ヒルネボウ

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歌 拳(こぶし) 詩 石川啄木

2024-10-06 23:07:46 | 

  歌 拳(こぶし)

    詩 石川啄木

おのれより富める友に愍(あはれ)まれて、

或(あるひ)はおのれより強い友に嘲(あざけ)られて

くわっと怒(いか)って拳(こぶし)を振上げた時、

怒(いか)らない心が、

その怒(いか)った心の片隅(かたすみ)に

目をパチ〳〵して躊(うずくま)ってゐるのを

見つけた――

たよりなさ。

 

あゝ、そのたよりなさ。

 

やり場にこまる拳をもて、

お前は

誰(たれ)を打つか。

友をか、おのれをか、

それとも 又 罪のない傍(かたは)らの柱をか。

(終)

 


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