犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

犬語が通じるとき

2015年04月19日 | おせわがかり日誌


言葉では説明できないのだけれど、

動物と、つうじるときがたまにある。

ゆうべもこんなことがあった。


夫はいつもスーツケースを持って出かける。

ここのところ会社に泊まり込んで作業をしているからで、

たまに帰って入浴やら用事を済ませてまた出ていくとき、

このスーツケースの中身をすっかり出して、洗濯機へ放り込み(誰が洗うのだ)、

新しくキレイになったせんたくものを詰め込んで(誰が洗ったのだ)、また出かけていく。

オレコがじいっと見守る中で、それはたんたんと行われ、

ときに目が合うとにこりと笑い、

「おとうさんおしごとだよ、ごめんね」

などと語りかけ、おれこはじーっと見詰めかえしながら、

「そうか、おとうさんは、おしごと、かいしゃでおしごと」

と覚えていく。

そうしてすっかり準備が整うと、左手にオレコをかかえ、

右手でごろごろとスーツケースをころがし、

私はおじいわんを抱っこして、家族みんなで車に乗り込んで、

仲良くみんなで会社まで、おとうさんをお届けする。

そういうのがまあいわばならわしみたいになっている。



ところがゆうべは何か手順が違っていたのだろうか、

それはそうだ、今回はいつもの泊まり込みと違って、

朝早く新幹線に乗って遠方へでかけいく一泊の出張で、

しぜん、ふだんとは段取りが違っていたのだろう。

ああでもない、こうでもない、寒いかな、暑いかな、

ジャケットはどうしよう、靴下は?なんて具合で、

会社泊まり込みの時のルーチンワーク的な荷造りと、

どこかなにかが異なるものがあったのでしょうね、

オレコはずっとふしぎそうに眺めていて、

それは夫も気づいていて、何か言葉をかけたようなのだが、

オレコにはそれがなんのことなのか、よくわからない。



夫がお風呂に入ってリビングにふたりきりになり、

あまちゃん再放送の録画したのを見ながらごはんを食べていたら、

オレコがじいいっとみつめている。そのときだ。

「ねえ、おかあさん、おとうさん、どこいくのかなあ?」

そんなふうにオレコが問いかけてきたのだ。

もちろんことばをしゃべったわけではなくて、

念のようなものというか、なんというか。

わたしは、ああ、そうだよね、といって、

オレコの横たわるソファーの前に移動した。

オレコは一瞬、

(え?なんでおかあさんわかったの?)

というような驚いた顔をしたのだけれど、そのあと、

「あのねえ、おとうさんはねえ、お仕事で○○県にいくのよ」

ということばを聞いて、ぱあ~っと花開いたような喜びの表情になった。

(なんだかわからないけどおかあさんがおれこのいうことわかったみたい!)

ていうような喜び方だった。

おれこ「○○けん、どこ?」

わたし「ええと、ああ、おーちゃん、いったことがあるよ、小豆島いくとき、通ったんだよ」

そんなこんなで、その場所がどのあたりにあって、おれこは一度いったことがあって、

おとうさんはお仕事でそこまで行くんだけど、しんかんせん、というのにのって、

とおいからそこでとまって、つぎのひにかえってくるんだよ、というような会話をした。

さびしいのには違いないのだろうけれど、なぜだか犬語が通じたので、

なんでだろう、でもうれしい!

というよろこびでいっぱいのオレコなのだった。



お風呂から上がった夫にそのことを告げると、

「ああ、おれもね、おれこがどうしたのかな、ってふしぎそうにしてるのは、わかった」

とにこにこしながら、今度は自分で、オレコの目線にからだをあわせ、

「おれこ、おとうさんはね、あしたしゅっちょうにいくんだよ、おみやげをかってくるから・・・」

というふうに説明しだし、オレコはそれを熱心に聴き、あとで私に説明してくれた。



いや~。

犬暮らしの人だったらわかってもらえるとは思わないが、

確かにさいきん、ことばが通じるんですよ。

にんげんたちのいうことをよく理解してくれるというのもあるけど、

にんげんたちも、オレコのことばが聞こえるようになりました。

ほんと、説明できないし、立証できないんだけど、

本人たちは、わかりあってると思っています。

会話できています。



おじいわんとも、だんだん、

交信できるようになってきました。

彼は複雑な深い話は、しないタイプです。