ブートレグ愛好会

最北のトレーダーです。貴重音源・映像を共有しましょう。

RAINBOW - DEFINITIVE ON STAGE: REMASTERED EDITION

2018年11月18日 | monthly report


以下、メーカー・インフォ抜粋。

本作に収録されているのは、RAINBOWファンにとって伝説そのものとも言えるショウ、「1976念12月16日:日本武道館(夜の部)」。オフィシャルの大名盤『ON STAGE』にも採用され、数々の極上オーディエンス録音でも伝えられてきた名演中の名演。RAINBOW初来日でも格別の名声を誇り、英国ハードロックの象徴的な存在となっているショウです。名作・名録音の宝庫でもあるわけですが、特にサウンドボードの多産ぶりは圧倒的。1回のショウにも関わらず、実に5種ものサウンドボードが知られてきたのです。その中でも長さ/クオリティの両面で特出していたのは2つ。1つはオフィシャル『ON STAGE』デラックス・エディションのディスク2として公開された公式サウンドボード(大阪とクレジットされていますが、これはオフィシャル側のミス。間違いなく日本武道館です)。もう1つは、故コージー・パウエルが所蔵していたカセット・テープ(いわゆるコージー・テープ)です。前者はオフィシャルだけに広く知れ渡っておりますが、後者のコージー・テープにしても幾多の名盤ブートレッグを生み出してきたアンダーグラウンドの勇。どちらも伝説の夜を最高級サウンドで伝えてくれる超絶サウンドボードなのです。
 しかし、ここで普通と違ったのは、この2本の内容が違っていたこと。公式サウンドボードも衝撃ではあったものの、フル収録ではなかった。CD1枚に収めるためなのか、はたまたマスターに不備があったのか、ショウの後半(Stargazerからキーボード/ドラムソロ/Still I'm Sadパート)がバッサリとカットされた不完全版だったのです。そして、コージー・テープはコージー・テープでやはりカットは異なれど不完全。そこで考案されたのが“両者の合体”。公式サウンドボードをベースにしつつ、欠けているパートをコージー・テープで補完。さらにサウンドボードが存在しない数分間(ドラムソロ終盤と終演のOver The Rainbow)を極上オーディエンス録音で補完した最長サウンドボード・アルバム……それが『DEFINITIVE ON STAGE』だったのです。

 ここまでは前回盤のお話。本作は、そのリニューアル・エディションになります。何が違うのかと言えば、マスタリング。前回作も2つのサウンドボードをマスタリングで近づけて繋げていましたが、そのコンセプトはあくまで「公式SBDが正義」でした。コージー・テープSBDを可能な限り公式SBDに近づけ、公式SBD側は歩み寄り程度の調整に止めていたのです。それに対し、本作は「接続こそ正義」。限界まで公式に近づけたコージー・テープSBDはそのままに、公式SBD側も全力でコージー・テープ側に近づけたのです。
 ……と、こう書くと「公式SBDのクオリティを落とした」と思われるかも知れませんが、そうではありません。むしろ逆でピュア・オーディオ的にはアップグレード。ドラムの分離感やギター&ヴォーカルのステレオ感は向上しており、全体のレンジも広がっている。中音域で各楽器がぶつかり合うポイントも軽減され、ヒスノイズとリンクする高域のシンバルの残響音も整えられています。コージー・テープとて伝説のサウンドボードであり、その長所を公式SBDでも再現した……そうお考えいただいても構いません。
 そうしたコンセプトで仕上げられた本作は、さらに自然になった統一感が素晴らしい。もちろん、前作盤の豊かな“鳴り”の方を愛されても無理はありませんし、本作のサウンドを”堅すぎる”と感じられても不思議ではない。厳密に言えば、切り替えポイントが完全に分からないわけでもない。しかし、ライヴアルバムとして通して浸りきったとき、「あれ?」が(少)ないのは本作の方。大見得切って「アップグレード」と言い切っても別に構わないのですが、公式SBDやオリジナル盤への敬意を込め、あえて「別バージョン」と呼びたい……そんなライヴアルバムなのです。