要旨は北満(満州国の最北部、ソ連と接する荒廃地)を著者が歩いていると、島田髷を結い、ゴム長靴をはいてじゃぶじゃぶと湿地を歩いている五人から十人くらいの一団の若い日本人女性がいる。
いずれも(日本)国内からいきなり満洲の最果てに売り飛ばされて来た日本女性達である。
彼女たちはいわゆる素人であり、満洲国内から移動してきたプロの女性ではない。ピストルを肩にかけた目つきの悪い男が護送していて、帝国陸軍よりも前方に出てゆく。前途には匪賊(武装した中華民国の強盗団)が待っている。しかも彼女達は気にもしていない。
この文章は昭和10年当時の昭和恐慌のまっただ中の農村の疲弊は極に達して、娘の「身売り」という惨状を示しております。一般的に国が倒れそうになると戦争となります。隣の御国が無事であることをお祈りしています。