☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『樺太1945年夏 氷雪の門』(1974)

2014年05月23日 | 邦画(クラシック)

『樺太1945年夏 氷雪の門』(1974)

監督:村山三男
二木てるみ
藤田弓子
岡田可愛
鳥居恵子
木内みどり
岡本茉莉

【作品概要】
第二次世界大戦末の樺太を舞台に、ソ連の進攻作戦の真只中で最後まで通信連絡をとりつづけ、若い生命を投げうった、真岡郵便局電話交換手の九人の乙女を通して、戦争への怒りを描く。
北海道稚内市の稚内公園内にある9人の乙女の像にも刻まれた「みなさん、これが最後です。さようなら、さようなら」が通信最後の言葉であった。

ソ連との関係の中で、全国公開直前に急遽公開が中止され、その後北海道など一部地域での短縮版での限定公開となった。

【感想レビュー】
近年、ようやくDVD化されたいわくつきの作品だそうです。
8月15日に終戦を迎えた日本ですが、戦争が終わっていない場所があったのは周知の事実です。

ですが、映像で観ると、映画だと分かりつつも、やはりショッキングでした。樺太の真岡。そこは、戦線からは遠く、日ソ共同宣言もあったので、どこか楽天的な人々の様子。
それが、終戦を迎える頃になって一転するのです。

お汁粉を頂いたり、恋だの結婚だのとキャッキャッする真岡郵便局電話交換手の乙女達。
冒頭の明るさ、そして彼女達の最期を思う時、戦争の非情さを感じずつにはいられません。
けれども、ラストの選択は、集団の怖さともいえるので、我が身に置き換えて考えると(…いや、そんな事は不可能に近いので、よりやり切れなさを感じてしまうのですが…)、戦慄する思いです。

そして、沢山の素晴らしい俳優陣と、本物の戦車を使ったリアルな戦闘シーン。避難者の群れの臨場感。

こんな大掛かりな作品が、当時上映を制限されたとなると、やはり並々ならぬ事態だったのだなぁと思います。
しかしそれでも、こうしてDVD化されて、後の世で観る事が出来るのだから、映画というのは、面白いものだなぁとも思います。
撮っておかなくてはならない作品が、あるのでしょうね…きっと。

『白いリボン』(2009)

2014年05月22日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『白いリボン』(2009)

監督:ミヒャエル・ハネケ
教師:クリスティアン・フリーデル
エヴァ:レオニー・ベネシュ
男爵:ウルトリッヒ・トゥクール

【作品概要】
09年のカンヌ映画祭でパルムドール大賞に輝いた、巨匠ミヒャエル・ハネケ監督による人間ドラマ。第一次大戦前夜のドイツ北部のとある村を舞台に、医師の落馬事故をきっかけに起きる不可解な事件の数々をモノクロ映像で描き、人々の悪意や憎しみを浮き上がらせる。

【感想レビュー】
うーん!観た人を嫌な気分にさせるというハネケ監督作品らしく…、確かに嫌~な気分になりました

この不安感というか…心をざわつかせる感じは一体何なのだろう…。

語りは、教師が後に懐古しているという設定で、声もしゃがれた感じ。
しかし立て板に水を流すように話すので、次々に何かが起きている印象を残します(実際に次々に何か起きるのだけれども…)。

権力をかざす村の有力者。
人格者と思いきや驕れる者だった神父や医師などの村の有識者達。
彼らの目を気にしながらビクビク暮らす村人達。でも本当は裏で陰口を言いながら…。

大人達の本音と建前を、子ども達は敏感に嗅ぎ取っている。
本当に白いリボンを巻かなければならないのは、子どもなのか大人なのか…。

様々なエピソードが幾層にも積み重なり、胸がざらざらとし、徐々に居心地が悪くなっていきます…

しかし、村人達も、この状況や空気を打破したい欲求が高まっていて、戦争にそのきっかけを期待してしまう事が…もう怖いし哀しかったです。
でも、もう都会とか田舎とか、身分とか、そういった事を全てひっくり返したいほど限界に来ていたのだろうな…とも思ったり…。

第一次世界大戦前の事を描いているけれど、こういう心理や状況は、少なからず私たちは生きていく上で感じている事で、普遍的なテーマだなぁと思いました

『偽りの人生』(2012)

2014年05月19日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)

『偽りの人生』(2012)

監督:アナ・ピーターバーグ
アグスティン/ペドロ:ヴィゴ・モーテンセン
クラウディア:ソレダー・ビヤミル
アドリアン:ダニエル・ファネゴ
ルーベン:ハビエル・ゴンディーノ
ロサ:ソフィア・ガラ・カスティリオーネ

