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■コロナ危機で、国家の「権威と権力」はさらに強大化する~グローバル化の「裏の顔」があらわに~ 週刊現代 2020.04.28

2022-02-11 06:12:50 | 日記

 


■コロナ危機で、国家の「権威と権力」はさらに強大化する~グローバル化の「裏の顔」があらわに~

週刊現代 2020.04.28

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72141


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・グローバル化の「二つの顔」


新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界は国境封鎖し、鎖国状態になっている。

こうした事態を受けて、グローバル化は終わりつつあるという議論が欧米を中心に始まっている。


しかし、このような主張は皮相的なものにすぎない。

やや逆説的に聞こえるかもしれないが、各国による国境閉鎖は、ある意味でグローバル化の当然の帰結だからである。


つまり、鎖国は、グローバル化という現象の「もう一つの顔」をあからさまにしたのである。

以下に敷衍しよう。


一般にグローバル化とは、人やものの自由な移動、さらには「ボーダーレス」な世界の到来として語られる。

しかし、そうした現象の裏側で同時進行しているのは、国家による国境監視の強化である。


国境をフィルターにたとえれば、グローバル化は、一面において、フィルターを通過する人やものの大幅な増大を意味する。

しかし、その反面、フィルターは、国家が通過させたくない人やものをふるいにかける。


2001年9月11日の同時多発テロ事件以降、テロリストであると疑いがかかる個人を世界中で特に警戒するようになったのは周知のことである。

一方、私が居住するニュージーランドでは、自然環境を保護するために、動植物などいわゆるバイオハザードの対象となるものが国内に入るのを厳しく制限している。


そして、今回、フィルターにかけられているのは感染病ウイルスであり、それに感染している個人である。

20世紀末以来論じられてきているグローバル化は、このように「二つの顔」を持つ。「表の顔」が人やものの自由な移動だとすれば、「裏の顔」は移動する人やものの国家による監視の強化である。


そう考えれば、世界諸国が鎖国状態にあるのは、グローバル化の「裏の顔」が「表」になったことを意味する。

 

・パスポートはいつ発明されたか


国境を越える人とものの移動の増大が、国家による監視の強化に伴っていたことは、最近始まった現象ではない。

海外渡航する際、パスポートを携帯することが義務づけられたのは、第一次世界大戦中のヨーロッパであった。


アメリカの社会学者ジョン・トーピーが『パスポートの発明』(法政大学出版局)で論じたように、19世紀以前にもある種のパスポートがヨーロッパ諸国で用いられていたが、パスポートのあり方について世界的に標準的な慣行はまだ定まっていなかった。

実際、パスポートを発給するのは国家であるとは限らなかった。


地方の聖職者や役人が自国民、他国民を問わず、一種の通行手形や、携帯者の品行方正を証明する推薦状のようなパスポートを発給していたのがその実態であった。

こうした事情が大きく変化を遂げたのは第一次世界大戦の時代だったことを、20世紀イギリスを代表する歴史家A・J・P・テイラーが『イギリス現代史 1914年-1945年』の開巻冒頭でこう書いている(英文原書より筆者が翻訳)。


1914年8月まで、分別があり法を遵守する英国人であれば、郵便局や警察を除いて、国家の存在にほとんど気づくことなく人生を過ごすことができたであろう。

どこでも好きなところで、好きなように生活することができたはずである。


公式なナンバーや身分証明書も持たなかった。

海外旅行したり海外移住したりするに際しても、パスポートも公式な許可書の類も必要なかった。


携帯者の身分証明書であると同時に、国家による移動の管理手段でもあるパスポートは、およそ1世紀前に本格的に導入されたものなのである。

国境が封鎖される数週間前まで、我々は国際的な移動の自由を享受してきたわけだが、そうした自由は、各人が帰属する国家によって発給されるパスポートによって我々の移動が管理される限りにおいて成立していた。


つまり、国際的な移動の自由とは、国家による監視によって保証されるという逆説的な事態なのである。

第一次世界大戦当時、パスポートの携帯が義務づけられるに際して、そうした移動の監視はあくまでも一時的な方策とされていたが、その後まもなく恒常化することとなった。


今日では、パスポートという手段によって国家が移動を監視することの正当性を疑問視する人はほとんどいないであろう。

このように近代パスポートの歴史を振り返ったとき明らかになるのは、人的移動の自由と国家による移動の監視とは切ってもきれない関係にあるということである。


こうした歴史に鑑みれば、現下のパンデミックが終息した後に、国際的な人的移動の自由を回復することは、国家による監視のさらなる強化との引き換えという形でしかありえないのかもしれない。

