皆様こんばんは。
DeepZenGoとの対局では、新たに藤沢里菜女流三冠と六浦雄太三段が勝ちました!
井山六冠より強いかもしれません(笑)。
さて、本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
なお、過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回
棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。
今月は
第7回フマキラー 囲碁マスターズカップ1回戦 大竹英雄名誉碁聖対二十四世本因坊秀芳
第43期天元戦本戦1回戦 伊田篤史八段対許家元四段
の2局を解説しました。
今回は伊田-許戦の解説の一部をご紹介しましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/20/0baa5fd808df38779799e88b2faf68a6.jpg)
1図(テーマ図)
例の如く、棋譜再生ソフト「Kiin Editor」のキャプチャー画面です。
普段は序盤を紹介することが多いですが、今回は終盤です。
本局は左下で激戦が起こりましたが、切る所が無かったのでここでは紹介を見送ります。
と言っても、ここからも単純なヨセではなく、戦い含みです。
この後・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/41/a2d1f472cdc5687ab29d875894a9d903.jpg)
2図(実戦進行)
このように進みました。
手順を見ただけで意味を理解できれば、アマ高段の実力はあるでしょう。
双方の作戦、一手一手の意味について解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/cb/b4fddb921d7cd7b9af4ae8f22477d158.jpg)
3図(実戦)
白1「上辺にもたれながら、右辺の黒地を削減しようとしています。」
この手の具体的な狙いを、次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/83/bee04b9a2aca21dbd7e9d8ecf2814b9c.jpg)
4図(参考図)
「黒1、3と上辺を受けてくれれば、右辺の黒地が減って行きます。」
これが白の狙いです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/83/0969892e232ffa926faf7a71b358d6d4.jpg)
5図(実戦)
実戦に戻ります。
黒1「強手です。
黒△が痛みそうですが、上辺はダメ場と見ており、右辺を最大限に囲いに行きました。」
黒3「白Aと打たれても構わないと言っています。」
白4「白も手順を尽くします。
まず、隅の下がりは根拠の要点です。」
黒は右辺をまとめることに全力を挙げています。
一方、白にも狙いがありました。
それは実戦に現れる左上黒への苛めですが、その前に参考図が1つ入ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/e9/3c3e10783a7aa4b5939c2da289415c7c.jpg)
6図(参考図)
前図白4で、本図白1と切ったらどうなるかという図です。
「白1は黒2の切りが大きいとみました。
黒Aの味も残ります。」
黒をあっさり生かしてしまっては、攻めの利益が上がらないということですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/0a/78dfd06b858c69970da2d72905c8c08f.jpg)
7図(実戦)
実戦に戻ります。
黒1「這う一手ですが・・・。」
白2「ここまで迫るのが厳しい手です。」
白2は危ない手に見える方が多いでしょう。
何故ここまで迫らなければならないのかを、次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/cd/f9a4b0b746e730aa3be175e123a31e8b.jpg)
8図(参考図)
「白1、3はよくある手ですが、後手を引いて黒6に回られてしまいます。」
これでは攻めるどころか、後手を引いて損になるということですね。
そこで、実戦は厳しく迫りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/2a/faf16e519ed7d86b154559592a988cc0.jpg)
9図(実戦)
黒1「普通はこういう所を出られては薄くなっていけないのですが、左上の白が強いので大丈夫です。」
黒3「黒を謝らせることができました。」
白4「ただし、取りに行くことまではできません。
自分の石が危なくならないよう、備えておきます。
これ自体が大きい手でもあります。」
何故黒を取りに行くことはできなかったのでしょうか?
それを次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/92/95c53bb5ad27cfd68f40d09723218639.jpg)
10図(参考図)
「すぐに黒を取りに行くと、2子を取って生きられてしまいます。」
眼を取りに行くなら白1ですが、逆に取られる結果になります。
取ろう取ろうは取られの元ですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/8f/a30965ce10356d5d005e9e7b8316f600.jpg)
11図(実戦)
黒1「白に備えられると、黒も生きておかなければいけません。」
白2「白も黒Aあたりからの分断に備えつつ、右辺黒を削減しています。
見事な攻防ですね。」
何故黒1が必要になるかについても参考図で解説していますが、省略します。
黒は右辺を大きく囲いましたが、白も左上黒への苛めで利益を上げて対抗しました。
面白い攻防だったと思います。
このような調子で、序盤から終盤まで解説しています。
電子データでの解説は、分量に制限が無いところが強みですね。
図もいくらでも入れられるのですが、しかし全ての図を見るのは、よほど熱心な方でないと大変でしょう。
ですから、手順だけを見ても1局の流れが理解できるよう、実戦の一手一手になるべくコメントを付けるように心がけています。
これは幽玄の間で解説する時も同じですね。
本局は序盤、中盤を中心に、約130手にコメントが付いています。
じっくり鑑賞して頂いても、雰囲気だけ楽しんで頂いても良いでしょう。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
なお、8月の情報会員向け解説は
第43期碁聖戦予選B 王銘エン九段対外柳是聞二段
第8回おかげ杯囲碁トーナメント戦予選 王景怡二段対上野愛咲美初段
の2局を解説します。
お楽しみに!
DeepZenGoとの対局では、新たに藤沢里菜女流三冠と六浦雄太三段が勝ちました!
