世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

孤独

2025-04-13 02:11:48 | 詩集・こどもたちへ

きのこのように
頭から伸びて来る
孤独に
嘘が絡まって
とても痛い

仮面をつけて
かき集めた
友達はいるけれど
みんな嘘だから
ちっともうれしくない

だれも愛していない
だれも信じていない
わたしが
まるのまま嘘だから

ああ
凍り付いた
湖の上を
滑るように
人生が流れてゆく

もうどうでもいいと
わたしがわたしを見捨てて
見知らぬ闇の中に
逃げてゆく

馬鹿なこと
しなければよかった





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偽物

2025-04-12 01:37:11 | 詩集・こどもたちへ

かわいくなくなるのが
いやだから
嘘をかぶって
生きていきたいのです

本当の自分は
何もいいことはしていない
醜い馬鹿だから
いやなのです

流れる髪も
花のような唇も
すべては嘘
そんなことはわかってる

自分を
嘘の塊にして
人をだまそうとしている
汚い馬鹿になっている
そんな自分が
常に苦しくて
でも
ブスになるのは絶対にいや

かわいいままでいたい
これが本当の自分だと
思いたい
でも

わたしを見る
みんなの目が
冷たい

こんなにかわいいのに
指をさされて
これは愛ではないと
言われるのです




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幻の都会

2025-04-11 01:58:48 | 詩集・こどもたちへ

もういやだ
こんな人生
生きていたくない

嘘で作った
家も
庭も
みんなつぶして
逃げてしまいたい

でもどこに
逃げればいいのか
本当の故郷は
永遠の向こうに
捨ててしまった

夢のような
人生が欲しいと
幻の都会に
逃げてきたのは
わたしなのに

ああもういやだ
こんな人生
生きていたくない

好きでもないことをやって
いやらしい金を稼ぎ
好きでもない虎を飼って
ずっとその世話ばかりやるなんて

本当の自分に
戻りたい
本当に愛するものと
暮らしたい

どこにいけばいいの
わたしは




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愛の墓標

2025-04-10 02:17:27 | 詩集・こどもたちへ

素知らぬふりで
通り過ぎることが
できなくて
いつまでも同じところを
ぐるぐる回っています

愛なんて
馬鹿にして
自分のためだけに
何でもやっていれば
幸せになれると
ずっとそれでやってきたのに

遠い昔に殺した
愛の墓標を
忘れることが
こんなに難しいとは
思わなかった

心の隅に
針を刺されて
それを抜くことが
どうしてもできないのです

針を抜けば
永遠に自由になれるのに
永遠に
永遠に
楽ができるのに

愛の墓標に
からみついた糸を
針に通して
わたしはずっと
その周りを
さまよっているのです




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ガム

2025-04-09 01:52:03 | 詩集・こどもたちへ

苦い人生の実を
ガムのように噛みながら
今を
耐え忍んでいます

嘘で作った人生など
何も楽しくはなかったと
気づいたときには
すべてが遅かったのです

自分で作った
蝋の仮面をかぶって
窒息する心に
無理やり嫌な薬を飲ませながら
わたしは残りの人生を
だらだらと生きていくしかないのです

こどもたちよ
こどもたちよ
嘘の人生なんて
生きてはなりません
こんなことはもう二度と嫌だと
恐ろしく痛い思いをするから

嘘をかぶっているのなら
今すぐにそれを捨てた方がいい
嘘の根が
魂に深く刺さらないうちに
すべて
やめたほうがいい




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孔子

2025-04-08 01:56:58 | 詩集・こどもたちへ

ダイヤモンドの砂が
流れ込むように
あなたのことばが
魂にしみ込んで来る

硬いきらめきが
胸の中で
爆発して
愛のありかを
わたしに教える

いのちとは
愛なのだ

仁なのだ

愛が
真ん中に来れば
すべては
よきことになってゆく

愛を
大切にせよ
そのやり方を
すべて
教えてやろう

美しいことばが
馴れた小鳥のように
わたしの胸に
巣を作る




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腐った孤独

2025-04-06 02:00:59 | 詩集・こどもたちへ

お尻のあたりに
腐った孤独を
ぶら下げて
世間に追従笑いする
自分がつらくて

心臓の中に
巣を作った蟻地獄が
苦い感情の粒を
食べてゆく
その痛みが
悩ましくて

すべて
否定してしまいたい
わたしが生きている
この人生のすべて

嘘です
みんな嘘です
好きでもないことをやって
幸せになれるはずないのに
わたしは喜んで
そこに飛び込んだのだ

本当の自分なんて
大嫌いだったから

馬鹿なことをして
生きてきた月日が
足元にからみついて
わたしを
どこか知らない地獄に
引き込んでゆく

ああ
もう誰も
助けてはくれない




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自由の鎖

2025-04-05 01:38:29 | 詩集・こどもたちへ

山を
ふたつに割るような
大きな矛盾の傷が
俺を支配している

俺は傷だ
傷そのものだ
どぶ水のような
汚い血を噴き出し
腐った痛みを
叫んでいる
沈黙のまま

鈍い作り笑いの
仮面をかぶり
極上の幸せを食いながら
魂が
飢えにしぼんでゆく

もういやだ
こんな自分を
生きていたくない
それなのに
自由の鎖が
俺を縛りこむ

すべては
俺自身が
選んだことなのだと




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猫女・10

2025-04-04 01:56:20 | 詩集・こどもたちへ

がらくたのように
足元に転がっている
幸せの残骸が
白けた日差しを浴びて
黙っている

翻るカーテンの向こうに
遠い浮島が見える
あれは
とっくの昔に捨てた
本当のわたしの恋

ああ
こんなことになるとは
思わなかった
あでやかな毛並みの
白い猫がうらやましくて
本当のわたしを捨てたら
あっけなく恋が消えた

失ったものが何なのかを
知るために費やした
長い年月が
痛くわたしに
覆いかぶさって来る

わたしの恋
本当のわたしが
好きだったひと

偽物の幸せが
陶の壺のように割れて
中から
空っぽの砂が出てきたら
もうすべては終わり

愛が欲しい
本当の愛が




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光る海

2025-04-03 01:32:45 | 詩集・こどもたちへ

光る海に
自分を投げ込んで
溶けてしまいたい

神さまが
自分を生んだその前の
甘い混とんの中に
戻りたい

罪も影も
深い傷の痛みも
柔らかに溶けて
なくなってしまうだろうか

背中でうずく
矛盾の亀裂から
奇妙な黒い翼が生えて来る
そんな苦しい
魂の変容からも
逃れられるだろうか

愛が
痛い

永遠になくならない
自分の重さが
巨大な鉄の林檎のように
のしかかってくる

それでも
生きよと
愛がささやく





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