鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

【解説】 ルキアンの「戦い」と、その背景

連載小説『アルフェリオン』、そういえば第30話に入って以降、主人公のルキアンがまだ一度も出てきませんね(^^;)。裏の主人公(?)ことアレス君が活躍する回には、ルキアンは空気になることが多いのです。

ルキアンは30話の後の方でようやく復帰します。しかし30話以降、当分の間、ルキアンに関しては地味展開が続くと言えるかもしれません。他のギルドのキャラたちが激しい戦いを繰り広げる中、ルキアンは敵と「対峙」し続けます。しかし「戦いを止めたい」というルキアンの想いが、彼なりに明確に行動に出るかたちになります。そこに彼の地味ながらも確実な成長がみられます。

そして数話後には…。ミトーニアをめぐるルキアンの行動の結末は、超展開気味かもしれません(笑)。でも燃えますよ。燃えた後に新たな鬱&地味展開。なんというループ…。それでもルキアンは、ループするごとに成長し、次第にこの悪循環に抗うようになってゆくのでした。30話台の後半では、ルキアン、ただ迷うだけじゃなくて頑張ってますもん。

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戦いを止めるために、あるいは戦いをなくすために戦う、という展開は、例えばSEED以降のガンダムシリーズにも延々と出てきます。現在放送中のガンダム00にも(^^;)。勿論ずっと昔から物語のテーマとなってきた問題であるにせよ、特にアメリカの同時多発テロ事件以降、「戦いを止める戦い」という類の設定はアニメや特撮にも多く、他にも例えば仮面ライダー龍騎の主人公の立場がそうだったといえます。が、それらの作品とはまた違ったかたちで、ルキアンは戦いを止めるための行動を取っています。今回のルキアンの行動は、ひとつの都市をめぐる戦いを止めさせたいという小規模なものであるにせよ。

やがてルキアンの行動は、イリュシオーネ全体レベルでの戦いを終わらせたいという方向に変わってゆくでしょう。あ、そうなの? そんな展開は破綻しそうだから、もうこの小説を読むの止めた(^^;)とは言わないでください。オチはきちんと付けます。最終回の内容も、もう決まっています。

たしかに「戦いを止めるための戦い」というのを、説得力をもって描くのは極めて困難です。ガンダム00のソレスタルビーイングではないですが、基本的に矛盾しているからですね。ただ、そこは反則っぽくなるのですが、『アルフェリオン』は結局のところはベタなファンタジー物なので、うまく逃げ切る方法はあるのです(姑息?)。ぶっちゃけた話、人間同士の戦いの裏に「黄金仮面」や「あの存在」が見え隠れしていますし…。これって、文脈は全然違いますが、ガンダム00に宇宙人を出したら話がすべて矛盾無く収まるよ(爆)という、禁じ手的な展開と同じような臭いもするのですが…。しかし、人間の組織した秘密結社等を戦争の黒幕にすると、この黒幕自体も結局は当事者(=人間)ですから、どう考えても上手くいかないんです(※ 特定の作品を批判しているわけではありません。念のため)。私の頭が足らないからかもしれませんが(^^;)。「戦いを止める戦い」を描いた物語を、純粋なSFを通じて説得的に書き切る自信は、私には正直ありません。

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2001年のテロ事件発生の頃、現実と同時進行でアルフェリオンも本家にて連載されていました。リアルタイムだったため、あの事件の作品への影響は多大なものがあります。しかも事件前から物語に登場していたエインザール博士についていえば、ご承知の通り、彼が行った行為は天空植民市に対するテロであると言わざるを得ない側面もあります。それゆえ、余計に同事件を意識せざるを得なかったのでした(勿論、それだけが意識の理由ではありませんが)。端的に言えば、主人公のルキアンは、形の上ではエインザールの後継者ですからね。ルキアンが単純にエインザールを褒めたり、エインザールの使徒であることに「御子」たちが安易な誇りを感じたりしてしまっては、主人公たちがテロを肯定しているのと同じような事態になりかねません。

ただし『アルフェリオン』は、我々の現実の世界と結びつく要素の全く無い、完全なハイ・ファンタジーの世界を舞台にしています。そのため、あまり生々しい話にはならないのですが(実際に存在する国も作中に出てくるガンダム00を見ていると、色々な意味でよくやるなぁと思います)。強いて言えば『アルフェリオン』の「旧世界」の部分は、SFに出てくる未来の地球とその周辺に似ています。例えば「天空植民市」は、モロにスペースコロニーの直訳…。「世界樹」は、まんま軌道エレベーターです。さすがにスペースコロニーや軌道エレベーターという表現をそのままファンタジー物に出すのは、美的センスを疑われるでしょ?(^^;)。しかし、魔法の存在等のことがらを通じて、旧世界が我々の世界と違う世界だというのは明らかです。我々の世界の無数の平行世界のうち、非常に大きく異なる特徴を持った平行世界のひとつだと考えることは可能?かもしれません…。その程度には似てますね(苦笑)。その点、どう解釈するかは読者様に委ねます。

とりとめが無くなって参りました。以上、大風呂敷を広げすぎた感もあります。ミトーニアでのルキアンの今後の「戦い」をお届けする前に、読者様にぜひ読んでおいていただきたかったもので、つい立ち入った話になってしまいました。本家の読者の皆様、遅くなってすいません(何年経っているんだ)。しかし本家に30話を掲載した当時は、本編を更新するだけでも精一杯、こういった裏話や解説のような記事まで書く時間的余裕はまったく無かったのでありました。

鏡海
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