角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#129 福音 or 悪魔の詩

2016-04-03 07:04:56 | 命―畏れと戦き
〈「体外受精を受け、着床しやすい受精卵を選ぶことで女性の流産率が下がり、負担が著しく減る。妊娠率が上がる点もメリット。高齢の方が流産で何カ月も貴重な妊活の時間を失う可能性も下がる」〉


(産経WEST:受精卵検査で妊娠率70% 新技術導入、神戸・大谷レディスクリニック 「命の選別」との批判も
 →http://www.sankei.com/west/news/160328/wst1603280082-n1.html)

そこだけ聞けば、確かにその通りなんです。
そこだけ聞けば。

〈信念でやるならば、学会を辞めて実施するのが筋だ〉


そりゃそうだ、と思うけれども、
そういう問題じゃないだろう、とも思います。



除名→裁判→誓約書・再入会・・・
何の争いなんだろう?

(ウチの)奥様は24歳で結婚して、
25で長女、27で次女、29で三女と、
あまりにも順調に子供を授かったので、
何となく気が引けちゃうんですが、
正直、あまり気分の良い話ではないですね。

〈着床前診断を受けると、もともと染色体異常で着床できなかった受精卵、あるいは流産する運命にあった受精卵を調べて、胎児として発育できる受精卵だけを子宮に戻すことができます。体外受精後の流産はこういった受精卵の染色体異常による場合が多く、着床前診断を受けることで、流産率が減少することが証明されています。着床前診断は不妊症の方が流産を回避して、新しい命を育んでいただくことを可能にする技術なのです
(大谷レディスクリニック:着床前診断とは
 →http://www.ivf.co.jp/?page_id=145

「命の選別」云々という表現は好きではないのだけれど、

「運命」を人知で先取りして「不幸」を回避することで、
人は、果たして「幸福」になれるんだろうか、と思ったりもします。

着床前診断を希望しています。
福祉関係の仕事で沢山の障害児と出会いました。だから妊娠中、どんな子どもでも育てる自信があり、妊娠後期には五体不満足の本を読み生まれてくる子どもを楽しみにしていました。

生まれた子どもは何故か1500gしかなく専門病院へ・・・
初めて子どもを見たとき、私は一生子どもは歩けないと何故か思った。
ストレッチャーで我が子と散歩する姿を想像する事はとても楽しかった。
低酸素状態で危篤になった時、知的障害を想像しました。指先を使う遊びや物を覚えるカード遊びなど、子どもの成長を楽しみにしていました。
(多分今まで出会った子ども達を自分の子どもに重ね子育てを想像していたんでしょう。楽しかった!!)

子どもは生まれたときから死を待つだけでした。
心臓の負担を減らす為、両手・両足を縛られ機械に縛られ死を待つだけ。
絶対に助かると信じていたのに治療法も見つからず天国に行きました。
死んでから機械を外され初めて子どもの顔を見ました。傷だらけの顔でした。死を待つだけの命なのに縛られ傷つけられ死んで行きました。

純粋に生きる子が欲しいと願っています。
ニュースで着床前診断を反対派の方が
「行為としては差別そのもの。」
「私たちに死ねと言っている様なもの。」
私には発言の意味が分かりません。
大事な事はこれから生まれる子どもの命と、今障害をお持ちの方が差別と感じる事がない社会になる事ではないのでしょうか?

(大谷レディスクリニック;着床前診断を望む方からの声
 →http://www.ivf.co.jp/letter.html

この「声」自体、
編集されている可能性もあって、
主旨が掴みきれないところがあるのだけれど・・・

望んでも得られないもの、
願っても叶えられないもの、

そういうものが一方にあるからこそ、
「それでも生まれてくる意味」や、
「それでも生きていく価値」があるんじゃないかなあと、
私としては、そんな風に思ってます。

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

*新聞記事画像は、全て産経新聞3/30大阪6版より。

*同じ日に、こんな記事もありました。


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