Hankの無線ログ

アマチュア無線の活動記録です。
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1kW変更検査合格までの軌跡(前編)

2020-06-18 14:18:38 | 1kW免許

古いパソコンを処分しようとHDD内にあるファイルを整理していたら、2008年に1kW免許を取ったときに某ハムクラブの会報に寄稿した記事が発掘されました。
10年以上前の話ですので、今とは状況が違うことも多いと思いますが、自分自身の備忘録として、またこれから1kW免許にチャレンジしようと思う方の参考になればと思い転載します。 以下、記事の転載となります。

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1978年5月にアマチュア無線を始めて以来、早30年が過ぎました。
開局30周年のビッグイベントとして、1kW変更検査に無事合格することができましたのでご紹介します。

2008年7月3日 プロジェクト開始

今年もすでに半年が過ぎた7月の初め、開局30周年の記念として年初に目標を立てた1KW化プロジェクトを開始することにしました。

とりあえず、申請のご挨拶を兼ねて東海総合通信局へ電話し、ハイパワー免許に関して、ずっと疑問に思っていたことを問い合わせてみました。



 

Q1:HF帯で、一部のバンドはアンテナの耐入力が200Wまでしかないので特定のバンドだけKWにしたいが問題ないか?
また200Wのままのバンドは、リニアが働かないような対策が必要か?

A1:希望のバンドだけKWにすることは問題ない。 
物理的に200W以上のパワーを入れられないアンテナしかないのならリニアはそのままで特に細工は不要。
但し、アンテナが無いのはダメ



これは、実際にはKW運用するつもりのないバンドまで検査のためだけのアンテナを整備したりTVIの調査をするのが大変なので、まずは実際にDXハンティングをしているバンドだけで1kW免許をおろしたかったためです。
ネットでの情報では、kWをおろさないバンドはリニアが動作しないようにインターロックが必要とあったのですが、東海総通の見解は、アンテナの耐入力が低い場合、リニアはそのままで問題ないようです。
ただ、ほとんどの局が160mからオールバンドKWにしているのは、何度も検査を受けるのを避けたいためと思われます。


 

Q2:クランクアップタワーの場合、電波防護指針上、クランクダウンしたときはリニアの電源が入らないようにする細工は必要か?
A2:特に必要なし。通常、クランクアップタワーは伸ばして使うものだから、最大に伸ばした状態で防護指針の計算をすればよい。



リニアを焚いてDX交信をやるときは当然タワーを一杯伸ばして運用するんでしょ?ということのようです。
ネットで見ると、タワーの高さが低いときはリニアアンプが働かないようなインターロックが必要と書いてあったのですが杞憂に終わりました。
なんでも疑問に思ったことは直接聞いてみるのが良いようです。
(但しこれは各地方総通により見解が異なる可能性があります。他のエリアでは別のことを言われるかも)

という訳で、いままで、1.9~50MHzまで全バンドのkW対応アンテナの準備をどうするか、いろいろなインターロックをどう取るか?が悩みの種だったのですが、一気に明るい光が見えてきました。

そこで、現在KW対応のアンテナがある、7、10、18、50の 4バンドだけで1kW免許を年内獲得を目指して頑張ってみることにしました。



2008年7月5日 電波防護指針

ハイパワーの申請には、自局の電波が電波防護指針の値を満足しているかどうかをチェックした資料を提出しなくてはなりません。
今までなかなかハイパワーの申請に踏み切れなかったのは、この計算がよくわからず面倒だった、というのもあります。
しかしいろいろ調べていくと、ネット上に防護指針データを計算してくれるエクセルシートがあり、それに値を放り込んでいくと、簡単に合否を判定してくれることが分かりました。

しかし、実際に数値を入れてみると、6mがOKになりません。
現用の8エレ八木ではゲインが有り過ぎるのです。

どうしたものかと思っていたら 俯角減衰値というものを考慮すれば良いことがわかりました。
これは、指向性アンテナが水平面にビームパターンを持っているように、垂直面にもパターンがあり、アンテナの真下のほうにはそれほど電波が出ていません。そのため、減衰値を差し引いて計算できるのです。
ただこの値はちゃんと測定するか、アンテナメーカーから資料を取り寄せないといけません。
幸い、8エレのメーカーであるクリエイトデザイン社は、この手の資料をすぐに送ってくれるそうで、さっそく依頼してみました。
すると翌日にはメールでPDFファイルが送られてきました。
それによると、8エレの場合、アンテナ下方では最低でもー10dBは減衰するため、下方の実質ゲインは2~3dBとして計算できることがわかりました。
これなら問題なく ○(基準値内)です。
これでひとつ前進しました。



2008年8月1日 IC-PW1オーバーホール

1kW化の主役であるリニアアンプにはICOMのIC-PW1を選びました。
これはメイン無線機が同社の IC-7800のためメーカーを揃えたほうがコントロールが楽というのもありますが、たまたまヤフオクで中古品が出ていた、というのもあります。
無事落札した物は予想以上に程度が良かったのですが、このまま検査を受けるのも心配だったので、念のためすぐにアイコムに点検に出しました。
また、ある方のHPで、IC-PW1は筐体輻射が大きいがメーカーに言えば対策してもらえる、ということを読んだのでそれも併せてお願いしました。
点検の結果は、特に異常は無かったようでした。
また、なにがどう変わったかは判りませんが、一応修理票には「TVI対策しました。」と書いてありました。
点検とTVI対策で技術料4,410円でしたので、安心料としては安く済んで良かったです。



2008年8月12日 申請書完成

今朝からラストスパートをかけ、変更申請書がやっと完成しました。
作った書類は12枚。
何度もやり直して途中投げ出しそうになりましたが、ついに完成です。
明日、投函しますが、無事に変更許可が出ますように、、、




2008年8月20日 コモンモードフィルター注文

インターフェア対策のフィルターは、性能に対する評価の高いサガミエンジニアリングのものを選びました。
本当は、ハムフェアの展示即売で買おうと思っていたのですが、仕事で参加ができなくなり、急遽、通販で買うことにしました。
値段交渉の結果、通販でもハムフェア特価で売ってもらえることになりラッキーでした。
納期については、ハムフェアでの販売を優先するのでしばらくかかるとメールが来たので数週間位かかるかな?と思っていましたが、すぐに届きました。
届いたフィルターはローパス、コモンモードとも、予想以上にデカかったです。
他社との性能比較表もついていましたが、某RF社のものと比較してもダントツの性能のようです。



2008年8月31日 フィルター整備

本日は、インターフェア対策の要であるフィルターの整備を行いました。
各アンテナ毎に、コモンモードフィルターとローパスフィルターを直列に入れ、さらにリニア用電源周りには、ドーナツコア2個を使って配線をキャンセル巻きしたものをタッパウェアに入れて自作した物を挿入しました。
その他、ヤフオクやジャンク市で大量に買ったトロイダルコアが大活躍しました。




2008年9月2日 変更許可がこない、、

変更申請書を提出して3週間が過ぎましたが、なかなか総通から連絡が来ないので催促の電話をしてみました。
そうしたら、「現在 審査中だが来週中には変更許可を出す」と、蕎麦屋の出前のような事を言われました。
しかし、催促しなければそのまま放って置かれそうだった気配もします!?
ある方のブログの1kW体験記に、早く免許を得る秘訣として、「(総通に)良く問い合わせをして(検査官と)意識あわせがしっかり出来る人ほど早く終わることが出来る傾向である」と書いてありましたが、意味がわかった気がしました。



********************** 後編に続く ******************


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