よしーの世界

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レバノンから来た能楽師の妻   梅若マドレーヌ

2021-09-23 07:56:55 | 
レバノン?も能楽師?も殆ど無知のワードだ。内戦が続くレバノン国内には18を超える宗教、宗派が

存在しているという、内戦のきっかけはイスラム教徒とキリスト教徒との間に起こった局所的な武力

衝突であったが、さまざまな宗派の民兵組織のあいだで戦闘が続き、著者は家族と離れベイルートを

脱出する。著者は姉が住む日本に来日し、梅若猶彦と出合うが、当時は猶彦が能楽師とは知らなかっ

たという。


言葉も文化も全く違う世界で、さらに能という日本でも独特の世界に足を踏み入れた著者は戸惑いな

がらも、その意志の強さと前向きな性格で能を世界に広める広報活動、日本と海外との慣習、教育の

違いに翻弄される二人の子供たちを育てることに邁進する。


日本の伝統芸能は内向きだ。その世界は外の世界との交流を拒絶する傾向が強い。著者も「しきたり」

に悩むが義母の理解と夫の協力もあり、自然体を心掛け自分の出来ることを熱心に続けることが出来

るようになる。本書の中身は古典としての能、能と他の演劇との交流、海外に散らばる著者の家族、

著者の日本での生き方、子育等々幅広い。一つひとつをテーマごとに分けて別に本を書いても良さそ

うだ。以前から少しだけ興味があった能を体験したいと思うようになった。やっぱり本は面白い。知

らない世界をまた一つ見ることが出来た。


レバノンから来た能楽師の妻       梅若マドレーヌ 竹内要江訳     岩波新書




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