自己満足的電脳空間

完全自己満足主義。テーマはない。自分の趣味・関心事を偏った嗜好と思考でダラダラと書き綴る自分のための忘備録。

ミニッツ・メイド・パークの「タルの丘」

2017-10-24 00:05:00 | ユニフォーム・球場考察
先日記載した「クッキーカッタースタジアム in the NPB」「イビツで異常で規格外な形状の球場」でも、多少言及したが、NPB使用球場は左右対称のフィールド形状をした球場の使用がメインである。一方MLBでは立地条件の制約もあり左右非対称の球場が19世紀末から20世紀上旬に多く建設された。しかし1960年代以降はアメフトとの兼用球場「多目的スタジアム」建設ブームによりNPBの球場のような左右対称の球場の建設が主流となった。そして、1992年に新設された「オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ」の登場により、再びトレンドが変わった。と言うよりは意図的ではあるが古き良き時代の「左右非対称」形状へ原点回帰した。

オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ

いわゆる「レトロ回帰」により1992年に建設された新古典主義球場「オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ」のフィールドは意図的に左右非対称に設計され、他に「レンガや鉄骨を組み合わせた外観」「天然芝」「野球専用球場」が意図的に組み合わされた。以後、新設される新古典主義球場はこれらのトレンドが組み入れられ、現在に至る。

今年のア・リーグ優勝決定シリーズ(NYY@HOU)の舞台になり、数日後にはワールドシリーズ(LAA@HOU)も開催されるヒューストンの「ミニッツ・メイド・パーク」は「レトロ回帰」「新古典主義」にこだわるあまり、無用な長物を設置した球場で有名であった。昨年の2016年まで設置されていた『タルの丘(Tal's Hill)』が、まさにそれである。

ミニッツ・メイド・パーク全景


赤丸で囲った部分が『タルの丘』




タルの丘




レッズの旧本拠地クロスリー・フィールドにあった『テラス』を模したものといわれ、傾斜30度の坂をセンターフェンス手前に設置。

クロスリー・フィールドにあった『テラス』は1937年の大洪水で球場が21フィート(約6.4メートル)の高さまで水没した際に流れ込んだ土砂がそのまま残ったもので左翼手の定位置やや後ろ付近からフェンスにかけてが急な上り坂。あくまでも自然災害による賜物で人工的に設置したものではなかったが、『タルの丘』は意図的に設置。更には、この丘にはフラッグ・ポールを設置(同じくタイガースの旧本拠地タイガー・スタジアムを模したものといわれる)。



#15 ジム・エドモンズ(STL)

これは中堅手には大変不評だったらしく、特にカルロス・ベルトランはFAになった際に、「これを取り除かないとアストロズとは契約しない」と発言したぐらいだった。


うわっ、痛そう…




最終的には2016年のシーズン後に撤去され、本塁から中堅フェンスまで435フィート(約132.6m)から409フィート(約124.7m)に縮まった。新設されたフェンスより後ろの部分は、売店などを設置して観客用エリアとなった。







2017年の上面図。上記平面図(上から3枚目)と比較しても分かるように、タルの丘が撤去され、タルの丘のあった箇所前方にフェンスを新設。

フィールドプレーヤーの意見を尊重して撤去した英断は素晴らしい!と思う反面、人工的にしても、この球場ならでは!という風景がもう見れなくなることに関しては一抹の寂しさはあった。まぁ、仕方ないか…。

※他にもユニフォームのこと、球場のこと、ゴチャゴチャ言ってます(笑)