![]() | トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA) |
高殿 円 | |
早川書房 |
「トッカン」・・・特別国税徴収官。税金滞納者からの取り立てを行う。
主人公・鈴宮深樹(すずみやみき)。25歳。東京国税局京橋地区税務署の特別国税徴収官・鏡雅愛(かがみまさちか)付きの
新米徴収官です。
言いたいことを言えずにすぐに「ぐ」と詰まってしまうので、「ぐー子」とあだ名されています。
神戸出身の一人暮らし。服装はいつも黒のスーツのため、上司・鏡トッカンからは「葬式女」とも呼ばれています。
鏡トッカンは鬼上司・冷血無比。
「ハスキー犬を怒らせて飢えさせ、さらに尻尾を踏んづけたような顔」。
34歳。
移動はいつも自転車で、車には絶対乗らない男です。
グー子はトッカン・鏡のもとで、連日税金滞納者の取り立てに奔走しています。税金を払いたくても
払えない人たち、払えるのに払わない人。
さまざまな思いを抱えた人たちとかかわりあいながら、税金とは、そして仕事とは何かということを
学んでいきます。
税務署、ましてや国税局という機関は、一般人にはあまり縁のないところでしょう。
グー子の属する管理・徴収部門は税金の滞納者からの取り立てと、納税相談が主な仕事です・・・。
といえども庶民にすれば、本書にもありますが税務署=「国の取り立て屋」。税務署職員は国から手厚く保護されている公務員など
見えにくいがゆえに抱かれているイメージもよいものではないのかも。
しかし「トッカン」を読んでいくと、話にグイグイ引き込まれ、おまけに税金の仕組みや税務署・国税局の仕組みまで
理解できるというメリットまでもが付いてきます。
仕事に誇りを持ち、相手の気持ちにも寄り添う業務ができたら・・・『トッカン』が遠い世界の話ではなく
自分の問題としてもとらえれます。それがこの本が大ヒットした理由でしょうかね。
2012年にテレビドラマ化されました。
鈴宮深樹・・・井上真央
鏡雅愛・・・北村有起哉
当時は気にも留めなかったのですが、今はちょっと観てみたい気もします・・・。