親子でつながる子育て~抱っこ法~

抱っこ法の考え方をもとに、子育て中の親子やハンディを持つ方など、たくさんの方の心の支援を行っています。

障がいのある方の心のケア6 ~心の中のコップ~

2013年02月20日 | 障がいのある方の心のケア ネットワーク

こんにちは永井です。

前回の障がいのある方の心のケア5では、心の中にある、ストレスのコップについてご説明しました。

今日は、このコップについて、もう少し詳しく説明したいと思います。

 

障がいのある方の心のコップは、我々に比べて小さくて、すぐにあふれてしまうと説明しました。

では、なぜこの心のコップが小さいのでしょうか?

 

我々は、生まれたときから、この心のコップを持っています。

赤ちゃんの頃は、このコップはとても小さくて、

お腹がすいたらコップが溢れて泣き、おしっこをしては泣き、

扱ったり寂しかったら泣きと、小さなコップを何度も溢れさせます。

 

コップがあふれたときはお母さんが来てくれ、

抱っこしてくれたり、おっぱいをくれたり、おむつを替えたりしてくれます。

そこで赤ちゃんは、お母さんからもらう安心感や、

「自分がここにいていいんだ」という自己肯定感がどんどんふくらんでいきます。

この安心感や自己肯定感は、コップを大きくしていきます。

だから、少しずつ、泣いてコップがあふれる回数が減ってきます。

 

少し大きくなってくると、幼稚園に行きます。

幼稚園はとても緊張しますが、お母さんから離れて、

先生やお友達と一緒にお遊戯したり、お弁当を食べたりと、

お母さんや周りの人に支えられながら、頑張り、

一つづつできることが増えていき、自信が付いていきます。

この自信は、またコップを置きくします。

 

小学校になると、勉強が始まり、

今までチャレンジしたこともない課題を、どんどんやっていきます。

友達とともに、運動会や遠足、たくさんの行事を頑張ります。

こうして、自己達成感や喜びを味わっていきます。

そこでまた、コップが大きくなっていきます。

中学校や高校もそうやって、どんどん、達成感や自信をつけていきながら、

コップの容量を増やしていくのです。

 

ですが、障がいを持つ子供はまず小さいころから、親とのコミュニケーションを上手に取れないことがあります。

よく自閉症の子供では、「手のかからない子だった」といわれるように、

母を求めるのが苦手な子供がいます。

また、ダウン症の子供は、泣く力がもともと弱い子が多く、

うまく感情表現ができない子がいます。

そこで、コップを大きくさせにくいんです。

そして、幼稚園・小学校と、年が上がるにつれ、

できないことがはっきりしてきます。

みんなはできることが自分にはできない。

それは、とてもつらいことで、なかなか、みんなのようにコップを大きくすることができません。

 

また、そんな自分を見る周囲の目や、親を悲しませてしまう自分に対して、

『自分なんかいない方がいいんだ』なんて言う自己否定が入ってくると、

ますます、コップは大きくなりません。

そんな風に、障がいを持つ人は、小さなころからの生きにくさが、

コップの成長を妨げてしまうことがあるんです。

 

ですが、この心のコップは、どんなに重い障がいを持っていても、大きくすることができるんです。

それは、たくさんのことを頑張って、達成感を味わったり、

心のケアなどの支援で、心が癒され、自己肯定感が育ってきたりすると、

このコップは大きくなってきます。

 

心のケアを続けていると、

「最近パニックを起こさなくなってきた」という声をよく聞きます。

これは、徐々にですが、コップが広がってきているからなんです。

 

つまり心のケアは、心のコップを大きくすることも、目的の一つといえます。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

障がいのある方の心のケア5 ~パニック・問題行動とは~

2013年02月19日 | 障がいのある方の心のケア ネットワーク

こんにちは、永井です。

前回の「障害のある方の心のケア」では、

【見せかけの行動と心の中】のお話をしました。

 

彼らの行う行動と、本音である心の中は、

少し違うことがあるんだよという説明をしました。

 

では、「でも、どれほど心の中でいろいろ思っていても、急に爆発したようなパニックはなぜ起こるの?」

という疑問を持たれる方もあるのではないでしょうか?

