パトリシア・カースがエディット・ピアフの曲のカバーCDを出していて、タワーレコードで何度も手にとってはみたが、結局買っていない。彼女には似合わない歌い方という単純な理由だが、その前に好きな曲がチョイスされていないことの方が決定的だと思っている。
好きな曲が入っていれば欲しいのだが、彼女にとってはこれは失敗作だったと思っている。昔、ラウラ・パウジーニも英語版のオリジナルCDを出したが、これは明らかに失敗作だった。歌手には雰囲気がある。彼女はラテン系であって、相当レッスンしたと聞くが英語圏では無理がある。カースも純粋なフランス語で歌うが、あの独特の巻き舌のような旋律が根底にあるピアフの曲を歌うのは、絶対無理がある。やはり若いZAZの歌い方に軍配があがる。
ラウラは、必ずイタリア語とスペイン語のCDをほぼ同時に発表する。イタリア語だけではどうしてもセールスが伸びない。世界でイタリア語を使っている人たちは少ない。しかし、スペイン語だと植民地が多かった、大航海時代の範囲が全てカバーできる。
彼女はアメリカでもツアーを行うが、どちらかといえば中南米が圧倒的に人気が有る。ララ・ファビアンもそういう意味では同じだ。ベルギー出身で、カナダで育ち、最初は英語のCDを発売した。もちろん人気は出たが、フランスでブレイクした。その後彼女は、フランス語中心だが、イタリア語もスペイン語でも歌う。そして、近頃はロシアに活動の場を広げている。東ヨーロッパはロシア語が冷戦時代の影響で普及している。だからヨーロッパを席巻するならロシア語、フランス語、スペイン語を抑えれば問題無い。英語は公用語というが、それはビジネス的な発想であり、少し認識が違う。
ならば中国語やヒンディー語だっていいはずである。しかし、文化が違う。こと音楽はわからないが、マーケットとしてはダメなのだろう。ダムの世界も同じで、論文の第一言語はフランス語だ。いつも侵略を繰り返されたフランスが第一公用語とは不思議だが、ダムの歴史を振り返るとこの辺は理解出来る。この話は、いつかしたいと思う。
さて、久しぶりに古いラウラの音楽を聴いている。どちらかといえば、今はアナリーサやキアラといった若手の女性歌手ばかり聴いている。これは反省。映像とともにこの曲を聴いてみてください。結婚する前の彼女だが、クラシカルな雰囲気がとてもいい。
Laura Pausini - Non sono lei