井山六冠より強いかもしれません(笑)。
さて、本日は毎月恒例、日本棋院情報会員のPRを行います。
なお、過去の記事はこちらです→第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回
棋譜再生ソフトの使い方は第4回で詳しく解説しています。
今月は
第7回フマキラー 囲碁マスターズカップ1回戦 大竹英雄名誉碁聖対二十四世本因坊秀芳
第43期天元戦本戦1回戦 伊田篤史八段対許家元四段
の2局を解説しました。
今回は伊田-許戦の解説の一部をご紹介しましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/20/0baa5fd808df38779799e88b2faf68a6.jpg)
1図(テーマ図)
例の如く、棋譜再生ソフト「Kiin Editor」のキャプチャー画面です。
普段は序盤を紹介することが多いですが、今回は終盤です。
本局は左下で激戦が起こりましたが、切る所が無かったのでここでは紹介を見送ります。
と言っても、ここからも単純なヨセではなく、戦い含みです。
この後・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/41/a2d1f472cdc5687ab29d875894a9d903.jpg)
2図(実戦進行)
このように進みました。
手順を見ただけで意味を理解できれば、アマ高段の実力はあるでしょう。
双方の作戦、一手一手の意味について解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/cb/b4fddb921d7cd7b9af4ae8f22477d158.jpg)
3図(実戦)
白1「上辺にもたれながら、右辺の黒地を削減しようとしています。」
この手の具体的な狙いを、次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/83/bee04b9a2aca21dbd7e9d8ecf2814b9c.jpg)
4図(参考図)
「黒1、3と上辺を受けてくれれば、右辺の黒地が減って行きます。」
これが白の狙いです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/83/0969892e232ffa926faf7a71b358d6d4.jpg)
5図(実戦)
実戦に戻ります。
黒1「強手です。
黒△が痛みそうですが、上辺はダメ場と見ており、右辺を最大限に囲いに行きました。」
黒3「白Aと打たれても構わないと言っています。」
白4「白も手順を尽くします。
まず、隅の下がりは根拠の要点です。」
黒は右辺をまとめることに全力を挙げています。
一方、白にも狙いがありました。
それは実戦に現れる左上黒への苛めですが、その前に参考図が1つ入ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/e9/3c3e10783a7aa4b5939c2da289415c7c.jpg)
6図(参考図)
前図白4で、本図白1と切ったらどうなるかという図です。
「白1は黒2の切りが大きいとみました。
黒Aの味も残ります。」
黒をあっさり生かしてしまっては、攻めの利益が上がらないということですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/0a/78dfd06b858c69970da2d72905c8c08f.jpg)
7図(実戦)
実戦に戻ります。
黒1「這う一手ですが・・・。」
白2「ここまで迫るのが厳しい手です。」
白2は危ない手に見える方が多いでしょう。
何故ここまで迫らなければならないのかを、次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/cd/f9a4b0b746e730aa3be175e123a31e8b.jpg)
8図(参考図)
「白1、3はよくある手ですが、後手を引いて黒6に回られてしまいます。」
これでは攻めるどころか、後手を引いて損になるということですね。
そこで、実戦は厳しく迫りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/2a/faf16e519ed7d86b154559592a988cc0.jpg)
9図(実戦)
黒1「普通はこういう所を出られては薄くなっていけないのですが、左上の白が強いので大丈夫です。」
黒3「黒を謝らせることができました。」
白4「ただし、取りに行くことまではできません。
自分の石が危なくならないよう、備えておきます。
これ自体が大きい手でもあります。」
何故黒を取りに行くことはできなかったのでしょうか?
それを次の参考図で解説しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/92/95c53bb5ad27cfd68f40d09723218639.jpg)
10図(参考図)
「すぐに黒を取りに行くと、2子を取って生きられてしまいます。」
眼を取りに行くなら白1ですが、逆に取られる結果になります。
取ろう取ろうは取られの元ですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/8f/a30965ce10356d5d005e9e7b8316f600.jpg)
11図(実戦)
黒1「白に備えられると、黒も生きておかなければいけません。」
白2「白も黒Aあたりからの分断に備えつつ、右辺黒を削減しています。
見事な攻防ですね。」
何故黒1が必要になるかについても参考図で解説していますが、省略します。
黒は右辺を大きく囲いましたが、白も左上黒への苛めで利益を上げて対抗しました。
面白い攻防だったと思います。
このような調子で、序盤から終盤まで解説しています。
電子データでの解説は、分量に制限が無いところが強みですね。
図もいくらでも入れられるのですが、しかし全ての図を見るのは、よほど熱心な方でないと大変でしょう。
ですから、手順だけを見ても1局の流れが理解できるよう、実戦の一手一手になるべくコメントを付けるように心がけています。
これは幽玄の間で解説する時も同じですね。
本局は序盤、中盤を中心に、約130手にコメントが付いています。
じっくり鑑賞して頂いても、雰囲気だけ楽しんで頂いても良いでしょう。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひ日本棋院情報会員にご入会ください!
なお、8月の情報会員向け解説は
第43期碁聖戦予選B 王銘エン九段対外柳是聞二段
第8回おかげ杯囲碁トーナメント戦予選 王景怡二段対上野愛咲美初段
の2局を解説します。
お楽しみに!