【作品概要】
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアラゴルン役で知られるヴィゴ・モーテンセン主演のサスペンス・スリラー。一卵性双生児の兄を殺し、彼になりすまして人生をやり直そうとする男の姿が描かれる。

【感想レビュー】
思ったより面白かったです…‼
そもそも、ヴィゴ・モーテンセンに惹かれて借りたのですが…
『ロード・オブ・ザ・リング』で、とっても素敵ですから…えぇ、ミーハーですとも。

首都ブエノスアイレスと島が舞台です。都市部の洗練された生活と、粗野で雄々しい島の生活。
ヴィゴ・モーテンセンが一人二役で双子を演じます。その演じ分け方が実にまた魅力的でした!
初めは、それぞれの人格。それがある事をきっかけに戸惑いがありながらも統合されていくような…不思議な感覚があります。
徐々に島に順応していく様子、荒々しく女を抱く姿は、一体どちらの人格なのか。
それは、怪しまれないように演じているのか、それとも気付いてない自分の内面から湧いてくるものなのか…。
人は一つの人生しか体験出来ないので、『たられば』を考えてしまう生き物です。でも…それは叶わないのですが、やはり何か人生に不満があったり、満たされていないと、そのように考えがちなわけです…。

ちょっとほろ苦い、大人の映画でした

『東ベルリンから来た女』(2012)

2014年05月14日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『東ベルリンから来た女』(2012)

監督:クリスティアン・ペツォールト
ニーナ・ホス
ロナルト・ツェアフェルト
ライナー・ボック

【作品概要】
1980年、ベルリンの壁崩壊前の不自由な時代、厳しい監視の目をかいくぐって脱出を試みようとするヒロインの揺れ動く感情を牧歌的な風景と共に描き出す。

【感想レビュー】
この映画、好きです
ヒロインがとにかく魅力的です。

ベルリンの壁崩壊前の、抑圧的な東ドイツの空気が、終始ヒシヒシと伝わってきます。
のどかな風景にも関わらず、自転車で風を切る時でさえ、緊張感があります。画面が暗く、風も強い。
秘密警察シュタージの厳しい監視下にある彼女に、自由はない…。監視の網をくぐり、西ドイツの恋人との逢瀬や逃亡の準備をする様子に、手に汗を握ります。

この土地に移ってきた当初のヒロインの表情は硬く、人との交流を極力避けているものの、どこか人間臭いその佇まい。
医師としての仕事ぶり、患者への温かさ。いつも同じヒール靴とバッグ。シンプルで爽やかな服装に映える金髪のシニョン。

凛とした強さに、しなやかな逞しさ。
とにかくヒロインに魅了されてしまいました

男性医師の愛すべき顔の造作も良かった…!
ショパンのノクターンOp.15-3を弾くシーンがありますが、調律師と楽譜を寄越すのも、彼だとなんだか嫌味がなく
そういえば、彼と自転車を並んで漕いでるシーンは、画面も明るくてのどかだった…。

ラストぎりぎりまで、彼女の選択の行方に緊張感を強いられます。

東ドイツか西ドイツか、制約のある社会か自由な社会か、などの状況はあるものの、選択を迫られる時、その生き方を決める時、結局は一人の女性として、人間として、人は決断するのだなぁと思いました。
彼女のしなやかな強さに、観終わった後は爽やかな印象を作品に持ちました。


『ヘンゼル&グレーテル』(2013)

2014年05月14日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ヘンゼル&グレーテル』(2013)

監督:トミー・ウィルコラ
ジェレミー・レナー
ジェマ・アータートン
ファムケ・ヤンセン
ピーター・ストーメア

【作品概要】
あの事件から15年後。成長し、魔女狩りを専門とする賞金稼ぎとなったヘンゼルとグレーテル兄妹を描く。

親に捨てられ、森で迷子になってしまったヘンゼルとグレーテル。森の奥深くにあったお菓子の家にたどり着き、そこに住む魔女に捕えられた2人だったが、魔女をだましてかまどに突き落とし、無事に戻ることができた。その15年後、大人になった兄妹は魔女ハンターとして賞金稼ぎの日々を送っていた。ある日、子供の誘拐事件が多発する村から、事件の解決を依頼され、黒魔女ミュリエルを追うことになるが、魔女は兄妹の出生の秘密を握っていた…。

【感想レビュー】
武器のデザインが格好良かった
3Dで制作されたというだけあって、画面の隅々まで、綿密な仕上がりで、安っぽくない!…という印象

懸賞金のかかった兄弟…のいでたちに、北斗の拳の大きくなったリンとバットのイメージが重なりつつ…

スピーディーなアクションと映像を楽しめました
※けっこうエグいですけれども…。