風邪は予防できるか
風邪を全く引かないようにすることはできないが,予防のためにできることはある,とニューヨーク・タイムズ紙は述べている。
最も重要なポイントは次のとおりである。できるだけ人込みを避け,風邪を引いていることが明らかな人と握手をしないようにする。
さらに,目や鼻をこすらず,手を頻繁に洗う。このような予防策は効果がある。
風邪のウイルスは,手を介してデリケートな目や鼻の粘膜に運ばれることがあるからだ。何かの表面や手に付着した風邪のウイルス
は数時間のあいだ生き続ける。風邪を引いている人は,風邪の症状がはっきり現われる前後しばらくは,人にウイルスをうつす可能性がある。
ほかにも風邪の予防としては,バランスの取れた食事をとること,子どもの近くにいるときは特に用心することなどが挙げられる。
なぜ? 子どもは1年に5回から8回も風邪を引くからだ。
風邪の原因
「冷えると風邪を引く」とよく言われている。
ところが,「100年以上もの間,科学者たちは,この古い言い習わしが間違いであることを証明するために並々ならぬ時間とエネルギーをつぎ込んできた」
と,ニューヨーク・タイムズ紙は述べている。「その努力にもかかわらず,いまだに風邪と天候は関係があると思われており,そのため引き続き研究が行なわれている」。
1878年のルイ・パスツールの実験以来,体を冷やすことが風邪を引くことにどんな影響を与え得るのかを明らかにしようと,数多くの実験がなされてきた。
しかし,研究者たちはまだ明確な答えを得ていない。
世界一流の風邪の専門家ジャック・グワルトニー・ジュニア博士は,温度よりも湿度のほうが風邪の原因になるのではないかと述べている。
肝心な点は,「風邪は単なる一つの病気などではなく,似通った多くの病気の複合体であること,そしてそのすべてが,
まだ解明されていない仕方で天候にしたがって周期的に現われること」である。
睡眠不足は風邪のもと
「一晩の睡眠が平均7時間以下の人は,8時間以上の人に比べて3倍近く風邪を引きやすい」と,米国ペンシルバニア州ピッツバーグのカーネギーメロン大学の報告書は述べている。
さらに,「ベッドにいる時間のわずか8%」だけでも目を覚ましている人は,熟睡している人に比べて「5倍半」風邪を引きやすい。
「睡眠と免疫系との関係は実証されているが,今回,比較的軽度な睡眠障害でも風邪ウイルスに対する抵抗力に影響を与えることを示す証拠が初めて見つかった」
と,報告書の執筆主幹シェルドン・コーエンは述べている。
「一晩ぐっすり眠れるよう時間を取るべき理由が,また一つ加えられた」。
亜鉛ドロップは風邪を早く治す?
長年,研究者たちは,風邪を治すのに亜鉛が有効かどうか議論してきた。
最近の研究により,「風邪の引き始めから数時間おきに[亜鉛]ドロップを服用すると,風邪を引いている期間が平均して半分になる」
ことが分かったと,サイエンス・ニューズ誌は報じている。
さらに,研究に参加した人のうち,二,三時間おきに四,五日間亜鉛ドロップを服用した人たちは,
偽薬を服用した人たちに比べて,「せきと鼻水の症状が確かに軽減したと報告した」。
しかし,亜鉛を服用して,便秘や口内乾燥などの副作用を経験した人もいた,と同誌は述べている。