京都国立博物館で現在、毎年恒例の雛まつり展を開催している。
新聞に出ていたので行きたくなった。
京博ならば歩いて行けないことはない。
腰が痛くてどうしようもないが、頑張って歩くことにした。
帰りはばててしまい(>_<)、バスに乗ってしまったが…。
現在、展示が行われているのは平成知新館だけで、
3階から1階へと降りて行く形で展示を見る。
雛人形展は1階の1室に特集展示という形で展示されていた。
3階と2階は常設展示のような感じで名品ギャラリーとして展示がある。
3階は考古室、2階が絵巻や仏画、中世・近世絵画など。
1階には彫刻として仏像彫刻、染織や書跡、
そして特集展示があった。
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京都国立博物館
https://www.kyohaku.go.jp/jp/
特集展示 雛まつりと人形―古今雛の東西―
https://www.kyohaku.go.jp/jp/exhibitions/feature/b/hina_2024/
2024(令和6)年2月10日(土)~ 3月24日(日)
京都国立博物館 平成知新館1F-2
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名品ギャラリー
https://www.kyohaku.go.jp/jp/exhibitions/collection/2024/02/?date=27#Theme5743-27
生誕290年 円山応挙
2024年2月14日(水)~ 3月24日(日)
近世絵画|2F-4展示室
3階から見ていくと、考古室には国宝の藤原道長による
「金銅藤原道長経筒」が展示されていた。
以前にも見たことがあるが、
経筒の表面に刻まれているはずの道長の字をまじまじと探した。
2階へ降りて行くと円山応挙の作品がいくつか展示されていた。
今年で生誕290年だそうで、
そのためちょっとした応挙の特集展示がされていたのだ。
数は多くはなかったが、これらが意外にもとても良かった。
狩野派から学んだ虎の図から始まり、
雁と芙蓉、鴨の図の二対の軸物「芙蓉飛雁・寒菊水禽図」は
特に芙蓉の花の描写がとても美しく、
しばらくその場でじっと眺めていたくらいだった。
応挙の几帳面な描写は花の美しさを余すことなく描いていて素晴らしかった。
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また「雲龍図屏風」は巨大な屏風に2匹の龍が迫力満点に描かれ、
巻き上げるような雲の描写と共に応挙の力量が存分に発揮されていた。
雛人形を見に来たのに、
思いがけず応挙の名品まで見られて嬉しい思いになった。
1階へ降りて彫刻の部屋へ行くと、
久しぶりに宝誌和尚立像が展示されていた。
重要文化財の変わった仏像で、顔が両側にぱっくりと割れていて、
中から観音様の顔が見えているという、故事に基づいた仏像だ。
変わっていて面白い仏像なのでまた見られて嬉しい。
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そして1階の1室にある雛人形の部屋へ行く。
雛祭りの始まりは意外と遅く、江戸時代初期からだそうで、
始めは人間の穢れを祓うために、木や紙で出来たヒトガタに移し、
川へ流す3月の祓いの行事だったという。
そういえば自分たちの町内でも神社から6月と12月に、
紙のヒトガタが数枚配られて来て、そこに家族分の名前と年齢を書き、
息を吹きかけて神社に渡すという行事がある。
すると神社がそのヒトガタをお焚き上げしてくれるのである。
もしかしたらそうした行事が発展して雛祭りになったのかも。
それがやがて公家の女子たちが3月3日に行っていた
お人形遊びのひいな遊びと結びつき、江戸時代には
飾るための豪華な雛人形へと発展していったものだという。
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雛人形の始まりは立ち雛だった。
簡素なもので、始めは立たせることが出来ない、
ヒトガタが発展したような男女対のものだった。
それが立たせることが出来るような形になり、
衣服が徐々に豪華になり、次に座った状態のものになり、
それに公家の装束を着せた、飾るための人形へと発展していった。
その雛人形が徐々に発展し形式を整えててゆく様子が展示に表されていた。
展示は近代のものはなく、江戸時代のものに限られていた。
(個人のコレクションで寄贈されたものもあった)
「寛永雛」「享保雛」「次郎左衛門雛」「古今雛」などと分類されている。
それぞれスタイルの違いや、制作した当時の人形師の名を取ったものなど、
時代によって見た目がまったく違うのが興味深かった。
顔が簡素な初期のものは女雛が両手を開いたままの形で、
手が袖の中に隠れていた(手は作られていない)。
目や鼻や口だけが目印のように描かれていた初期のものが、
時代が進むにつれ表情も写実的になる。
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驚いたのは大きさで、50㎝くらいはあるかと思うような巨大なものがあった。
五人囃子も従えているものはすごく広い場所を取っていた。
ちなみに五人囃子は江戸特有のもので、上方では流行らなかったそうだ。
江戸と上方の違いも展示に表現されていた。
江戸の雛は玉眼がはめ込まれているのが特徴だという。
上方(京)のお雛様は公家への憧れがあり、
装束が公家装束を模したものになり、
そこに女雛の袖口に刺繍を加えてより豪華なものに仕立てたという。
何よりそれら江戸時代のものが保存状態もよく、
装束も念入りに仕立てられているのに驚かされた。
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巨大な雛人形の御内裏様たちは誂えたもので
当時の豪商の家に伝わったものらしい。
どおりでとても豪華で細部まで細かく作られていた。
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最近の女雛の冠は簡素化されたものだが、
江戸期のものは天冠といい、左右に装飾のついた豪華なものだった。
自分の家にあったお雛様も、そういえばこのような冠を被っていた。
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最後に御殿飾りが展示されていた。
とても巨大で広い場所のある広い家でないと飾れなかっただろう。
いかにも豪商の家で飾られたものらしい精緻で巨大なドールハウスだった。
置かれていた小物や雛道具もひとつひとつ素晴らしく、
ミニチュアの御膳、お椀、急須、茶道具など、目を見張る細かい細工で、
ミニチュア好きにはたまらないものが御殿の前にずらりと展示されていた。
御殿飾りは宮中を模したもののようで、
内裏雛が住まう御殿を再現した。
迫力満点で圧倒された。
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家では飾らなくなってしまったので、
博物館で雛飾りを見て楽しもうかと思い見に行ったが、
江戸期のものばかり集めたかなり学術的な展示で、
博物館らしい雛人形の飾り方(展示方法)だった。
家でも古い雛人形を飾りたくなった。
どこにあるか分からなくなってしまったが・・・。
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