
ベランダに出るのが日課のmomo
山の畑から持ってきたいちごがいくつか赤く色づいています
今朝、突然目の前に現れた迷子のおばあちゃん
全然知らない人なのに
ほんの少し一緒にいただけで
遠くの親戚のおばあちゃんのように感じた人懐こいおばあちゃん。
あったかい気持ちが夜になってもほわほわ残っています。
よく聞く話といえばそうだし、でも今までは他人事だった。
自分に起きてみて初めて湧いたこの不思議な気持ちを
書いておきたくなりました。
記事とは関係ないですが、こんな日々の中の‘ある日‘だったなぁと
思い出せるように写真を挟みながら・・

今日はわたしの住むエリアは資源ゴミを出す日でした。
ダンボールを束ねたものと、紙袋にためた紙ゴミを両手いっぱい出したところで
数日前に思い切って捨てることにした何枚かの服があることを思い出し
二階に上がり、半透明の袋に入れるとサンダルをつっかけて
もう一度玄関のドアを開けました。
紙ゴミを置いてからたったの数分後のことでした。
目の前の歩道におばあちゃんが立っていました。
まるでずっとそこに立っているかのように。
ドアが開いたのに気がついてこちらを見て微笑みました。
でも、困った様子で尋ねられました。

この間の日曜日 久しぶりの里山は 曇り空の下に緑が溢れていました
この道をまっすぐ行くと どこに行けますか?
すごく訛った話し方です。
でも、この歩道では、たまに訊かれることでした。
第一小学校ですよ。
まだ何も気付かなかったわたしが答えると
もうね、うちの子たちはみなおっきくなったから
小学校さ行く子はいねぇのス。
おばあちゃんの前まで出て
初めて見たおばあちゃんの足元は
片ちんばのスリッパ。
あっ・・・迷子になっちゃってるんだ
と気づきました。

里山のキブシ 秋になったら染めてみたいな この実で
どちらから来られたんですか?
荷物は何一つなく、起きてネルのシャツを羽織っただけのような出で立ちなので
すぐ近所の方かしら?とも思いますが、
スリッパはずいぶんくたびれた様子。
そこさ曲がってみたら、さっぱりわかんねくなった。
名前や連絡先がどこかに縫いつけてないか、さっと見回してみてもなさそうです。
既におしゃべりモードに入ってるので
聞けばなんでも答えてくれますが・・・。
わたしは東北出身、昨日福島から来ました。
電車さなんて乗りもんには乗ってきてねぇの。
百姓だから、一里でも二里でも歩くの。
おばあちゃんの出身の街の名前は偶然知っている街でしたが
福島県のちょうど真ん中あたりでしょうか。
そこから兄弟に呼ばれて来たが、二人いるのでどちらにも顔を出さないとならないから大変だけど
そう長くはいられないもんでしょ、でもいないとねぇ、・・・
お話は尽きそうにありません。

タツナミソウ この花が咲いていた場所はもう今は造成されてありません
去年の秋に掘って持ち帰りました 種がこぼれる頃山に返します
ゴミを出すタイミングでしたから
Tシャツにジャージ、エプロン姿。
まだ髪も梳かしていないし、顔もどすっぴんでしたが
ちょっと待っていてねと声をかけて
鍵を閉めスマホだけ持って一番近くの駐在所に行くことにしました。
ありがとね~
ありがとね~お姉さん
親切でありがとね~
よく回るお口でしゃべり続ける合間に
何度もそう言って
手を繋ぎ直しました。
スリッパで相当歩いてきたのでしょうか
引きずるような足取りで
ちょっとした段差も怖そうにする様子から
よくここまで転ばずに来たなぁと
なんだか身内のようにほっとして 親しみすら湧いていました。
わたしの母と似通った年頃でしょうか。
話す内容がコロコロ変わるのもおなじ、
母だって、いつこうやって迷子になるか。

去年初めてひとつだけ蕾をつけたスイカズラ 今年は爆咲き(!?)
駐在所までの長いような短いような道を歩いていた時
仕事に向かう知人が、目配せしながら自転車で追い越して行きました。
あまりに親しげに話していたから、本当に親戚かと思ったでしょうか。
それともわたしの格好を見て察してくれたでしょうか。
わたしだって、ゴミ出しのタイミングじゃなかったら、
仕事に向かうタイミングだったら、どうしていたでしょう。
もしかしたら、電車の時間ギリギリで自転車を飛ばしていた頃のわたしには見えていなかっただけで
こんなことがあったのかもしれないな。
そんなことを思いながら駐在所に着くと、駐在さんはちょうど見回りに出かけていて
代わりに奥様が対応してくれました。
いろいろ訊かれる度に、たっくさん説明していたけれど
わたしに教えてくれたのとは苗字、違ってるよ、おばあちゃん。
でもその後の話を聞いていたら、わたしに教えてくれたのは旧姓だったのかもと思い当たる。
「おばあちゃんに、ちょっと散歩に行ってくるって出かけてきたの」
えっ、おばあちゃんのおばあちゃんに?
きっとこの街に住んでいるおばあちゃんなのでしょう。
少し考えればそうに決まっている状況です。
でも、道すがらにあまりに一生懸命に話してくれた遠い昔のある日のことを
すっかり今の時間で受けとめてしまったわたしに
帰り道一人になって気がつきました。
やられたよ、おばあちゃん。
最近ニュースなんかでよく耳にする事柄ですね。
でも初めて自分の身に起きてみて
反省もしましたし、これからは、とも考えました。
心配したご家族は、まず警察に届けるでしょうから
きっとおばあちゃんはご家族の元に帰られたことでしょう。

名乗らずに送られてきた母の日の贈り物
すっごい嬉しかった 忘れたくないな~
いつか行く道ならば
人懐こい人でありたい。
わたしの祖母もそうだったように

