石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

日本に「児童労働」は存在しない、か?

2010-03-14 23:17:33 | 政策
日本には「児童労働は存在しない」ということになっています。日本が大変遅ればせながら2000年に批准したILO第138号条約「就業の最低年齢条約(1973年)」は、一般的な仕事について、義務教育を終了していない児童、もしくは15歳以下の児童の就労を禁じています。この国際的に定められた最低基準だけを見るなら、一応、日本には「児童労働は存在しない」と言ってもいいのでしょう。

ただ、第138号条約の第三条は「年少者の健康、安全若しくは道徳を損なうおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務については、就業が認められるための最低年齢は、十八歳を下回ってはならない」と規定しています。そして、この条文を補強するものとして、ILO第182号条約「最悪の形態の児童労働(1999年)」があることも認識しておく必要があります。

その上で、この記事を読んでみて下さい:

(ダイヤモンドオンライン 格差社会の中で友愛を叫ぶ!第13回 2010年3月5日)

この記事では、私立高校への助成金が減ったため、高校側がいろいろな名目で親(家計)に費用の負担を求めており、それを支払う余裕のない親を持つ子どもたちが自ら働いて授業料を稼いでいる、中には残業までこなして精神的過労死寸前の子どももいる、という実態が報じられています。また、そうしてアルバイトなどで働く子どもたちを利用して稼いでいる経営者の例も・・・。

日本では、義務教育は中学校まで。中卒で社会へ出る子どもたちもいます。しかし、高校進学率が98%になった今、高校で学ぶことを望んだ子どもたちが、経済的な理由によって高校を卒業できなかったとしたら、子どもたちの将来に大きなハンデを背負わせてしまうことになります。またそれ以上に、成長や社会化の過程でとっても重要な時期にある高校生たちが、精神的過労死寸前の状態にあるというのはおよそ看過できることではありません。

もしこのような実態が広がってきているとすれば、これは上記のILO第138号条約第三条に違反(健康、安全、道徳に害になる業務に従事していること)していると言っても過言ではないように思えます。つまり、今の日本に新たな形態の児童労働が生み出されているのではないか、ということなのです。

今まさに、高校授業料の無償化法案が議論されています。特に、私立高校へ通う子どもへの国からの支給(年額12万円、低所得世帯には24万円)がまだまだ不十分な中で、自治体レベルで追加の補助を行うケース(大阪、京都、広島が特に手厚いそうです)とほとんど行わないケースで、地域格差が生じているという現状も報道されています。

子どもが教育を受ける権利は、親の経済状況や住んでいる場所で違いがあってはならないはず。新たな形態の児童労働を即刻、止めるためにも、子どもたちに希望格差を生じさせないためにも、先進国の中で最低レベルの公的教育支出を大幅に引き上げて、国際人権規約A規約(社会権規約)第13条「漸進的高等教育の無償化」の実現を図っていくという政治の確固たる信念が必要です!