◎イスラーム 17 豚肉食
★食物規定
・ある宗教内部で、どのような食物は食べてよいか、またそれらをどのように料理すべきかを定めた伝統的な体系的戒律(「世界宗教事典」教文館)
○ヒンドゥー教やジャイナ教の一部では、「不殺生」の教えにより、動物の肉すべてが禁じられている
ヒンドゥー教徒は牛を神聖視するため、牛の肉は食べない
「不殺生」の教えによれば、食べるために動物を殺すことも暴虐とみなされるため、「不殺生」の実行者は菜食主義者となる
仏教において「不殺生」は、他の生物に対する愛の表現である
○ユダヤ教の食物律法で適正な食物とみなされるものや、それらの適正な料理法はコシェルと呼ばれる
肉はひづめが分かれ、反芻する動物のものしか食べてはならないので、うさぎ、豚(反芻しない)は食べてはならない
血を食べることも禁止されているので、肉は血を抜いて食べる
肉と乳製品を混ぜることは禁じられている
うなぎ、貝、エビ、カニは食べてはならない
動物の肉は正しい仕方でされたものであることが必要である
○模範的なユダヤ教徒は、シナゴーグか家で食前に30分の祈りを捧げ、朝食前に手を洗って食前の祈りを捧げ、会食中の話題には必ず「タルムード」を選ぶ
食後にも祈りを捧げて、仕事に向かう
午後も5分ほどの祈りを行う
夜には近くのアカデミーや食堂で「タルムード」を学習する
ただし、このような生活を厳格に営んでいるユダヤ人は少数派であるという(「世界宗教事典」村上重良、講談社学術文庫)
●ハラール(許容されたもの)
ユダヤ教の影響を受けたイスラームの食物規定で合法的な食品をハラール食品という
ハラールの反対語はハラーム(禁止行為)で、「豚肉食」は禁止されている
豚は不浄物とされていて、豚は飼育・売却ともほぼ禁止されている(売却には異論もある)
○「豚肉食」が禁止された理由ははっきりしない
腐った肉や、得体の知れない肉は疫病の危険性がある
○ムスリムはライオン、トラ、蛇、犬、猫、ネズミ、ワニ、亀、カエルなどの肉も食べない
●クルアーンより
・「アッラーが汝らに禁じ給うた食物といえば、死肉、血、豚の肉、それから(屠る時に)アッラー以外の名が唱えられたもののみ。それとても、自分から食い気を起したり、わざと(神命に)そむこうとの心からではなくて、やむなく(食べた)場合には、別に罪にはなりはせぬ」(第2章168節)
・「汝らが食べてはならぬものは、死獣の肉、血、豚肉、それからアッラーならぬ(邪神)に捧げられたもの、絞め殺された動物、打ち殺された動物、墜落死した動物、角で突き殺された動物、また他の猛獣の啖(くら)ったもの―(この種のものでも)汝らが自ら手を下して最後の止めをさしたもの(まだ生命があるうちに間に合って、自分で正式に殺したもの)はよろしい―それに偶像神の石壇で屠られたもの。それからまた賭矢を使って(肉を)分配することも許されぬ」(第5章4節)
・「わしに啓示されたものの中には、死肉、流れ出た血、豚の肉―これは全くの穢れもの―それにアッラー以外の(邪神)に捧げられた不浄物、これらを除いては何を食べても禁忌ということにはなっていない」(第6章146節)
など
○ザブフ
動物(牛、羊、ヤギ、鶏など)をイスラーム法の定めた方法で屠ること
ザブフの方法で屠られた動物はハラールな食糧となる
ザブフの方法は、ムスリムがザブフの意志表明を行い、「ビスミッラーヒ、アッラーフ・アクバル(アッラーの御名によって、アッラーは偉大なり)」と唱え、動物の頚動脈を鋭利な刃物で切断し、血を抜く
ザブフを行われた動物は、供犠とはことなる
海の魚や動物については、ザブフを行わなくてもハラールとなる
調味料にアルコールやアルコール由来成分が含まれていないこと
豚肉や豚骨などを原料としたものが入っていないこと
●日本でハラームでない食品を探すのは困難
○日本の方法はハラームなので、牛肉や鶏肉でも食べられない
ラーメン、牛丼や親子丼は食べられないことになる
しかし、日本でムスリムが妥協して牛肉などを食べても罪にはならない
日本国産のハラール認証されたインスタントラーメンはある
寿司は、酢の原料にアルコール成分が入っている場合があるから食べられないだろう
また、豚肉を切った包丁、まな板、豚肉を入れたお皿もハラームになる
・厳格にハラールの規定を守る人は、日本ではパン(動物性油脂のショートニングが入っている)、ケーキ(洋酒などの酒精成分が入っている)、チョコレート、ゼリー(牛の骨から作られたゼラチンが入っている)も食べない
○全日空では国際線でハラール認証の機内食メニューを提供している
○東京オリンピックに向けてハラール認証のメニューを提供するハラール認証レストランやホテルの需要が高まるだろう
○ハラール認証食品はビジネスチャンスになるだろう
★イスラーム法では「必要は禁止物を許容に変える」という立場がとられている(「イスラームの生活を知る事典」、塩尻和子・池田美佐子、東京堂出版)
○ハラール食品がないときは、豚肉が排除されていれば、ユダヤ教徒やキリスト教徒がそれぞれの規定に従って処理した肉を食べてもよい
それさえも入手できないところでは、出された食肉を食べても「許容」される
●知らないで豚肉を食べる場合や、餓死の危険があるという極限状態では、生命維持のために豚肉であっても、死肉でさえも食べることが許される
●病気治療のためにアルコールを含む薬剤の処方は許可されている
