犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

おれこのお勉強

2015年04月05日 | おせわがかり日誌


おれこはテレビが大好き。




テレビならなんでもいいわけじゃなくて、このみがある。

とにかくさびしがりやなので、遊んであげたいのだが、家事をしなければならないときなど、テレビに頼る。



好みは渋くてドキュメンタリー。
自然の風景、ひと、静かなナレーションがあるのがいいらしい。

この日もチャンネルを回しながら、「どれがいい?これかな?」と声をかけ、おれこの顔を確認して、前のめりになった番組に決定。京都の御所を職人さんたちが修繕する話で、これをおれこは実に真剣に、じ~っと見ているのである。




この様子を見て、知らなかった夫は「へ~」と驚きながらもはじめ半信半疑で、おれこに「テレビかえていい?」と声をかけて、チャンネルを変えた。悪意はなかった。

するとどうだろう。悲しそうに恨めしそうに夫を一瞥すると、ため息をつき、テレビの見えない場所へ移動していく。そしてちょっと離れた場所からいまいましそうに夫を侮蔑。

試しにチャンネルを戻すと、おれこも戻って特等席からまた熱心にテレビを見はじめる。

これには夫も驚嘆の声をあげた。

「ごめんねごめんね」

と抱き締めたり頭をごしごし撫でたり、そのあとテレビに見いるおれこに見入り、不思議だなあ、すごいなあ~、と喜んでいた。

「おれこ勉強してるの、えらいねえ、すごいねえ」

それからわたしに、

「でもなんでこの番組なんだろうね」

と不思議そうに聞いてきた。画面では職人さんが御所の漆喰復元に悪戦苦闘しているところであった。

まあ、確かに。

このあと番組は岩合さんの猫に変わり、また熱心に見ている。




何をどう見ているのかはわからないが、見聞を広めて、賢くなっているのは確かだ。

「おれこ話がよくわかるようになってきたよねえ」

夫が盛んに言うのだけれど、

「おれこ、勉強してるのよ。当たり前じゃない」

とでも言いたげなおれこである。
そして野球が始まると、テレビが見えない場所に静かに移動し、眠りこけた。