口下手
「ねえ、わかりました!!」
はっとして我に返ると、そこには自分の方を見てなにか訴えようとしているおばあちゃんがいた。
「はあ?」「あのね。30人ほどの人が実家に集まってさ。わいわい騒いでいてそれは賑やかなこと。じいちゃんが生れた所に帰ってこんでどうするというもんやから・・・。ばあちゃんはもう朝から大変や、美味いもん食わしてやらんなさけ・・・」「そう。それはいいですね。」こちらは相手する気は全然ないので、突然のおばあちゃの話にどう対応していいか、ただおろおろするばかり。
実は私はばあちゃんのすぐ頭の上にぶら下がっている、だれが幾ら奉納したかという紙を一生懸命見ていたから。なにしろ、近眼なもので、字がよく見えないのでジーッと目をこらして読んでいたのでおばあちゃんのほうは全然眼中になし。おばあちゃんは自分のほうをじっと見ている亀を自分の話をきいているものと思っていたのだろう。
今日はお寺で法話会があった。早く到着したせいか、おばあちゃんが2人話し込んでいるだけだった。彼女たちのくだらぬ会話には入っていけないので、ただ用意されたちっちゃな椅子に腰かけて退屈しのぎに鴨居にぶら下がっている紙っきれを眺めていた時の出来事だった。つくづく思う。自分に会話する能力があったら、退屈せずに済むのになーと。口下手な自分を情けなく思う。
途中の休憩時間に隣に座っていたご婦人が問いかけてきた。「あんた、仕事やめたんけ。今何しとるんけ。」
あまり話したくなかったけど、黙っているわけにはいかない。「毎日パソコンして遊んどるわ」「わたしもやるけど、あんた○○というのをやっているんけ」「いや、ブログをやっているのや」「わたしは○○をやっているんやけど、相手の顔が見えてお話が出来るんや、外国にも繋がって結構楽しいわよ」「それはいいね。ワシは会話が苦手で、途中で次の言葉が出なくなって、会話にならんのや。ブログだったら時間制限がないのでナンボ空いてもいいし」「長い時は40分ぐらいおしゃべりしているわよ」女の人は会話が上手だからうらやましいね。
その○○なるもの帰って調べようと、一生懸命称えながら帰ったが・・・すっかり忘れてしまって調べられなくなった。
みんなして嘘だって言うけど、人見知りもします。
ワンコはそんな独り言を食べてくれるから良いよd(^-^)ネ!