そもそも、移動の自由における「自由」概念とは、17世紀イギリスの政治哲学者トマス・ホッブズのいう古典的な消極的自由である。


つまり、物理的拘束が欠如している状態にすぎない。

自由をこのような意味で理解する限り、何らかの強制力によって国境を越える移動が阻止されていない限り、たとえ監視下にあっても、移動の自由は存在するとみなされることとなろう。

 

・国家は人々の「移動」を管理する


このように、現下のコロナウイルスをめぐる危機のひとつの核心とは、国家が人的移動を、前例のないほどの規模で制約していることである。

それは国際的な移動だけでなく、国内移動についても同様である。


だからこそ、ロックダウンの状態にある諸国の住民たちはほぼ例外なく、いわば自宅監禁のような状況にあるわけである。

ここに明らかなのは、近代国家が、移動の自由を管理する正当な権限を独占するという特徴である。


さらに、コロナ危機の結果、世界経済は危機に直面しているが、それは、いうまでもなく、経済活動が正常に運営されるためには人的移動の自由が不可欠の条件だからである。

ただし、ここで注目すべきは、その自由がもっぱら国家によって与えられているということなのである。


つい先頃まで、グローバル資本主義の時代の到来とともに、近代国民国家は歴史的役目を終え、「ボーダーレス」な時代がやってくると喧伝されてきたが、グローバルな感染病拡大という事態は、それが間違っていることを見事に実証した。

グローバル企業も大資本家も、パンデミックの発生以来、鳴りを潜めてしまっている。


ウイルス感染に対して対策を講じているのは、国家だけである。

しかも、つい先頃まで新自由主義と「小さな政府」を目指していたアメリカやイギリスといった国々は、一変して、経済に積極的に介入する「大きな政府」へと舵を切った。


さらに、ヨーロッパ圏内における移動の自由も、ヨーロッパ連合加盟国が次々と国境封鎖を行なったことで雲散霧消し、その限りでは、ヨーロッパ連合は、すでに経済人類学者カール・ポランニーのいう「甲殻類的な国家」(鎧のような外殻を持った、外と内を峻厳に区別する国家)の集合体へと変貌してしまった。

こうした一連の事態は、近代国家こそが、この世における究極的権威であって、いかなる国際的な公的組織も、いかなるグローバルな巨大資本も、国家に比肩することはできないことを如実に示している。

 

・魔女狩りとコロナウイルス


パンデミックが終息した後、移動の自由の回復は、国家による監視の強化と引き換えという形でしかなされないかもしれないと前述したが、このような国家権力の強大化の趨勢は、近代国家形成の歴史を参照しても容易に想像のつくことである。


16・17世紀のヨーロッパで絶対主義国家として成立した近代国家がその権力を増長させたのは、現下のパンデミックと同様「目に見えない敵」である「悪魔」との戦いを通じてであった。

悪魔の支配するところとなった魔女たちが、人間や家畜、農作物に被害を与えたり、ひいては、魔術によって国王暗殺を試みたりしていると信じられた結果、政治的支配者から一般民衆に至るまで、ありとあらゆる人々がその脅威に怯えていた。


悪魔の力に抗するために、ヨーロッパの絶対君主たちは、神的権威を自らが帯びていると主張した。

なぜなら悪魔に打ち勝てるのは神以外ではないからである。


こうしていわゆる王権神授説が唱えられ、王権は神に比肩する権威を主張するようになり、そのような権威を背景に、いわゆる魔女狩りが16世紀から17世紀にかけて猖獗を極めることとなった。

魔女狩りと近代国家の権威増強のプロセスとは、表裏一体の関係にあったわけである。


新型コロナウイルスは、2020年の「悪魔」である。

この「悪魔」に取り憑かれた人々は、魔女のように火刑に処されることはなく、国家によって隔離されるにすぎないが、魔女狩りの時代と同様、ある社会では不幸にも差別の対象になっている。


魔女狩りが近代国家の成長を助長したという歴史に照らしてみれば、ウイルスとの戦いが、近代国家をさらに強大化する可能性を示唆しているといえよう。

当然、国家は、感染病へのより迅速な対応を追求するようになるだろう。


迅速な対応は、経済活動の停滞期間を最小化するという意味でも、重要だからである。

しかし、その一方で、感染病の蔓延を防止するということが人命の保全という至上課題である限り、国家は人的移動の制限を必要に応じて行う権限を強化することにもなろう。


平時から、潜在的な感染ルートについてのデータを収集する必要にせまられることになり、それは監視国家への道を用意することにもなろう。

すでにBluetoothを使った人の移動の監視は日本でも論じられているし、ドローンによる監視はヨーロッパ諸国ですでに始まっている。


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コロナ危機で、国家の「権威と権力」はさらに強大化する~グローバル化の「裏の顔」があらわに~
週刊現代 2020.04.28
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72141


■ロックダウンでスタートする完全監視社会? GIZMODO(ギズモード)2020.04.08

2022-02-11 06:12:35 | 日記

 


■ロックダウンでスタートする完全監視社会?

