「何千年もの間、人間の精神と心情はこの存在しない獣にかかわってきた。古代中国にこの獣は生息していた。そして今なおこの獣は溌剌 (はつらつ)と現代文学を駆け抜けている。われわれが最初に一角獣と出会う場所はメルヘンである。」
R・R・ベーア著「一角獣」より
私が初めて一角獣に出会ったのはまだ小さかった頃に読んだ萩尾望都の短編漫画「ユニコーンの夢」です。お話しはとても哀しいもので当時はその世界観はまだ理解できなかったのですが、「ユニコーンは未来の夢を見せる」というセリフにずっとあこがれを抱いていました。
次にユニコーンに出会ったのは大学で西洋美術史を専攻し、中世ヨーロッパの世界にすっかり魅了されていた頃です。紋章や工剣i、絵画などあらゆるところにユニコーンはおりました。夢見がちな頃の乙女はすっかり夢中になっておりました。
そして2013年衝撃的な出来事が起こりました。フランス国立クリュニー中世美術館の至宝 1500年頃の作《貴婦人と一角獣》が来日したのです。しかも6面の連作タピスリー全部が!
美しい貴婦人と五感の寓意画。とてもきれいで何時間も美術館で見ていました(東京までわざわざ見に行きましたからね。大阪で展示する時に展示数が減るといやだったので)
でもその時強く思ったのです。私が一番好きなのはやはり連作として物語のあるメトロャ潟^ン美術館クロイスターズ分館所蔵の連作タピストリー《一角獣狩り》の方だと。もし私が描くならこっちだと。
物語はしごく簡単。水を清めて国を富ます不思議な力を持つ一角獣を狩人が処女の力を借りて捕まえるというもの。最後は柵に入れられ鎖につながれ血を流した一角獣の姿で終ります。これが今回の元絵である「囚われの一角獣」です。
368×251.5cmもある巨大な作品をその花一つ分ぐらいの画面に描くという無謀なことをしたため、描き始めてからすごく後悔しましたが…
細い線が描ける筆に出会うまで何本も探しまわって四苦八苦。花がこまかいので自分がどこを描いているのかわからなくなり七転八刀Bいくら時間があっても足りないと感じ、花は「貴婦人と一角獣」の花を取り入れました。そちらの方が花が千花文様(ミル・フルール)としてデザイン化されているので描きやすいのです。
それでもなかなか終らない…
焦りました。
描いている最中はとても未来の夢を見るところではありませんでした(笑)
描き終わった時は搬入のことしか考えられず、搬入し終わった時はグッズのことしか考えられず、それが終った今やっと落ち着いて顧みることが出来ました。
展示会場で見てもらったらわかると思いますが、私が描いたのは「囚われの一角獣」の物語の続きです。ユニコーン自身が見るだろう夢です。森のペンギンたちが大活躍します
そして描き終わった私は、未来の夢をはっきりとした展望の形でユニコーンに見せてもらいました。その為にはこれからたくさんの努力をしないといけないのですが、腹がくくれたので頑張れそうです。
皆さんはユニコーンに触れることでどんな未来が見えるのでしょうか。ぜひ展示会場でユニコーンに夢を見せてもらって下さい。
Kunio Gallery10周年企画
関西のイラストレーター
~101人TEN~
期間 2016年7月7日(木)~2016年9月15日(木)11時~19時(第1・3日曜18時まで)
定休日:土曜・祝日・第2・4・5日曜 天神祭宵宮の7月24日(日)は臨時営業(11時~18時)
場所 クニオギャラリー(イラストレーター佐藤邦雄氏のギャラリー)
http://www.kunio.biz/town/kuniotown.html
毎週金曜日の午後3時からのティーパーティには、ちょくちょく顔をだそうと思っています。
夏の暑い間の展覧会ですが、期間も長いことですし、お時間を作ってぜひお越しください。
さて、「通ペン閣のペンギン展」のDMできました。いよいよペンギン展が始動します。
「通ペン閣のペンギン展」
ペンギン作家6名のグループ展
11月25日~27日
ギャラリーカフェ キリン
http://www.eonet.ne.jp/~kirin-cafe/index.html
こちちもよろしくです
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