白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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書評・第5回 置き去りの傷を探せ

2017年07月12日 23時58分58秒 | 書評
皆様こんばんは。
最近は幽玄の間でのDeepZenGoと若手棋士との対局をチェックすることが日課になっています。
現在、DeepZenGoが16連勝しています・・・。
そろそろ止めて欲しいところですね!

・・・というのは外野の気持ちで、実際のところは結果に拘る必要は無いと思います。
あくまで棋力向上が目的なので、思い切った打ち方をして欲しいですね。


さて、本日は「置き去りの傷を探せ」のレビューをしたいと思います。
例によって写真は無いので、商品ページからご覧ください。

第3回でもお話ししましたが、囲碁で最初に覚えるべきことは石のつながり生き死にです。
これらは言わば土台ですから、しっかりと身に付けておかなければいけません。
土台が脆いと、どんなに外観が立派な建物もあっという間に崩れ去ってしまいます。

本書は、その中でも石のつながりに特化した問題集です。
ほとんどの問題は、相手に傷があるのでそこを衝いて石を取ってください、という形式になっています。
目的と結果が分かりやすいので、楽しく解くことができるでしょう。

また、本書の中で非常に多く採用されている手筋は追い落とし打って返しです。
どちらも、自分の石を取らせておいて相手の石を取る手筋ですね。
このパターンの手筋は、碁で非常に重要であり、しかも多くの方が苦手にしています。
打った石を相手に取らせ、そして石が取られた地点にまた打つ、という過程を頭の中でイメージすることが難しいのでしょう。

その解決法は、とにかく実践あるのみです。
とにかく問題を沢山解き、経験を積むことが大切です。
最初は解けなくても、何度も取り組んでいればだんだんと答えが浮かぶようになります。
また、その上でさらに繰り返し解いて行けば、いずれ形を見た瞬間に答えが浮かぶようになるでしょう。
その頃には、実戦での碁盤の見え方も随分変わっているはずです。

本書には150問収録されていますが、1問の中に2つ問題があるので実質300問です。
税抜き705円はかなりリーズナブルですね。
級位者の方には特におすすめしたい1冊です。