GIZMODO(ギズモード)2020.04.08

https://www.gizmodo.jp/2020/04/russias-planned-coronavirus-app-is-a-state-run-security.html


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緊急事態ではあるのだけれど…。

新型コロナウイルスの感染問題に歯止めがかかりません。

それはロシアでも同じようで、すでに数千人の感染者が報告され、日に日に増加しています。

モスクワには厳しい外出制限が課され、いわゆるロックダウン状態が続いているらしいのですが、なんだか心配な規制の実態も明らかになってきています。

 

・感染者の行動監視のためにスマホアプリを開発。だけど…


まず、モスクワ情報技術局(DIT)のEduard Lysenko局長は、このほどラジオ番組において、感染者の行動を監視すべく、スマートフォンアプリを開発したと説明。

表向きは、これ以上の感染を防ぐため、市民を守る目的と語られたのですが、実際に初期バージョンの同アプリを検証した専門家から、明らかに違法な監視ツールだと非難されています。

ただ位置情報を把握するだけのはずなのに、同アプリからは、ユーザーの連絡先などの個人情報が筒抜けとなり、勝手にスマホの設定を変えたり、カメラを操作して監視可能になっていたそうですね。

おまけに、開発に何千万円も注ぎこまれたわりには、セキュリティレベルは非常に脆弱で、暗号化されることなく、各種データが海外のサーバまで送られかねないんだとか。

 

・全市民にID発行


さらに、この監視アプリに加え、モスクワでは、全市民に個別のQRコードのIDを発行予定。

このIDなしに、薬局や買い物、近所の散歩であっても、勝手に出歩けば罰金刑や懲役刑を科すという厳しい内容のようです。

どうやらロシアでは、海外の影響力を排除して、閉じられたインターネット社会を築き、国民を完全な統制下に置くことまで目指されてもいるみたいですが、新型コロナウイルスへの対策を口実に、その流れが加速していきそうな勢い。

いまや街頭の監視カメラからショップの買い物履歴、アプリにID管理まで組み合わせ、誰がどこで何をしているのか、すべて掌握しようとの狙いのようです。


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ロックダウンでスタートする完全監視社会?
GIZMODO(ギズモード)2020.04.08
https://www.gizmodo.jp/2020/04/russias-planned-coronavirus-app-is-a-state-run-security.html


■「ロックダウン」の恐怖と絶望感…ロンドン在住の日本人が証言する 週刊現代(講談社)2020.04.01

2022-02-11 06:12:10 | 日記

 


■「ロックダウン」の恐怖と絶望感…ロンドン在住の日本人が証言する

週刊現代(講談社)2020.04.01

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71458


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・想像よりもはるかに深刻だった


ロンドンで緊急事態宣言が発令され、イギリス全土の都市がロックダウン状態になってから、すでに1週間が経ちました。

ロックダウン、都市封鎖というのは一体どのような状況か。

その影響というのは、日本人が想像するより何倍も重いものです。

しかしロックダウンを実行しなければ、感染が抑制されず国が破壊されます。

ですから、もう他に選択肢はないのです。

イギリス政府は首相のボリス・ジョンソンによる13日のスピーチの後、学校閉鎖を決定し、パブやレストランも閉鎖させ、大規模イベントを禁止しました。

しかし、それ以前は「要請」にとどまっていた外出制限は効果が薄く、学級閉鎖後の週末は連休があったこともあり、観光地には多くの人が溢れ、パブに繰り出す人も大勢いました。

多くの人は、ロックダウンの怖さや新型コロナウイルスの恐ろしさをまったく理解していなかったのです。

学級閉鎖に関しても、子供の安全性よりも、学校が閉まってしまうことで仕事に行けなくなることや、子守がなくなることに怒っている親のほうが多かったのです。

若い人が犠牲者になり始めて、やっとその深刻さに気がつく人が増えてきました。

 

