<福島民報論説より>
原発賠償肩代わり】責任ある枠組み構築を(5月20日)
東京電力福島第一原発事故の賠償費用は4月末現在で総額2兆2136億円に達した。見積もりを含め、約3兆8千億円に上る。政府は東電の負担を5兆円まで一時的に肩代わりする。金額の大きい不動産賠償は今後、本格化する。総額は、いまだ不明だ。賠償は避難者の生活設計に欠かせない。政府は肩代わり枠を拡大する一方、当事者責任も厳しく問うべきだ。
東電が支払った損害賠償の相手は、法人・個人事業主が最も多く1兆594億円。個人賠償が6541億円、自主避難が3505億円、避難区域や屋内退避区域などの住民を対象とした仮払い補償金が1496億円だ。
政府は、賠償金肩代わりのため3月までに、原子力損害賠償支援機構から2兆2313億円を東電に交付した。原子力損害賠償契約法に基づく補償金1200億円も出した。しかし、東電は平成25年3月期の連結決算で純損益が6852億円の赤字だ。膨大な賠償費用と、原発停止の長期化、円安進行に伴う火力発電の燃料費増が響いた。
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は12日、事故で避難指示対象になった県内市町村で、初めて現地調査した。能見喜久会長は「震災だけでなく(原発事故で)住民が住めなくなったことで、(住宅の)被害がさらに大きくなっている」とし、賠償範囲や額を定めた中間指針の見直し検討を示唆した。
震災直後に修復すれば住めた家屋もある。しかし、避難が長引き、雨漏りで天井が崩れるなどして取り壊さなくてはならない事例も目立つ。財物賠償の総額は、時間がたつほど膨らむ可能性が高い。
赤字の東電は巨額な賠償金に単独では対応できない。国の出番だ。東電の追加支援要請に安倍晋三首相は「国が一歩前に出る」と含みを持たせたが、具体策は示さない。
「国策」が招いた事故の責任は国にある。安倍首相は財務省など「霞が関」の尻をたたき、早期に追加支援をする責任がある。使うのは国民の血税だ。東電に一層の経営効率化を求めるのは最低条件だ。東電に融資する銀行の貸し手責任、株主責任も再度、論議が必要だろう。
事故当時の監督官庁や東電の幹部は責任を取っていない。衆院調査特別委員会は、「更迭」されたのに勧奨扱いで割り増しの退職金をもらった官僚トップ、役職に居座った東電幹部を招致し、賠償金の一部を支払うよう求めてはどうか。(小池 公祐)
東電が支払った損害賠償の相手は、法人・個人事業主が最も多く1兆594億円。個人賠償が6541億円、自主避難が3505億円、避難区域や屋内退避区域などの住民を対象とした仮払い補償金が1496億円だ。
政府は、賠償金肩代わりのため3月までに、原子力損害賠償支援機構から2兆2313億円を東電に交付した。原子力損害賠償契約法に基づく補償金1200億円も出した。しかし、東電は平成25年3月期の連結決算で純損益が6852億円の赤字だ。膨大な賠償費用と、原発停止の長期化、円安進行に伴う火力発電の燃料費増が響いた。
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は12日、事故で避難指示対象になった県内市町村で、初めて現地調査した。能見喜久会長は「震災だけでなく(原発事故で)住民が住めなくなったことで、(住宅の)被害がさらに大きくなっている」とし、賠償範囲や額を定めた中間指針の見直し検討を示唆した。
震災直後に修復すれば住めた家屋もある。しかし、避難が長引き、雨漏りで天井が崩れるなどして取り壊さなくてはならない事例も目立つ。財物賠償の総額は、時間がたつほど膨らむ可能性が高い。
赤字の東電は巨額な賠償金に単独では対応できない。国の出番だ。東電の追加支援要請に安倍晋三首相は「国が一歩前に出る」と含みを持たせたが、具体策は示さない。
「国策」が招いた事故の責任は国にある。安倍首相は財務省など「霞が関」の尻をたたき、早期に追加支援をする責任がある。使うのは国民の血税だ。東電に一層の経営効率化を求めるのは最低条件だ。東電に融資する銀行の貸し手責任、株主責任も再度、論議が必要だろう。
事故当時の監督官庁や東電の幹部は責任を取っていない。衆院調査特別委員会は、「更迭」されたのに勧奨扱いで割り増しの退職金をもらった官僚トップ、役職に居座った東電幹部を招致し、賠償金の一部を支払うよう求めてはどうか。(小池 公祐)
( 2013/05/20 09:17カテゴリー:論説)
*小池氏の論説に私も同感です。
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