ねこなんて大っ嫌い

ってずっと思ってたのに。
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息子へ 第13話 (不思議なえにし)

2020-01-20 05:55:55 | 「息子へ」
息子が結婚して家を出る時(今から12年前)に、私から息子へのはなむけの言葉として持たせた「息子へ」という一冊の小冊子。そこから抜粋した、今回は第13話(不思議なえにし)をご紹介します。

少々長いので、どうかお時間のある時にご覧ください。


縁という言葉がある。
(「えん」「ゆかり」「えにし」等と読む)
この言葉にふれる度に
私はおまえのことを思わずにはいられない。


おまえと私はとても縁が深いと
私は思っている。
そもそも親子なのだから
そんな風に考えるのは可笑しいってこと
勿論わかっているよ。


だけど、おまえと私との間に起こる様々な偶然は、
他の誰とも起こったことのない
不思議な出来事が多かったと
今も時々思い出して
一人笑ってしまうことがある。



おまえが中学3年の時、
私が背骨を骨折したあの事故の時も
救急車が来る前に
おまえは偶然現場を通りかかった。
そしてケガをした私より
青い顔をして?救急車に乗り
病院まで付き添ってくれた。



高校時代も専門学校時代も
お互い通勤通学の路線は逆方向だったし、
帰宅時間も変則的だったのに
駅でバッタリ会うなんていうことは
数知れなかった。
就職して路線が一緒になってからも
メールのやり取りで


修平(仮名)「今どこ?」
私 「〇〇駅だよ」
修平「え?オレもなんだけど」
私 「え?もしかして同じ電車?おまえ、何両目?」
修平「後ろの方だよ」
私 「私、最後尾だけど・・・!」
車内を見回して隣同士の車輌で
お互い目が合って笑ったこともあったね。



5分に1本走っている10両編成の電車で
待ち合わせたって会うのは難しいのに
本当に気味が悪いくらい
一緒になった。


「おまえさぁ、もしかして、私のストーカーやってんの?」笑

「っていうか、あなたこそオレのこと
つけ回すのやめてくんない?」笑



そして極めつけはあれだったね。


おまえが専門学校に通い始めたある日。
私が仕事から戻ると
食卓のテーブルの上に
インターネットの情報をプリントした
1枚の紙があった。
「あれ?何だろう・・・」

プリントされていたのは居酒屋さんの情報だった。



・・・・・・・・・・・・!?



ここ1年位、私が仕事帰りに時々立ち寄るお店。
カウンター左端の席が、
私の指定席のようになっている店だ。




店員さんの対応はいいし、料理も美味しい上にとても安い。
店長らしき人も、愛想はいいけど、余計なことを一切喋らない、
私好みの店だった。
(私の発する「話しかけないでオーラ」を無視して
話しかけてくる人は世の中に結構多い。
だが必要最小限の返答しかしない私とは、当然話は弾まない)



人見知りの私が、
一人で楽しめる唯一の店。



おまえが帰宅するのを待って早速聞いた。
「ねぇ、ねぇ、あのプリントアウトしたお店、何なの?」
「あ、あれさぁ、今度のバイト先。
ネットで探してさぁ、
明日面接なんだけど、どこにあるかよく分からないんだよ。
あなた知ってる?」


「えーーーーーー!?
やだぁー。
やめてよ~!!!
あの店、私のオアシスなんだからさぁ・・・
居酒屋さんなんて他にも掃いて捨てるほどあるじゃないーー!」


「まじで言ってんのー?
だって、もう面接決まっちゃったよー。」


翌日、約束の時間に面接を受けに行ったおまえは、
即決、採用になったよね。


「うちの母が時々お店に来ているようなんですよ・・・」

「えーーーーー?そうなの?お母さんって?どんな人かなぁ・・・」

「いつもカウンターの一番左の席で、日本酒二合飲みながら
本読んでるみたいなんですけど・・・」

「あー、あー、あの人かぁ!!
へぇーーー、そうだったのー、ビックリだねー。」


私にとっての大切なオアシスを
これで捨てなきゃダメなのか?・・・という懸念は、
その後あっさり消えた。
最初はちょっと
照れくさくて気まずかったけど、
おまえの接客は完璧で、
他のお客さんに親子だと気付かれたことは
一度もなかったね。


むしろ、私が本からちょっと目を上げると、
すぐにこちらに気付いてくれるおまえがいて、
私はこれまで以上に
快適な時間を過ごせるようになった。
(「お待たせ致しましたー。〇〇でございまーす」と愛想よく
息子に作ってもらった美味しい物を運んで貰える幸せ!!)



だけど、驚くのはそれだけじゃなかったんだよね。
あの店の店長さん、
10年前に購入したうちのマンションの
前の持ち主だったって事がわかったんだよね。


そう言えば
店に置いてある「食品衛生管理者証」を見た時に
一瞬どこかで見たことのある名前だと思った記憶がある。
(珍しい名字だからね)



この辺りはマンションが林立する住宅街。
しかもこのマンションだけでも
総世帯数200件以上あるのに、
その中の「1件」の符合には
本当に驚いたよね。


今も何かって言うと、
みんなであの店に集まって、
美味しいお酒と美味しい料理を楽しんでいる。
我が家にとって
なくてはならない大切な空間。
そこへ導いてくれたのは
やはり
不思議な縁だったのではないかと思うんだよ。



あの店は、今はもう移転してしまい、思い出の中だけの場所になってしまいました。時は流れています、仕方のないことです。

母かずえの施設からは「何かあったら連絡します」とのことで、お餅つき会の準備の最中も本番中も、時折スマホに着信がないかと確認しましたが、結局連絡はありませんでした。お陰で「豚汁担当」を無事に全う出来ました。直径50cmほどの大鍋に、全部で10杯作り、見事完食して頂きました。

今日は母の施設にこちらから電話してみようと思います。

既投稿の記事を貼ってみました。宜しかったらご覧ください。
「息子へ」第1話 (偶然の幸運)
「息子へ」第2話 (ザルで水を汲む如し)
「息子へ」第3話 (たこ食った事件)
「息子へ」第4話 (目から鱗)
「息子へ」第5話 (父親みたいな人)
「息子へ」第6話 (忘れてはならないこと)
「息子へ」第7話 (思春期の困惑)
「息子へ」第9話 (高校生活)
「息子へ」第11話 (勉強の楽しさ)
「息子へ」第12話 (愚かな母)


第8話・第10話は割愛しております
長い割にオチのない話に
最後までお付き合いくださって
ありがとうございました。笑
2つのボタンをぽちっとして頂けると、と~っても嬉しゅうございます


  
ポチ、ありがとうございました~

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