<福島民報論説より>
【「中間貯蔵」の回答】実効性ある支援策示せ(7月8日)
東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設をめぐり、石原伸晃環境相はお盆までに支援策について回答する考えを示した。国が地元の要望に対してどれだけ真剣に向き合っているか、住民の思いを本当に分かっているのか-。ようやく、その答えが出る。支援策の内容を注視したい。
政府は中間貯蔵施設の建設に向け、5月末から6月中旬にかけて県内外で16回にわたり住民説明会を開いた。建設候補地がある大熊、双葉両町民をはじめ大勢の住民が出席し、用地・建物の損失補償額の目安、用地の賃貸借の可否、地域振興策の具体的な内容、県外最終処分場の整備見通しなどについて質問した。政府側からは「検討中」などとする答えが目立ち、あいまいさが残った。
住民側が説明会を施設の建設受け入れを判断するための重要な場と考え、具体的回答を期待したのに対し、政府側は意見を吸い上げる場として踏み込んだ発言をしなかったため、かみ合わなかった。本来、説明会の席で支援策が提示されるべきだった。大熊町議会がさらなる住民説明会の開催を要求し、国から誠意ある回答があるまで拙速な判断をしないよう町に申し入れるなど、地元に不満が広がっていることを政府は重く受け止めなければならない。
石原環境相は交付金の規模などを含めて数項目を一括して示す方針のようだ。これまでに寄せられた意見、要望を踏まえ、住民と地域がしっかりとした将来展望を描けるような実効性のある支援策を求めたい。さらに支援策の提示後も住民らの声に丁寧に耳を傾け、真に地元に寄り添った内容に練り上げていく努力を続ける必要がある。
石原環境相の「最後は金目[かねめ]でしょ」発言以降、住民感情は厳しさを増している。政府の姿勢が問われている。再度地域の思いをないがしろにするようなことがあれば、より深刻な事態を招きかねない。肝に銘じてほしい。
並行して県民の不安を解消する取り組みにも力を入れるべきだ。
福島民報社などが6月21、22日に実施した県民世論調査によると、中間貯蔵施設への廃棄物運搬の際の安全性について「不安がある」との答えは34・8%、「やや不安がある」は40・5%だった。合わせて75・3%が不安を感じている。政府の方針に対し、多くの県民が根強い不信感を抱いていることが分かる。説明も安全対策もまだまだ足りない。(佐藤 研一)
( 2014/07/08 08:46カテゴリー:論説 )
民報の佐藤記者の論説は建前に近い論点だと思います。
民友の現在進行の原発災害「復興」の影は本音に近い論点から書いてます。
今日の今を問う(9)などは県民の立場から見た原発避難者を厳しい意見を含めています。
毎日系列の民報と読売系列の民報では県内紙でも違います。
自分は建前と本音、県民からの視点と原発避難者の視点。
それによって、書かれ方が大きく違ってきます。
自分なりに2紙を冷静に読んでいます。
物事を判断する時は擁護する意見の情報、厳しい意見の情報などの材料によって冷静に行えます。