唯川恵「来訪者」

　新潮文庫「とける、とろける」に入っている一編。

　偶然出会った学生時代の友人。

　夫は浮気に熱心で、自分には無関心。それに比べて、目一杯愛されている友人。

　ところが、友人には浮気相手がいて、何ともメロメロになるベッドシーンを語らう。

　はは～ん、友人の浮気相手が実は自分の夫だった、そんな展開ではないかと思ったら、全然違いました。

　友人は情緒不安定、妄想を抱いているからと入院。
　じゃあ何、その濃厚なベッドシーンは妄想？
　でも、私のところにもその彼がやってくるのよ。

　その彼が、実は夫だったというのもオチだし、主人公までもが妄想の世界に入るというのも、怖いですが、その顛末は書かれていません。


　医者が、自分より周囲の人の話を重んじる状態も書かれています。それはわかりません。そういうことありますよ、確かに。

　
　この文庫には、あと8編収められているので、楽しく読めそうです。