菊池寛著『維新戰争物語』 筑波山天狗騒動(下) ・・・・・・・・ 四 ・・・・・・・ 江戸城に於て藩主が、武田・岡田を斥けて、朝比奈・佐藤・市川を執政に任じたと聞いて、国表の尊攘派は、黙っておりません。 . . . 本文を読む
菊池寛著『維新戰争物語』 筑波山天狗騒動(上)
・・・・・・・ 一 ・・・・・・・
水戸の虎、藤田東湖の四男小四郎は、まだ二十三歳の若武者でありました。豪邁な父東湖の氣象を受け継いで、早くから尊皇攘夷の志を抱き、江戸・京都の間を頻りに往来して、天下の志士と交わりを結びます。 文久三年五月十日と、幕府が攘夷の期限を定めた際は、小四郎は喜んで同志と共に、攘夷の先鋒た . . . 本文を読む