題字 「いちりん」 求道
バラ科。落葉小高木。
中国北部が原産地。
日本への渡来は古く、平安時代と言われています。
渡来当初は「唐桃」と呼ばれ、薬用として使われました。
ヨーロッパにも伝来し(「アレキサンダー大王」のころ)、
「ヨーロッパ系種」となって広まっていきます。
樹高は、5メートル前後。
花期は、3~4月。
サクラよりもやや早い時期に、
白や淡いピンクの5弁花を咲かせます。
涼しい気候に適していて、
日本では、長野県が全生産量を7割を占めています。
あんず
バラ科、ネパール原産 学名:Prunus armeniaca
食欲増進作用、便秘に効果も。
あんずの原産地はネパールから、中国の山東、山西、
河北地方の山岳地帯ですが
、植物学者のリンネが、あんずの原産地をアルメニアと
間違って、Prunus armeniaca
(アルメニアのプラム)と命名したようです
。古名はからもも(唐桃)といい、中国では古くから栽培
されていましたが、ヨーロッパには
1世紀頃に伝わり、多くの品種改良がなされ、18世紀になると
アメリカに伝わり、
今ではカリフォルニアが世界的な産地になっています。
果実は生食にするほか、
干しあんずにしたりジャムやシロップ漬けにして広く利用
されています。
あんずの持つ甘味はブドウ糖や果糖、酸味はリンゴ酸や
クエン酸によるものです。
こうした有機酸は、胃液の分泌を促進させて消化を助け、
食欲を増してくれます
。ビタミンではA(カロチン)が多く、ミネラルではリンと鉄が
多く含まれています
。日もちが悪いので、ジャムや缶詰、干しあんずにされますが、
干しあんずには果糖が非常に多くハイカロリーなので、
登山、遠足や
激しい運動後などに2~3個食べるだけで元気が回復します。
また緩下作用に優れていますので、便秘がちの人は、
毎日食べるとよいでしょう。
脳動脈硬化症のボケ予防に期待。
また、果肉に含まれているアミノ酸の一種のギャバは、
脳の血行を良くする作用が知られていますので
、脳動脈硬化症Iこよる
ボケの予防の効果も
十分に期待されます。
昔からあんずは、冷え症に効くことで有名ですが、
冷え症で虚弱体質の人は、
あんず酒(熟したあんず1kgを洗い水切りしたものを、
氷砂糖200gとともに広口びんに入れ、
ホワイトリカー1.8Lを注ぐ。6ヶ月後にあんずを取り出す)を
就寝前に杯一杯飲めば、
体が温まり、滋養強壮作用を発揮してくれます。
古く中国では、貧しい患者から治療費を取る代わりに、
あんずの木を植えさせました。このことから、
医者の事を杏林というようになったわけです。 (石原結實)