白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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今週の対局・その1

2017年02月24日 23時59分59秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日は昨日の対局について振り返ります。
碁聖戦予選、相手は木部夏生二段です。
野性的な碁中盤戦の力強さが持ち味だと思います。

木部二段は日本糖尿病協会のインスリンメンターとしても活動しています。
木部さんのインタビュー動画はこちらです。





1図(テーマ図)
私の黒番です。
白1のハネは予想していた手で、予定通り黒2とハネました。
当然白Aと伸びる一手と思ったら、ここで何故か相手の手が止まりました。
そこで私も気付きます。
「あっ、これはまずいか・・・?





2図(実戦)
果たして、心配していた手をやって来ました。
白1のツケ!
強烈な手があったものです。





3図(変化図)
黒1と繋げば白2と切ろうというのです。
白6までとなると、黒石は内側に籠り、白石の姿はピンとしています。
黒△も浮いてしまい、これは考える気がしない図です。





4図(実戦)
止む無く、実戦は黒1、3と変化しました。
ここでもし白Aと取ってくれれば、黒Bと押さえて何事もありません。
黒が外回りになっただけで、白の仕掛けは空振りです。





5図(実戦)
という訳で、白1から出て行く一手です。
白5まで黒を分断してから、白7の抜きに戻りました。
黒がバラバラになったようですが、黒8のハネが生命線です。





6図(変化図)
白1、3と出れば、一例として黒6までの変化が考えられます。
黒△はボロボロになりましたが、その間に左下の黒を安定させつつ、大きな地も作れました。
一応捌き成功と言って良いでしょう。





7図(実戦)
前図では不満と見た白は、1と切って来ました。
これには黒2の当たりが先手になるのが、黒にとって大きなプラスです。
左辺白は完全に生きている訳ではないので、黒Aと出る手も狙いになります。

見落としは迂闊でしたが、何とか形になりました。
運が良かったとしか言えませんね。

ちなみにこの後乱闘に発展し、お互いの大石同士の攻め合いも絡む難解な事になりました。
そこでも見落としなどがありましたが、結果的には幸いしました。

明日はこの対局の序盤について振り返ってみたいと思います。