立って平均ペースの流れを刻めば良い。

アドマイヤキッス
前走の府中牝馬S3着は、緩い流れをジッと中団のインで我慢する。終始、経済コースを通って脚をタメる。直線で追い出しを開始するも、ずっと逆手前のまま。ジワジワと伸びてはいるものの、爆発しなかった。手前を替えていればもうひとつ上のギアが使えた。前々走のクイーンS4着は、発馬で行き脚つかず後方からの競馬。ジッと折り合いに専念し、馬群の固まった4角で引っ張りきりの手応えのまま馬群に突っ込む。だが、追い出してから脚色は案外で、フワフワして手応えほど伸び切れなかった。昨年のこのレースは、Hペースを3角から攻めて直線でバテた。控えても行ってもあと一歩が足りない。今春の安田記念同様、インをロスなく立ち回ってどこまで。

アサヒライジング
前走の府中牝馬S2着は、15番枠から無理することなく3番手の外を追走。終始、引っ張りきりの手応えで、4角では抑えるのに苦労するほど。直線でスッと左手前に替え、楽な手応えのまま先頭へ躍り出る。だが、坂を上った残り300㍍地点で右ステッキが入ると、左手前に替えて伸びを欠く。鞍上も懸命に追って粘るも、勝ち馬に差されてしまった。前々走のクイーンS1着は、1番枠からコーナーワークを利してハナへ。他馬に競られることなく楽な逃げ。三分三厘で除々に気合いを付けて直線で二の脚で突き放した。3走前のVマイル2着は、道中は3番枠からスッとハナへ。前走で1400㍍の速い流れを経験しているだけ2ハロン目から10秒8-11秒7-11秒8のラップを楽に刻む。4角手前からペースアップし、直線は馬場の良い4分どころへ。そこから11秒2-11秒2と一気にスパート。本来なら押し切っても不思議でないが、勝ち馬の決め手にやられてしまった。それでも、テン3ハロンを34秒8で入り、直線入り口で11秒2-11秒2の脚を使ったのは立派だった。決め手はそんなに鋭くないが、平均ペースの走りを得意とし、持続性がある。逃げ馬不在のここ、ハナを切って淀みない流れを刻めれば。

ダイワスカーレット
下見どころからヒ腹に汗をかき、若干テンションが高かった。レースでも13番枠からハナを主張するも、内のヒシアスペンも引き下がらず、掛かり気味になる。だが、2角でスッと2番手に下がると、その後はスムーズに折り合いに専念する。逃げ馬がペースを落とした向こう正面でも馬群は縮まらず。2番手のダイワにとって絶好の展開。逃げ馬がバテた三分三厘の残り3F地点で抑え切れない手応えで先頭へ。そこから得意の2段ギアを屈指し、突き放す。後続の追撃も余裕綽々で退けて快勝した。展開が向いたことは確かだが、1角でムキになりながら、スッと鞍上の指示に従順で控えられた。成長している。前々走のローズS1着は下見どころから落ち着き十分で、好仕上がり。好発を決め、外2頭を見ながら押し出されるようにハナへ。一瞬は行きたがる素振りを見せるも、すぐに鞍上の指示に従い、ペースを落とす。1000㍍通過60秒4の超スローでもスムーズな折り合い。4角まで他馬に競りかけられることなくジックリと脚をタメる。直線を向いて持ったまま、迫るレインダンスを振り返る余裕ぶりを見せる。ようやくラスト1ハロン手前で追い出しを開始。坂上で迫るレインを二の脚で突き放す。最後は手綱を抑える余裕ぶりで完勝した。3走前の桜花賞1着は、大外枠発走から前のアストンマーチャンを追いかけて3角でモロに掛かってしまう。その後は3番手の外めで折り合い、直線へ。外からウオッカが寄ってくると、左手綱を引いてプレッシャーをかける。坂下で並びかけられると、もう一度右ステッキで馬体を併せる。相手が怯んだところを一気に突き放して戴冠。天性のスピード性能に加え、鞍上に従順で折り合いも付く。加えて6戦連続して上がり3F33秒台の切れ味。自分でレースを作れる強みがあり、不発はない。今回、初の2200㍍で今までで一番厳しい競馬になるかもしれない。だが、すっと好位に控えることは可能だし、流れによってレースを組み立てられる。真ん中より外枠がほしい。


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