今日は、そのパニックや、問題行動と呼ばれるものについてご説明します。

 

我々の心の中には、『ストレスのコップ』というものがあるとします。

我々は、日常生活をしていると、いろいろなストレスがたまりますよね。

それが下の図のようなものだと考えてください。

例えば、急な仕事に追われ、今までやっていた仕事を置いといてしなくてはいけない。

でも、それが終われば、いつもの大事な仕事もしなくてはいけない。

家に帰れるのはいつなのか…同僚は楽しそうに帰っていく…

何で私だけこんなに大変なの・・

なんて状況になると、どうしてもストレスは、どんどん入ってきますよね。

 

でも、私たちの「ストレスのコップ」には、蛇口がついてるんです。

へとへとに疲れて帰ってきて、旦那に愚痴をこぼす。友達に電話する。

おいしいものを食べたり、感動する映画を見る。

そんなことをしながら、今日たまったストレスを、蛇口から流しだすことができます。

そうしたら、「ストレスのコップ」は、大分隙間が空いて、またたくさんのストレスを溜めることができます。

 

でも、もし、家に帰っても子供がワーワー騒いでて、

旦那は家に帰ってこない、自分一人で家でもあたふたと大忙しで、

一息つく間もなかったらどうでしょう?

「ストレスのコップ」の蛇口を、開けることもできずにどんどんストレスはコップにたまっていき、

最後の一滴、

そうですね、例えば、やっと子供を寝かしつけてほっとしたところに、

お酒のにおいをぷんぷんさせて、楽しそうに旦那が帰ってきたらどうでしょう?

 

「ストレスのコップ」から、ストレスがドバ~と溢れ出してしまいますよね。

「あなた、今何時だと思っているの!?あなたは仕事だけかもしれないけど、

私だって仕事しているのよ!大体あなた結婚するときはあんなに協力するって言ったじゃない!

こないだだって・・・・!」と、今まで心に溜めていたものが、

どんどん流れ出しますね。

こうなったら、もうだれにも止められない。

途中で、やめなきゃと思ってももう無理な状態です…

障がいの持つ方の心も、全く同じです。

「ストレスのコップ」にストレスをたくさんため、

何かの拍子にそのコップからストレスがあふれてしまう。

それがパニックや、問題行動と呼ばれるものです。

 

ストレスのコップが最後の一滴であふれてしまったら、

感情の爆発が起きます。

自分をたたいてしまったり、大声で叫んだり物を投げたりと、

心も体も思い通りにならなくなります。

そうなったら、どんどん感情が流れ出し、自分では、もう、止めることができなくなってしまいます。

でも、周囲を困らせていることは分かります。

でも、どうしても止まらない。

しばらくストレスを出したらおさまってきますが、

周りに迷惑をかけたり、悲しませたり、怖がらせたことは分かる。

そして自己嫌悪に陥り、ますますストレスのコップにストレスがたまる。

そしてまたパニックを起こしてしまう。

 

障がいのある方のパニックや問題行動は、こんな風になっているんです。

 

ここで、障害のある方と我々のコップの違いは、

まず、彼らのストレスのコップは、とても小さい方が多いです。

同じストレスの量が入っても、我々はまだまだ溜め込めるスペースがあっても、

彼らは、コップ自体が小さいため、

少しの量でも溢れてしまうことがあります。

また、ストレスを出す蛇口が、とても細くてなかなかストレスを出すことができない方も多いです。

我々は、好きなことを好きな時間に、好きな人と行うことができます。

ですが、障害のある方は、自分で選択して行動することに制限が多く、

また、言語コミュニケーションが苦手な方が多いため、

誰かに愚痴をこぼして、慰めてもらうことが苦手です。

そのため、どうしても、ストレスをため込みやすくなってしまいます。

 

ストレスのコップの説明は、次回もさせていただきます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 抱っこの広場ご案内 【大阪 ホワイエ】

2013年02月18日 | イベント

抱っこの広場は、
抱っこ法の個別セッション(親子と援助者のカウンセリング)の場です。

わが子が落ち着きがなくて心配、
かんしゃくを起こす、夜泣きがひどい、
また親子がどうもぎくしゃくしているなど、
子育てには心配事がたくさんあります。
そんな時、一人で悩みを抱え込まないで、
一度『抱っこの広場』を訪れてください。

