出版しました!
父の人生を書き留めておきたいと思いましたが、それはなかなか困難な作業でした。
自分のことを書くのとは違い、資料をまとめなくてはいけません。
父が子供の頃、どのような人生を生きてきたのか、一切知りません。
というのは、父は自分の生い立ちを 全く語らなかったからです。
父の自叙伝を書いていて、語らなかったのではく、語れなかったのだということに気づきました。
養子に出され、自分のルーツを知らされずに成人し、その後も実家とは関わりを持たぬように生活してきたのです。
従弟にあたる良平さんという人が、実家の大阪側との唯一の窓口でした。
良平さんが 思いつく限りの資料を提供してくださり、この本の骨組みができました。
なんとか書けそう!と 執筆のめどがついたのが今年の5月の中旬頃です。
丁度、父のステージ3の胃癌が見つかったころでした。
それから、原稿の進み具合は、病気の進行と競争です。
「とにかく早く書き上げて、本にして、父に見せたい」との想いでパソコンに向かいました。
原稿が一応仕上がって時点で 私は子供たちといっしょに広島の父の元を訪れました。
最後のお別れのつもりでした。
その時に「お父ちゃんの本を書いているよ。
お父ちゃんが言いたかったことは 全部この本に書いたから、出版されるまで、もう少しだけ待っていてね」
と声をかけました。
その時、本はEPUB化を終え、表紙のコンペを開催中で、数日後に表紙が決定しました。
すぐにAmazonに出版申請をして、出版できたのが7月24日の深夜でした。
7月25日、妹にAmazonで 出版が開始されたことを伝えました。
妹は スマホを持って父の居るグループホームまで、車で2時間くらいの距離を、文字通り駆けつけてくれました。
そして父に 「お姉ちゃんが お父ちゃんのことを本に書いてくれたよ。
子供の頃のことも、大人になってからのことも、お父ちゃんの篆刻のことも 全部書いてくれたよ」
と言って、1時間半かけて本を丸ごと一冊読み聞かせてくれたそうです。
父はまだぞの時には意識が有り、途中で、怒ったり 笑ったり、うなずいたりなど反応しながら、最後まで聞いてくれたそうです。
全部を聞き終わって、すごく安心したような満足そうな表情をしていたとのこと。
自分の本が出版されたことも 理解できたようです。
ああ、間に合って良かった。
翌朝、グループホームから、意識が混濁して呼吸が止まりそうだという連絡がありました。
そして、10時過ぎごろに天国に召されていきました。
すごく安らかな顔をしていました。
父の人生の辛かった部分に 私は「ー」を加えることができたのでしょうか。
非力ではあるけど、最後の一手を加えて 父の幸せな人生を綴れることができたと信じることにします。
追記
そのような想いで執筆した本です。
本日 午前9時から ¥99円キャンペーンを行います。
もしよろしければ どうぞ手に取ってみてくださいね。
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