http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55108
日本はなぜ子育てが世界一難しい国になったか?50年で変わったこと
「2つの変化」が起きていた
落合 恵美子
アメリカでも、ヨーロッパでもそうだった。東アジアや東南アジアの国々でも。中国では、「だって子育てって楽しいことでしょう? みんな子育てがしたくて、両方のおじいさんもおばあさんも子どもの取り合いしてますよ」と笑い話になった。
そんな経験を重ねるうち、わたしの中で「常識」が逆転した。
そうだ、子育ては楽しいことだった。子育ては大変だ、とここまで思い詰めているのは日本だけじゃないか。
親族から孤立した核家族は、親と同居の世帯に比べて、子育てをめぐる近所づきあいに熱心だということもわかった。つまり都会に住む、親族に頼れない人ほど、やむにやまれず近所の人たちと育児ネットワークを作っていたというわけだ。
わたしはこれを「育児ネットワーク一定の法則」と名づけた。親族でもいい、近所の人たちでもいい。一方が無いときにはもう一方。母親たちは育児ネットワークを作って助け合って育児をしてきた。
母親だけ、家族だけで子育てができるなんて、いつの時代でも幻想だった。1960年代と1980年代の子育てを比較することからわかったのは、「家族だけでは育てられない」ということだった。
育児不安に陥ったのは、社会的ネットワークを失い、孤立した母親たちだった。昔も今も、家族だけで立派に子どもを育てられた時代など、無かったのだ。ましてや母親だけの「ワンオペ育児」なんて、できるわけがない。