自己満足的電脳空間

完全自己満足主義。テーマはない。自分の趣味・関心事を偏った嗜好と思考でダラダラと書き綴る自分のための忘備録。

TB新球場プラン発表…でも…

2018-08-22 00:05:00 | ユニフォーム・球場考察
TB(タンパベイ・レイズ)の本拠地「トロピカーナ・フィールド」はMLBで唯一の密閉式ドーム球場&人工芝で、内部の薄暗さも手伝って全球団中、最も魅力のないボールパークのひとつとまで酷評されている。




以前のニックネーム(デビルレイ=エイ)に因んで外野にはエイが泳ぐ水槽があり、球場内には様々なレストランやショップもある。その種類の多さから「モールパーク」と呼ばれることもある。TBが勝利したときには、球場の屋根がオレンジ色にライトアップされる演出が施されており、地元のファンを楽しませている…とは言え、やはり時代遅れの密閉式ドーム球場&人工芝では酷評もやむを得まい。

そこでTB球団はタンパに建設するという新球場は2023年のオープンを目指すプランを発表した。

その新球場プランはいくつかの点で個性的だ。1992年にオープンしたボルティモアのカムデンヤーズに端を発し、その後主流となった復古主義デザインとは全く異なる近未来的デザインだ。大きな特徴としては、透過性の固定ルーフを持ち、周囲をガラスで覆っていることが挙げられる。この、まるで金魚鉢のような発想は、降水量が多く高温な気候対策とクローズドルーフの球場特有の閉塞感の排除を両立するためのものだろう。残念ながらコストの面でルーフの開閉は見送られたが、側面のガラスは一部可動式らしい。




他の特徴としては、収容人員はわずか3万人強で、完成すればMLB全球団の本拠地中最少となる。その分、砂場エリアや噴水そばの席やピクニックシート、ブルペンバーと、アメニティの充実には力を入れている。少ない収容人員は近年のトレンドで、満員感を醸し場内の一体感を増すとともにチケット価格を上昇させることを狙ったものだ。また、「小ささ」はこの新球場のテーマのひとつで、ファウルゾーンは極めて狭く、ダイヤモンドとの距離は、リグレー・フィールド、フェンウェイ・パークに次ぐ近さらしい。

また、コンコースは24時間・週7日解放となるようで、試合がない日も人々が訪れる(お金が落ちる)施設になるらしい。2017年オープンのアトランタのサントラストパーク同様に、これも最近のトレンドの一つだ。

Rays ballpark plans in Ybor City include translucent roof, sliding glass walls


この構想通り建設されるのであれば、この新球場は21世紀のアストロドームにもなり得る。1965年にヒューストンにオープンしたアストロドームは、当時としてはかなり画期的な施設だった。何せ、屋外で行うはずの野球を屋内に閉じ込めてしまったのだから。「世界の七不思議」になぞらえて『世界8番目の不思議』と評されたこともあった。

オープン当時のアストロドームのルーフパネルは透過性の確保できるものだった。ところが開場後に選手から「ルーフがハレーションを起こしてフライボールが見にくい」と苦情が出た。そのため、ルーフをペイントしたら天然芝が枯れてしまった。その事態を解決するために導入されたのが、人工芝たるアストロターフだ。

※在りし日のアストロドーム

ちなみにタンパの新球場でも、フィールドには残念ながらアストロドーム同様人工芝が敷かれるようだ。ルーフが透過式でフロリダの強い日差しをもってしても、天然芝の維持は難しいとの結論に達したようだ。

個人的な意見を要約すると、人工芝はかなりのマイナス点だが全体としては中々魅力的な球場のようにも思える。しかし、それ以前にとても大きな問題点が残っている。

それは、総額約9億ドルとも見積もられている建設費の捻出だ。アメリカでは、球場建設に公費が投入されることは珍しくない。これは、球場以前に球団自体が地域の財産との考えが浸透しているからだ。しかし、必ずしも市民全体が野球を楽しむわけではなく、球場の建設費用捻出のために市民全体に増税を課すことに反対意見は根強い(過去には球場の建設費用捻出負担をモントリオール議会に否決され、エクスポズは新球場が建設できず、結果ワシントンに移転することになってしまった)。今回のプロジェクトでもレイズが負担する1.5億ドル以外の資金ソースは目処が立っていない。今のままでは、「絵に描いたモチ」になりかねない。

TBの新球場問題は、もうひとつの同様な問題を抱えるOAK(オークランド・アスレチックス)の動向にも影響を及ぼしそうだ。ロブ・マンフレッド・コミッショナーが折に触れ「懸案のエクスパンション(球団数拡張)も、この2球団の新球場問題が片付いてから」とコメントしているが、場合によっては他都市への転出の可能性もある。モントリオールのように球団が去ってしまうか、タンパに球団が存続するのか…その命運は、この新球場建設の可否にかかっていると言っても過言ではないだろう。

※他にもユニフォームのこと、球場のこと、ゴチャゴチャ言ってます(笑)