・スーパーから品物は消えた


23日のボリスの演説後、ロックダウンとなったイギリスで起こったことは、社会の破壊でした。

まず起こったことは、店での買い占めです。

日本で起きている買い占めのレベルではありません。スーパーから、本当に全ての商品が消えるような状態です。

人々が通勤しなくなったロンドンの中心部や、超高級住宅地のスーパーにはたくさんの商品がありましたが、それは都心に誰も通勤しなくなったわけですから、当たり前です。

「近くのスーパーから物がなくなって大変だ」と私がTwitterでつぶやくと、他のイギリス在住者から「えー、私の住んでるところはそんなことはないわ。あなた、何の話をしているの?」というようなコメントが飛んでくることもありました。

しかし、大半の人々が住んでいる郊外や家族連れの多い住宅地では、本当にスーパーから物が無くなってしまいました。

スピーチから1週間以上経っても、相変わらずです。改善したところもありますが、全部ではありません。

例えば、スーパーには朝7時の開店前からすでに長蛇の列ができています。

お年寄りや障害がある人が並ぶのは不可能です。

もちろん、並んでいる人同士は距離を空けていませんから、感染のリスクも大変高くなっています。

 

・「パスタはもう10日も見ていない」


8時の開店直後、なんとか店に入ることができても、もう商品がないことさえあります。

開店後の1時間を、お年寄りや医療関係者のみが入店できるように制限している店もありますが、1時間だけですから十分な買い物はできませんし、そもそも必要なものが揃っていません。

医療関係者の多くはシフト勤務ですから、この時間に合わせて買い物に行くことができない状況です。

介助が必要なお年寄りの場合は、ヘルパーがその時間に来れないという人も多いので、やはりなかなか買い物に行けません。

それ以外の時間は、ずっと長蛇の列で、商品はあっという間になくなってしまいます。

トイレットペーパーだけでなくありとあらゆる紙類、消毒液、洗剤、米、パスタ、パン、スープ、バター、卵、肉類……。

パスタはもう10日も見ていないという人もいますし、卵を2週間食べていないという人もいるのです。

買い物ができない人のために、地域の人たちが集まって代行してあげることもありますが、1回に買える商品が2つだけなどに制限されていることも多いので、頼まれたものを買えないことも珍しくありません。

地域に知り合いがいない人や、スマホやネットを使わない人は、そうしたボランティアを探すこともできません。孤立している人は、食べ物が入手できず、どんどん飢えてゆくのです。

 

・「買い占めはやめよう」の声も空しく


ネットスーパーも、もう10日近くクラッシュしている状態です。

運よくなんとかシステムに入れても、なんと2時間も3時間もシステム上で順番を持たなければ買えません。

カートに物を入れても、今度は配達のスロットがほとんどなく、2ヵ月先まで埋まっていたりします。

個人が経営する小規模な八百屋や個人商店には物資が入っていたりしますが、 そういった店が近くになく、大型スーパーやネットスーパー頼みという人も多いのです。

このような苦しい状況の中でも、イギリスでは、買い物ができない人々に対する政府や市役所による配慮は全くありません。

軍隊による配給もありませんし、炊き出しもないのです。

「買い占めはやめましょう」という掛け声こそテレビや新聞には出ていますが、状況は一向に改善されません。

感染病棟で働く医療関係者に対しても、政府から食料の配給があるわけではありませんし、長時間危険にさらされて勤務する傍ら、食べ物を自分で調達しなければならないのです。

政府が病院の横に温かい食事ができる食堂を用意したり、お弁当を配ったりしていた中国とは大違いです。

クルーズ船で対応にあたった自衛隊にも、美味しそうな食事が提供されていました。

でも、イギリスではそういった配慮はありません。

 

・2週間前には想像さえしなかった


イギリスは先進国であるにもかかわらず、このままでは餓死する人が出る可能性があるということです。

21世紀に、餓死です。医療関係者ですら配慮されていないのです。

2週間前には、誰も想像さえしなかったことです。事態はこんなに急激に変わるのです。

普段はプラスチックのストローの撤廃に熱心な人々や、慈善活動に精を出している富豪や有名人たちにも、その日の食べものを入手できない人々に何らかの支援をしよう、という動きが全くありません。

