
およよ!
そんなにくっついて、どうした、どうした?
前にハクビシンが来たことがあったけど、あの時は夜だった。
今はまだ明るいし、虫か鳥?
それとも・・・へ・・ビ・・でもいるの?


そういえば、そらは朝からよく見てたけど、
なにかいても声に出さず、黙ったまま。
もしかしたら、もういたのかな。

夕方になって、ふたり揃って見始めた。

momoが身を乗り出した。
これはただごとじゃないぞ。

momoの唸り声、なにがいるの?
手前の草むらを見ても、なんの気配もない・・

と思ったら、momoの目の先、なにかいる。

駐車場からこちらを見ていたのは大きな猫。
無表情だな、無口だな。
ただ そこにいて こっちを見てる。
momoが家出したときに来た、あの猫に似てるような。
momoの声はどんどん大きくなって、
哀愁を帯びた遠吠えになる。
友だちになりたいの?

もっとこっちに来ないかにゃ。

なにも変わらぬまま
3匹のお見合いはしばらく続いた。

momoがもう一度、ぐっと身を乗り出したとき、
その猫は車の方へゆっくり去っていってしまった。

いつまでも名残惜しそうなmomoを
そらが舐めてあげた。

momo姐、オイラがいるにゃん。
そらの声はmomoに聞こえたかな。

あんたでいいにゃん。
momo、そう言ってあげてよ、にゃ。
窓の外は見るだけの世界。
そんな2匹の夕方でした。