外国と比較して「日本的快適さ」とは例えば時間通りに電車が来て、お店はオープンする時間に
開いている。当たり前のようだが、例えばロンドンの地下鉄はよく遅れるという、急に止まって、
電気も消えて、真っ暗のまま10分以上止まっていることも珍しくない。翻って日本ではその快適
さを好むために、いつも時間に追われ、いつも時間を気にする「日本的息苦しさ」に繋がる。
本書の中で傑作なのは、第二次世界大戦時のCIAの秘密資料を取り上げたところで、組織の生
産性を落とすための「サボり方ガイド」で、いくつか紹介すると
「注意深さを促す。スピーディーに物事を進めない」
「可能な限り案件は委員会で検討。委員会は大きく」
「何事も指揮命令系統を厳格に守る」
「前回の会議で決まったことを蒸し返す」
「文書は細かな言葉尻にこだわる」
「ペーパーワークを増やす」
「業務の承認手続きをなるべく複雑にする」(かなりカットしています) 等々
日本の組織にことごとく当てはまる内容になっている。
あとがきで著者は日本において「自助」「共助」は強調されても、「公助」を求めると、「甘え
ている」とか「自己責任」「税金の無駄遣い」と言われる国だと指摘し、ますます「家庭」と「
世間」が崩壊した人が増えていくと予想します。その上で早急に信頼に足る「社会」の受け皿を
充実しておくべきだと。
世間ってなんだ 鴻上尚史 講談社+α新書
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