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第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29
拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、 ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら! |
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第何話が好き?―作者の選ぶベスト10(後)

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■ 5位 第3話「覚醒、そのとき」
物語の初めての山場。クレドールの危機に、アルフェリオンがその真の力を見せる…。とくれば、この回はやはりベスト5に入れておくのがお約束でしょう。覚醒シーンの盛り上がりはなかなかだと思います。
ルキアンが鬱回想から「覚醒」に至るというパターンが、早くも登場しています(^^;)。冒頭の散文詩のような部分は、第44話までの中でも最も美しい場面の一つではないでしょうか。切なく、壮絶な美しさというのか…「感傷系」ハイブリッド・ファンタジーこと『アルフェリオン』の魅力あふれる場面(?)です。当時は「謎の声」であったあのキャラとルキアンとの会話も、いかにもという感じで味わい深いです。
そういえば、ルキアンがアルフェリオンの「必殺技」であるステリアン・グローバーを使ったのは、この回だけなんですよね。その後、今のところは二度と使われていません。敢えて必殺技を撃たない主人公…。
■ 4位 第17話「ナッソスの娘」
ナッソス城の中庭で、コルダーユを離れて以来のことを振り返るルキアン。彼の心の描写は、背景となる庭園や空の描写も含め、いい雰囲気です。実は、戦闘シーンでもなければ劇的な場面でもないこういう消化回(苦笑)のような話にこそ、「感傷系」ハイブリッド・ファンタジー『アルフェリオン』の面目躍如という場面がしばしば見られます。
そして、偶然にカセリナと知り合うルキアン。一瞬、ルキアンの胸を心地よい春風が通り過ぎ、いや、本当に通り過ぎて行っただけでしたね。敵同士の主人公とヒロインが、そうとは知らずにお互い出会うという、普通なら運命的な出会いの場面のはずですが…。ルキアン、つくづく不運というか不器用というか。ヒロインから憎まれ、毛嫌いされる主人公、それに対して彼女のことを一方的に妄想し続ける主人公。
どうせ僕は…と、自分の孤独と向き合い、受け止めようとしないルキアン。だから、常に自分と共にいるリューヌのことにも気づかない。そんなダメ主人公を生暖かく応援する視点で読んでみたい回です(^^;)。
他にも、ナッソス公爵とランディ、シソーラのやり取りや、アレスとダンの熱血バカ対決、「赤椅子のサロン」のエクターたちとそれを見守るクレヴィスとシャリオ、クレーア艦長とカリオスの会話など、様々なシーンが詰め込まれた、お得なセット(^^;)みたいな第17話なのでした。
■ 3位 第10話「心、揺れて」
全編に漂う、「戦士のひとときの休息」あるいは「嵐の前の静けさ」といった雰囲気が気に入っています。クレドールの面々の野外での昼食会や、その背景であるネレイの古い運河沿いの風景の描写も、味わいがあると思います。
地味ですが、ルキアンの運命の歯車が大きく動き始める回です。最後の方の、ルキアンとクレヴィス、シャリオの3人の会談は、この回の山場ですね。
他に、カリオスが初登場し、「ギルド最強」と言われるエクターがどんなヤツかと思ったら、何だか地味で普通なヤツだった(笑)だとか。いかにもいわくありげなパラス騎士団の面々が初登場するのもこの回。カセリナとデュベールの別離(?)のシーンも。『アルフェリオン』の「群像劇」的な部分がよく出ていると思います。
■ 2位 第31話「御子」
「御子」というサブタイトルの通り、グレイルが御子として目覚める回。「心をなめんなよ」というグレイルのセリフ、熱いです。少年時代についての鬱回想を経て超覚醒へのエンジンがかかるのは、ルキアンの場合と同じパターンですね(苦笑)。いや、もはや、本作品のお約束か…。
死を決意したグレイルに対する、フラメアの呼びかけが良いです。この物語きっての名コンビぶりが早くも現れています。幼い頃にはフラメアの姿が見えていたグレイル、「神童」だった彼の運命は、ある日を境に暗転、才能も眠ってしまったのでした。そんな彼に、再び自分と向き合い、運命と向き合うよう、説得するフラメア。
「実況」(?)担当のアマリアとフォリオムにも注目。グレイルが御子として覚醒できないのならそのまま見殺しにすることも辞さないと、敢えて助けの手をさしのべなかったアマリア、冷徹です。「そういうものだ、御子の宿命とは」という彼女の言葉に、込められたものの重さ…。
■ 1位 第35話「パンタシア」
これはもう当然ですね(^^;)。良くも悪くもルキアン成分の大盛り――陰鬱な回想、空しい記憶と交錯し、それを塗りつぶしていく妄想、延々と続くモノローグ、電波、そして超覚醒、覚醒後は鬼神の如き強さで戦うルキアン!――これはもう、スーパールキアンタイムという他ありません。
ルキアンを超覚醒へと導いたシェフィーアさん、良い味を出しています。これまでに登場した準主役級キャラやヒロインなどの助けによるのではなく、当初は通りすがりのモブキャラみたいだった部外者のシェフィーアさんに支えられて主人公が覚醒するとは…。そんなのありか、アルフェリオン。
なお、一見地味な部分なのですけど、カルバの授業シーンをルキアンが回想している箇所も、これまた小説『アルフェリオン』の本領発揮、「歪んだ心地よい痛み」的な感傷に溢れている場面です。ここの雰囲気も好きです。
「ロボット戦闘物」という意味でも、第35話は、この物語の中では完成度の高い回です。ゼフィロス形態のアルフェリオンとレプトリアの超高速戦闘を小説という文字だけのメディアで表現するのは非常に難しかったのですが、自分なりに何とか描き切れた…ように思います(汗)。
とはいえ、ヒーローの勝利というキレイな結末では終わらず、ルキアンが後味の悪い勝利を迎えるのも、この物語における彼の扱われ方らしいといえばらしい?
以上
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