抱っこ法協会公認ホルダーやスタッフとともに、
よい親子関係を築いていきませんか。
尚、この広場では、研修生育成の目的も兼ねているため、
通常の個別セッションよりも安価で個別セッションを設定しております。




【日時】3月10日(各時間帯 3組の親子まで) 
    9:30開始
    10:45開始
    12:00開始

【参加費】 4000円

【申込】 高橋秀敏(抱っこ法公認ホルダー)
  TEL/FAX 06-0375-2992



~❀ 抱っこ法セッションとは ❀~

次から次へと物をほしがって、いくら遊ばせてあげても満足しない。
公園に行ってもお母さんから離れない。
落ち着きがない。夜泣きが続いている。
目が合いにくい。指しゃぶりをする…

などなど、お子さんのことで気がかりなことはありませんか?

本来子供は、好奇心に満ちキラキラ輝く存在で、
親に喜びと安らぎを与えてくれます。
ところが周囲の事情や子供の個性によって、
自分の思いや気持ちを出せなくなってしまうことがあります。
そんな苦しさは、
体の中で発酵していつしか溢れ、
時に親の言うことがきけなくなったり元気がなくなるなど、
多様な表現で表します。
でも、そんな子供たちのきがかりな表現は、
「おかあさんなんとかしてね」という、子供からのSOSのサインなんです。


抱っこの広場のセッションでは、
援助者が仲立ちをして親子にかかわり、
子供の心の苦しさを発散し、
親子の良い関係がつなげるお手伝いをします。

よかったら『ホワイエ』ホームページをご覧ください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

障がいのある方の心のケア4 ~見せかけの行動と心の中・その2~

2013年02月14日 | 障がいのある方の心のケア ネットワーク

こんにちは、永井です。

 前回の「障害のある方の心のケア3」では、

【見せかけの行動】の中には、【本音の心】があると説明しました。

 

「でもうちの子の問題行動は、どう見ても本当は頑張りたいなんて、思ってないのでは…?」

と、お考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

実は、どんなに重い障がいを持っていても、

たとえ言葉が話せなくても、

『年相応のことがしたい、頑張りたい』という向上心を、

皆さん持っているんですよ。

 

ただ、障がいを持つ人はその向上心をなかなか見せれない方が多いのです。

そのことを、次のお話しのAさんでご紹介しますね。

 

障がいを持つ成人のAさんのお話ですが、

Aさんは、よくものを投げてしまうことがあります。

大きな物音を聞いたり、イライラしたり、緊張すると

そばにあるものを投げたり、蹴ったりしてしまいます。

 

私たちは、Aさんは怖い気持ちになった時、

物を投げて気持ちを発散する技を身に着けてしまったんだね…

彼はそれですっきりすんだ。

困った問題行動だね…

と感じていました。

 

ですが、体のお話しや筆談で彼の心を聞いていくと、

我々の考えとは少し違っていました。

彼は、『本当は、ものなんか投げたくない。

皆を困らせたいんじゃないのに、

困ったとき、勝手に体が動いてしまう。

どうか、僕を止めてください』と伝えてきました。

 

Aさんは、見かけは物を投げることで発散しているように見えますが、

実は、「こんなことやりたくない、誰か助けて」

と思ってたんですね。

 

障がいを持つ方は、時に、このように、

心で思っていることと、全く別の行動をとってしまうことがあります。

それはとても不自由なことで、

そのとってしまった行動でまた自分を責めてしまい、

どんどん自己否定(自分はダメだ・・自分なんて生まれてこなきゃよ方・・と思うこと)してしまうことがあります。

その自己否定の感情は、

本来持っているその方の頑張りたい気持ちを、くじいてしまうこともあります。

 

Aさんもその不自由な体で、みんなに誤解されながら、

ずっと生きてきたんだなと思うと、

切なくなります。

 

その後、Aさんに、「やりたくない行動をとろうとするときは、しっかりとめていくね。」

と約束して、それを実行していきました。

イライラしているなと感じたときはそばに寄り添い、

投げようとしたときにその手を持ち、「ドキドキするね、イライラするね」と、

Aさんの心の中を代弁することを繰り返しました。

その結果、今ではすべての時ではありませんが、

イライラしてきたら、自分から私たちの手を取って、

持っていてほしいと伝えてきてくれるようになりました。

 

