人生に無駄な経験はない

毎年正月は駅伝漬けになっている。


涙あり、笑いあり、感動の三日間だ。


今回山登りの五区に服部を配置して優勝した日体大。


これについてもエピソードはたくさんあるのだけれど、今日は敢えて違う話をしよう。


往路で二校の襷が途絶えた。


そのうちの一校が中央大学だった。


28年間シード校を守り抜いてきた伝統校。


１区 大須田優二は無難に区間9位で２区 新庄翔太に襷をつないだ。


新庄翔太といえば兄に新庄浩太をもつランナー兄弟。


兄と襷をつなぐことを夢見て中央に入ってきた期待できるニューエースだ。


しかし、中継所にふらふらで現れた翔太は襷をつなぐだけでせいいっぱいだった。


もちろん区間20位。大ブレーキだ。


そのあと３区 須河宏紀、４区 多田要がつないできた。


そして５区 野脇勇志のリタイア。


あと1.7km。


「箱根の借りは箱根で返す」


昨年ギリギリ襷をつないだ選手がそんなことを言っていた。


野脇は四年生。


この借りをどこかで返せるのか？


往路のテレビ放映が終わった頃、一人の中央大の復路予定のランナーが呟いた。


「頭の中がまっしろ。」


それが６区を走った 代田修平だった。


あの早稲田の大迫と同級生であり、イッコウエの先輩は同じ区間の区間賞を出してる千葉健太だ。


何も声をかけることができないほど真っ白になっていたところから一晩で気持ちを切り替えたのか？


佐久長聖魂を見た気がした。


その結果区間3位相当のタイムだった。


次の７区 徳永照も力走。


そして８区 永井秀篤が凄かった。


オープン参加で記録は残らない。


しかし、区間賞相当のタイム！


記録には残らない。が、記憶にはしっかり残った。


まだ２年生ということで、今後の活躍に期待したい。


９区 相場 10区 塩谷潤一を見てると層の薄さも見えてくる。


コンディションが悪い中でも無理して走るしかなかったのか？


何もかもうまくいく人生なんかなかなかないわけで、人はなんかしら重い荷物を背負っていることが多い。


箱根を走れずに卒業していく人、箱根で結果を出して実業団まで行って消えた人、何人の人が思いどおりに走れているのか？


汗と涙を流しながら走った時間は無駄にはならない。


思い通りに走れた人も、そうでなかった人も、みんなお疲れ様でした。