白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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マネ碁再び

2017年07月24日 23時59分59秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日、第41回文部科学大臣杯全国高校囲碁選手権大会開幕しました。
例年通りなら、決勝戦は幽玄の間でも中継があるでしょう。
良い戦いを期待しています。

さて、本日は幽玄の間で行われている、DeepZenGoと若手棋士の対局をご紹介します。
対局者は芝野虎丸三段(白番)です。



1図(テーマ図)
出ました、マネ碁です!
以前ご紹介した碁と全く同じですね。
となれば、やはり次の黒の一手は・・・。





2図(実戦)
黒1の天元打ち!
これ以上なく分かり易いマネ碁封じをして来ました。
白2に通常の黒Aではなく黒3を選んだのも、マネ碁封じの一環でしょうか?
白4に黒5と挟み、完全にマネ碁を離れました。

ただ、黒1に打ってしまった手が黒の負担になるであろうということは、以前お話しした通りです。
前回はそれでも勝ってしまいましたが、果たして今回は?





3図(実戦)
白1に黒2から出切り、戦いになりました。
この時黒△の位置が何とも言えませんね。
ちょっと遠すぎますが、黒の援軍になっていることは間違いありません。
これはこれで良い勝負でしょうか。

この後右下が複雑な形になりましたが、明らかにDeepZenGoは正しく読めていませんでしたね。
それが原因と思われる自滅の道を突き進み、結果は白中押し勝ちとなりました。
結局、この段階での天元打ちのハンデがどれほどなのかは、よく分からないままでした。

ところで、天元打ちと言えば有名な一局があります。





4図(安井算哲-本因坊道策)
二世安井算哲(渋川春海)が本因坊道策に初手天元で挑んだ対局です。
しかし、天元の石が働かない展開に導かれ、黒完敗でした。
天元打ちは高い技量が必要とされるだけでなく、作戦の幅が狭くなってしまう点も成功率が低い原因ですね。

ちなみに、渋川春海は天地明察の主人公ですが・・・。
史実においては、道策のライバルとは言い難いですね。