Aさんの心には、ちゃんと頑張りたい、

物を投げないで立派に過ごしたいという向上心がありました。

ただ、自分一人では、どうしてもその向上心を前面に出すことが難しかったんです。

 

そんな時こそ、『心のケア』が重要になってくるんだと思います。

誰かにお手伝いしてもらいながら、

立派に向上心を立たせれたら、とてもいいですね。

我々も、そんな風に、障がいを持つ方のお手伝いをしたいと思っています。

 

心のケアについては、こちらのホームページもご覧ください⇒ホワイエ

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

涙を大切にする育児 ~下和田実ワークショップより~

2013年02月13日 | 癒しの子育てネットワーク大阪

2月11日、ホワイエにて、

『涙は心の自然治癒力 下和田実ワークショップ』

が開催されました。

 

ワークショップには、現在、育児真っ最中の方や、

涙の大切さを学ぼうとこられた方、

子供が大きくなったけど、いろいろと理解したいと望む方など、

たくさんの思いを抱えた方が集まってくださいました。

 

そのワークショップの一コマをご紹介しますね。

 

腕に擦り傷ができたとします。

私たちの体はその傷を治そうとして、白血球や血小板が働きます。

そして傷は、いつの間にか治っていますね。

これを自然治癒力といいます。

我々の体は、そんな風に元の健康な体に戻ろうと、自然に回復していく力を持っています。

 

それと同様に、心にも自然治癒力があります。

もし子供の心に『さみしいよ、苦しいよ、怖いよ』などや、

もっと小さな子だったら『お腹すいたよ、暑いよ』などの傷があると、

泣いて訴えますよね。

その訴えを親に受け止め、慰めてもらうことで、

心の自然治癒力が働き、

自然にその心の傷が治り、元気を取り戻すことができます。

そして、泣いて訴える⇒慰められる⇒元気になるを繰り返し、

子供の心はグングン成長していきます。

 

しかし、我々はどうしても、子供が泣くと「泣き止ませなきゃ」と感じてしまいがちになります。

子供が泣くと、ごまかして気分を変えようとしたり、

おしゃぶりを与えたり、

背中をトントンして泣き止ませてあげなくちゃと頑張ります。

その繰り返しにより、子供は気持ちを聞いてもらうチャンスを失うとともに、

「泣いてはいけない」

「泣くのは悪」「泣いたらお母さんが困る」と

いうメッセージを無意識のうちに受け取ってしまいます。

その結果、小さな子供のうちから、感情の抑制を身につけてしまいます。

 

なぜこうなるかというと、多くの親が泣かない子育てを受けてきたため、

泣声を聞くと、自分の中で抑え込んでいた、泣きたい感情が揺れ動かされるからです。

だから、子供が泣くと、まるで自分が責められているような気がするのです。

 

抱っこ法では、この「泣く」という感情表現をとても大切にしています。

それは子供だけでなく、親も一緒です。

 

「ワークショップ」では、このような話から始まり、

「涙が持つ大切な役割」や

「苦しさのからくり」等々を、実例を交えてお話ししました。

また、実際に体験して感じてもらうワークなどでは、

たくさんの気づきの感想をいただきました。

 

 ワークショップを体験した方の感想を一部ご紹介させていただきます。

 

「今まで子供が泣くと、早く泣き止むように声掛けしたり、

泣くことはよくないことだと思ってました。

だけど今日の参加で、泣くことは大切なことだと気づかされました。

泣くことを受け止めてあげれるようになりたいと思います。

ありがとうございました。」

 

「抱っこ法ってなんだろう?と思っていたけど、

子育てだけでなく、すべての人間関係に使えると思います。

私は介護士として7年間働いていました。

認知症の方のケアを通して感じたことが、

『すべての感情はあっていい』でした。

今日のメッセージと同じで、嬉しいなと思いました。」

 

とてもうれしい感想をたくさんいただき、ありがたいです。

 

今後も、涙のお話しやそのほかにもたくさんの企画をしていきますので、

皆さん、お気軽にご参加ください。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする