早春のヤマメ桜の咲くころサクラマス盛夏は鮎深山幽谷岩魚

「岩魚・山女魚・鮎・近年はサクラマス・三面川鮭・それに美味しい新潟地酒大好き紹介します。」新潟から・・・

禁漁まで10日程残して今年の鮎釣りは終わった。(Ⅲ)

2013-09-29 20:28:14 | 日記

鮎釣りがこんなに上手くなったかと思うほど良く釣れた。
9月も終わろうというこの日、真夏の様な日差しの中をお昼も取らずに夢中で鮎を追いかけていた。
いい条件が重なって清い水面から鮎が飛び出すたびに少年のようにひとりはしゃいで喜んだ。
囮に体当たりする野鮎の衝撃が目印を1メートルも飛ばしたり
ある時はそれが直接釣竿をひったくるような感触だったりこれが鮎釣りの魅力でもある。
それがたまらなく楽しいのだ。
今日は心いくまで釣るつもりだ。

皆、少年の頃何事も忘れ楽しいことだけ考えて精いっぱい遊び更けていた。
気が付けばあたりいち面日が暮れかかった静けさに心細く仲間と家路を急いだのだった。
いまこの齢になって何かその心細さ淋しさをむしょうに心の中で追い求めていた。
その頃のそういう気持に何か戻りたいという憧憬があったのかもしれない・・・。
四時を回ってそろりと周りの鮎師も一人二人と釣りを止めて川から上がっていくのが見えた。
あんなに夢中で楽しい時は過ぎ、自分が今惰性になってただ釣っているのが感られる。
釣れる鮎にも先程ほどまでの感動も薄れて日暮れが近い周りの景色ばかりが気になっていた。

禁漁まで10日程残して今これで今年の鮎釣りは終わった。
仕度に足場のいい場所へ車を移動すると
都会の釣師の集団も川から上って賑やかに帰りの仕度中だった。
今夜は近くの温泉宿でも泊ってゆっくり過ごすのだろうか。

帰路、川沿いに未だ二人三人と釣り人が影を長くして川に立ちこんでいるのが見えた。
いっきに海岸線を横に見ながら車を走らせた。
今日は充実した楽しい一日だった。なにはともあれ終わってみれば
何とも楽しくいいひとシーズンでもあった。
最終章・・・「時間の余裕もあるし高速を外れてゆっくり帰ろう。」

山形路から暫く行くと海の見える「笹川流れ」へと右へハンドルを切った。
丁度太陽が地平へ今日の活動の終わりを真近にしていた。
そこで息をのむような光景が飛び込んできた。
真っ赤な夕日が絶景の波に浮かぶ奇岩に映えて鮮やかに車窓から見えた。
何度も通るルートながらこんなに美しく素晴らしい光景は多分初めてだっただろう。
移り変わる風景はパノラマのごとく次々と現れては消えて行く。
引き込まれるように私の六十何年もの歳月の移ろいのごとく・・・。
心の隅に残した人生の後悔や空しさ色々のしがらみの影に光輝いたのだろうか。
こんなに感動した事は久しく無かった。

名勝岩ヶ崎に着くころにはとっぷりと日が暮れていた。
高台から望む前方遥か眼下に瀬波温泉の灯りが小さく見えた。
空しい淋しさの中こみ上げる何かを感じながら
現実へとアクセルを踏み込んだ。

今年の鮎釣りは終わった。




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