よしーの世界

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家康、江戸を建てる   門井慶喜

2022-03-23 06:41:29 | 
小田原城落城後、初めて徳川家康が江戸に赴き、目にした江戸城は想像以上のお粗末さであったと

いう。そして江戸はほとんどが水浸しの低湿地だった。家康がこの地を天下の中心にするために川

を移動することから始めた。大工事である。家康の下知を賜った伊奈家三代四人に渡る大事業で、

江戸湾に注ぐ利根川を鹿島灘に注ぐようにした。これにより江戸の町は拡大し、豊かな実りをもた

らした。


国のトップに立つ人間は民衆(国民)を豊かにするための理想(グランドデザイン)が必要だ。た

だトップに立つことだけが目的ではいけない。そしてプーチンのように自分の野望だけが先行して

はいけない。いずれも民衆(国民)は不幸に陥る。


徳川による治世は二百六十年も続いている。その間日本国内では大きな戦は起きていない、これは

世界に類を見ない、家康の構想は見事だったと言わざるを得ない。未だに江戸時代の暮らしぶりに

関してエコであるとして関連本がとても多い。私もとても興味があり何冊も読んでいる。


本書では川の流れを変え、金貨を鋳造し、飲料水を確保し、江戸城の石垣を積み、天守閣を建てる、

それぞれの事業が語られている。歴史上の著名人ではないが、プライドを持ち仕事を達成する人々

は魅力的だ。読み物としても面白いし、江戸時代を知る上でもいい本だと思う。


       家康、江戸を建てる   門井慶喜         祥伝社文庫
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