★食物規定
・ある宗教内部で、どのような食物は食べてよいか、またそれらをどのように料理すべきかを定めた伝統的な体系的戒律(「世界宗教事典」教文館)
○ヒンドゥー教やジャイナ教の一部では、「不殺生」の教えにより、動物の肉すべてが禁じられている
ヒンドゥー教徒は牛を神聖視するため、牛の肉は食べない
「不殺生」の教えによれば、食べるために動物を殺すことも暴虐とみなされるため、「不殺生」の実行者は菜食主義者となる
仏教において「不殺生」は、他の生物に対する愛の表現である
○ユダヤ教の食物律法で適正な食物とみなされるものや、それらの適正な料理法はコシェルと呼ばれる
肉はひづめが分かれ、反芻する動物のものしか食べてはならないので、うさぎ、豚(反芻しない)は食べてはならない
血を食べることも禁止されているので、肉は血を抜いて食べる
肉と乳製品を混ぜることは禁じられている
うなぎ、貝、エビ、カニは食べてはならない
動物の肉は正しい仕方でされたものであることが必要である
○模範的なユダヤ教徒は、シナゴーグか家で食前に30分の祈りを捧げ、朝食前に手を洗って食前の祈りを捧げ、会食中の話題には必ず「タルムード」を選ぶ
食後にも祈りを捧げて、仕事に向かう
午後も5分ほどの祈りを行う
夜には近くのアカデミーや食堂で「タルムード」を学習する
ただし、このような生活を厳格に営んでいるユダヤ人は少数派であるという(「世界宗教事典」村上重良、講談社学術文庫)
●ハラール(許容されたもの)
ユダヤ教の影響を受けたイスラームの食物規定で合法的な食品をハラール食品という
ハラールの反対語はハラーム(禁止行為)で、「豚肉食」は禁止されている
豚は不浄物とされていて、豚は飼育・売却ともほぼ禁止されている(売却には異論もある)
○「豚肉食」が禁止された理由ははっきりしない
腐った肉や、得体の知れない肉は疫病の危険性がある
○ムスリムはライオン、トラ、蛇、犬、猫、ネズミ、ワニ、亀、カエルなどの肉も食べない
●クルアーンより
・「アッラーが汝らに禁じ給うた食物といえば、死肉、血、豚の肉、それから(屠る時に)アッラー以外の名が唱えられたもののみ。それとても、自分から食い気を起したり、わざと(神命に)そむこうとの心からではなくて、やむなく(食べた)場合には、別に罪にはなりはせぬ」(第2章168節)
・「汝らが食べてはならぬものは、死獣の肉、血、豚肉、それからアッラーならぬ(邪神)に捧げられたもの、絞め殺された動物、打ち殺された動物、墜落死した動物、角で突き殺された動物、また他の猛獣の啖(くら)ったもの―(この種のものでも)汝らが自ら手を下して最後の止めをさしたもの(まだ生命があるうちに間に合って、自分で正式に殺したもの)はよろしい―それに偶像神の石壇で屠られたもの。それからまた賭矢を使って(肉を)分配することも許されぬ」(第5章4節)
・「わしに啓示されたものの中には、死肉、流れ出た血、豚の肉―これは全くの穢れもの―それにアッラー以外の(邪神)に捧げられた不浄物、これらを除いては何を食べても禁忌ということにはなっていない」(第6章146節)
など
○ザブフ
動物(牛、羊、ヤギ、鶏など)をイスラーム法の定めた方法で屠ること
ザブフの方法で屠られた動物はハラールな食糧となる
ザブフの方法は、ムスリムがザブフの意志表明を行い、「ビスミッラーヒ、アッラーフ・アクバル(アッラーの御名によって、アッラーは偉大なり)」と唱え、動物の頚動脈を鋭利な刃物で切断し、血を抜く
ザブフを行われた動物は、供犠とはことなる
海の魚や動物については、ザブフを行わなくてもハラールとなる
調味料にアルコールやアルコール由来成分が含まれていないこと
豚肉や豚骨などを原料としたものが入っていないこと
●日本でハラームでない食品を探すのは困難
○日本の方法はハラームなので、牛肉や鶏肉でも食べられない
ラーメン、牛丼や親子丼は食べられないことになる
しかし、日本でムスリムが妥協して牛肉などを食べても罪にはならない
日本国産のハラール認証されたインスタントラーメンはある
寿司は、酢の原料にアルコール成分が入っている場合があるから食べられないだろう
また、豚肉を切った包丁、まな板、豚肉を入れたお皿もハラームになる
・厳格にハラールの規定を守る人は、日本ではパン(動物性油脂のショートニングが入っている)、ケーキ(洋酒などの酒精成分が入っている)、チョコレート、ゼリー(牛の骨から作られたゼラチンが入っている)も食べない
○全日空では国際線でハラール認証の機内食メニューを提供している
○東京オリンピックに向けてハラール認証のメニューを提供するハラール認証レストランやホテルの需要が高まるだろう
○ハラール認証食品はビジネスチャンスになるだろう
★イスラーム法では「必要は禁止物を許容に変える」という立場がとられている(「イスラームの生活を知る事典」、塩尻和子・池田美佐子、東京堂出版)
○ハラール食品がないときは、豚肉が排除されていれば、ユダヤ教徒やキリスト教徒がそれぞれの規定に従って処理した肉を食べてもよい
それさえも入手できないところでは、出された食肉を食べても「許容」される
●知らないで豚肉を食べる場合や、餓死の危険があるという極限状態では、生命維持のために豚肉であっても、死肉でさえも食べることが許される
●病気治療のためにアルコールを含む薬剤の処方は許可されている