珈琲はコーヒーノキというアカネ科の植物の種子(コーヒー豆)から作られる飲み物で、お茶
やココアと同様にカフェインを含み、気分転換や眠気覚まし、ストレスの緩和などに効果を持
つという。その総消費量は1日あたり約25億杯で、水、お茶に次ぐ世界第3位の飲み物だそ
うです。
コーヒーの原料となるコーヒーノキは、アフリカ大陸原産の常緑樹、熱帯産で寒さに弱く、熱
帯から亜熱帯で栽培されている、しかも標高が高い山地の森の中の植物のため、強い日差しや
暑さに割と弱いという特性があり、大消費地であるアメリカ、ヨーロッパ、日本などの環境で
は育ちにくいところも流通の上で歴史上様々な軋轢を生んだことが想像できる。
コーヒーと人との出会いは相当に古いと思われますが、文献が残されておらず検証は難しい。
ただ、コーヒーの実を口に含んで興奮したり、疲労が回復したというエピソードは残っており、
その実を摘み乾燥させ、焙煎して抽出したりするのは、さらに後の話。
コーヒーがヨーロッパに伝わり、専門店が出来、誰でも入店できる(男性が中心)ところから
アルコール抜きでさまざまな議論が出来る場となり、商談にも利用されるようになり、後々フ
ランス革命の発端の場にもなります。
コーヒーを世界に遅れて明治初期に体験することになる日本は、戦後から1980年代までの間に
焙煎や抽出の技術を国内で独自に研究し、独特の進化を遂げ、2000年代に世界から注目される
ようになります。
他にも珈琲にまつわるエピソードがいくつも掲載されていて、とても面白い本です。
珈琲(コーヒー)の世界史 旦部幸博 講談社現代新書