白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本日の対局

2017年07月20日 21時11分27秒 | 対局
皆様こんばんは。
木曜日は日本棋院棋士の手合日です。
幽玄の間でも多くの対局が中継されました。
本日は特に熱戦が多かった印象ですが、目を引いた対局と言えば、やっぱりこれですね。





左辺の黒は一体何でしょうか?
私の新刊では2間開きの用語について解説しているのですが・・・。
これは要件を満たしているか微妙です(笑)。
どちらかと言えば2間飛びと呼ぶ方が正しいような気もします。

しかし、これはこれで1局でしょう。
皆様が真似して上手く行く保証は致しかねますが・・・(笑)。


さて、本日は私も対局がありました。
いつものように苦労しましたが、今回は何とか勝つことができました。

ところで、最近随分打っている気がして数えてみましたが・・・。
6月は6局、今月は3局打って来週もう1局、来月も頭に1局入っているという、なかなかのハードスケジュールです。
普段月2局ぐらいのペースなので、一気に来ると結構大変ですね。
体調管理だけは気を付けていきたいと思います。



1図(テーマ図)
井澤秋乃四段との対局、私の白番です。
ここに至るまでに後悔する手があり、黒△と打ち込まれた場面では形勢が悪いと思っていました。
と言うのは・・・。





2図(変化図)
例えば単純に白1、黒2と飛び合うと、黒は大石につながりそうなのに、白はなかなかつながりません。
後から打ち込んで来たにも関わらず、黒が威張っています。

かと言って、特に冴えた手段も思い浮かびません。
そこで・・・。





3図(実戦)
実戦は白1と狭い所に入って行きました。
地を稼ぐというより、黒の根拠を脅しています。
何とかして白△の勢力を生かさなければいけないと思いました。

白7までは定型で、次に黒Aと当てれば白Bとコウに受けます。
コウ材は白CやDにあると主張しているのです。
そして黒がコウに負けると、全体の黒の生死が危険になる可能性があります。





4図(実戦)
そこで実戦は黒1とコウを避けましたが、白2、4と黒にプレッシャーをかけながら中央を膨らませました。
こう打っておけば、相変わらず黒Aのコウは仕掛けにくい状況です。
目一杯に頑張り、少し元気が出て来ました。
白△が置き去りになっているだけに、形勢が良くなったとは思えませんでしたが・・・。

ところが、実際には相手もテーマ図の時点から形勢が悪いと思っていた気配です。
囲碁あるあるですね。
相手にも後悔の手があったのです。

悪手を打つと形勢が悪くなったと思ってしまうのは、人間の性でしょうか。
それは弱さにもつながりますが、人間同士の碁を面白くしてもいます。