莫大な資産を相続し、アメリカに移住したハリー王子とメーガン妃も、何の寄付もしていません。

医療スタッフの命やお年寄りの人権よりも、イルカの権利や紙ストローの方が重要なのです。

彼らにとっては。

さらに、ロックダウンで激変しているのが人々の雰囲気です。

イライラして切羽詰まっている人が増え、車の運転が荒くなりました。

そもそも車で出かけられる行き先も、ほとんどないのですが。

スーパーでは、場所によっては小競り合いがあったり、店舗内で殴り合いが発生しています。

もちろんおとなしい人たちが多い地域もありますが、すぐに争いが始まってしまうところもあるのです。

日本では、東日本大震災の直後でも店舗で殴り合うような人はいませんでしたが、イギリスでは社会の状況が違います。

買い物に行くのにも、命の危険を感じることがあります。

 

・飲食、小売が壊滅する


さらに激変したのが、私のような東洋人に対する態度です。

今のところ、あからさまな差別や嫌がらせは私自身は体験していませんが、やはり店舗や道で、なんとなく視線を感じるようになりました。

特にマスクをして外出すると、明らかに注目を浴びます。

感染者が出歩いている、と考える人もいるようです。

外国人や、特に東洋人に対しては大変寛容なイギリスの人々も、新型肺炎の状況が悪化するにつれて変わってきています。

イギリスには日本と違って、街中に薬物中毒者などもいますから、新型肺炎の騒動で刺激された人に、外国人が危害を加えられることもないとは言えません。

イギリスは、欧州でも有数の薬物中毒者が多い国なのです。

私は感染を防ぐためだけでなく、無用な危険を避けるためにも、なるべく外出しないようにしています。

どうしても外出しなければならない際には、サングラスやマフラーで顔を隠すようになりました。

もちろん大半は善良な人達なのですが、万が一の危険は避けなければなりません。

学校は、無期限で閉鎖になっています。

いつ再開するか、見通しは立っていません。

在宅勤務で仕事をしている人々は、一日中子供と家にいることになりましたが、彼らも普段は学校や子守に子供の世話を頼んでいます。

オンラインラーニングに切り替えた学校が多いのですが、仕事をしながら子供の勉強をみるのは大変です。

表に出られず生活が激変した子供達は、ただでさえ大変なストレスにさらされています。

さらに、これを機に解雇されてしまい収入が途絶えた親が大勢います。

特にサービス業や飲食業の場合は、ビジネスが全くなくなってしまいましたから、従業員を解雇せざるを得ません。

飲食業の70~80%が、あと2、3ヵ月で倒産するとも言われています。

飲食業のほとんどが消滅するという予想です。

小売も多くが消えるといわれています。

これは国家の崩壊です。

 

・治安が悪化し始めた


イギリス政府は、現在雇用されている人や、 過去3年間営業してきた自営業の人に対しては所得保証を打ち出しましたが、 あくまで短期間です。

すでに解雇されてしまっている人や、最近開業した自営業の人には保証がありません。

政策が発表される直前に解雇されてしまった人たちは、絶望的な状況にあるのです。

その結果でしょうか、イギリスでは児童虐待やDVに走る人も増えてきています。

これがあと3ヵ月も、半年も続くの? あと1年? 私立の学校の学費はどうなるの? 私はもう失業しているの。もう廃業するほかない。

どうやって学校に行けない子供の教育と仕事を両立すればいいの?

こんな悲鳴に近い悩みを打ち明ける親がいます。

治安も悪化しています。

住宅地では強盗や空き巣が出てきていますし、 先日、普段はかなり安全なはずの地域を歩いていたら、車のガラスが割られていました。

そんな光景を見たのは初めてです。

収入が途絶えて切羽詰まり、犯罪に走る人も増えるでしょう。

すでに国立病院の医療関係者の車が、病院の駐車場で車上荒らしに遭っていますし、シフト勤務で深夜など不規則な時間に通勤する医療関係者たちが、強盗に襲われる事件も発生しています。

また、医療関係者や警官の子供達が預けられている学校や、老人ホームに食料を配達する業者の車や倉庫が襲われ、食べ物がすべて盗まれてしまうという事件も何件か発生しています。

トイレットペーパーを配送する業者の車も襲撃されました。

イギリスは日本に比べると普段からとても治安が悪く、住人が在宅でも空き巣に入る泥棒が大勢います。

ロンドンにおける殺人の件数は、東京の3倍です。

ロックダウンの継続により経済環境が悪化すると、治安はさらに悪化するでしょう。

アメリカでは銃や弾丸を買い求める人が激増しましたが、イギリスでは誰も驚いていません。

むしろ、「ここでも銃が買えたらよかったのに」と言う人がいるほどです。

 

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「ロックダウン」の恐怖と絶望感…ロンドン在住の日本人が証言する
週刊現代(講談社)2020.04.01
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71458