唯物論者

唯物論の再構築

ヘーゲル大論理学 概念論 解題(第三巻概念論の論理展開の全体 第三篇)

2022-07-03 11:13:30 | ヘーゲル大論理学概念論

第三篇 理念

第一章 生命

31a)到達可能な目的としての理念の客観的実在 → 到達不能な目的の虚実の観念

31b)外面的作用因に限定される諸物 → 作用因の手段に留まる有限者の空虚な実在

31c)無限定な普遍的存在としての実在 → 概念における普遍の限定存在としての特殊と個別

31d)自己復帰した自己同一な全体概念としての客観 → 客観に内属する印象としての特殊と個別の主観

31e)作用因と目的因、客観と主観の交互作用の全体としての外面的客観 → 外面的客観を擁立する内面的主観

31f)擁立する内面的主観を主語とし、擁立される外面的客観を述語として結合する理念の絶対的判断

31g)主観と客観を統一する内面的主観としての理念 → 主観と客観の無関心な並存の否定

31h)没落する外面的客観の実在 → 実在化する内面的主観 → 存在と無の否定的統一 → 成としての理念

A.認識と実践の統一

31Aa)特殊概念と客観の否定的統一 → 対自的主観が自己自身を即自的客観から分離して自己に復帰する過程

31Ab)客観的実在と概念が統一した直接的な即自態 → 自己自身を概念把握する対自態

31Ac)主観的自己と客観的自己自身の区別 → 客観を手段にして目的と自己同一する主観 → 生命

31Ad)反省を通じた自己自身の個別の廃棄 → 廃棄による生命の内在的概念の外化

31Ae)外化した内在的概念としての認識と意欲(実践) → 内在的概念の外面的客観としての真と善

31Af)目標に留まる外面的客観に対する抽象的普遍としての否定 → 理念における認識と実践の融和 → 絶対知

B.論理的生命

31Ba)概念の必然が導出する直接的理念としての生命 → 自然生命における外面的自己自身の廃棄 → 実在衝動

31Bb)対自する生命における自然生命と論理的生命の分離 → 肉体と精神の分離 → 個別と普遍の分離

・単純な自己関係としての生命 → 自然と論理の間の手段と目的の自由な交替 → 自律した主観個体

・前提とされた客観の否定 → 主観的力の客観としての擁立 → 主客の否定的統一

・個別の自己自身の否定 → 認識の客観的限定存在である類的自己の擁立

C.自律した主観個体

31Ca)自己自身と同一な客観を擁立する自己 → 普遍的客観(自己自身)と個別主観(自己)の分裂

31Cb)自己による自己自身の創造的前提作用 → 主観的概念と客観的実在の否定的統一(判断)

31Cc)客観を媒介にして自己同一な主観 → 個別理念としての生命個体 → 概念全体と生命個体の対立

31Cd)生命的個体の始元的自動原理としての魂 → 目的に従属する手段としての自己自身の実在

31Ce)魂の述語としての身体 → 手段であると同時に実現した目的 → 自律する身体(有機体)

31Cf)身体の種的自律 → 特殊な自己自身の廃棄 → 自己の普遍化衝動

31Cg)生命体における即自対自態にある前提された目的 → 目的の成果として現れる手段

31Ch)手段(自己自身)に外的な目的(自己) → 自己自身(主観)の廃棄と自己(客観)の実現

31Ci)自己の産出過程であり、かつ自己の産出者である有機体の自己 → 生命的客観

D.生命的客観

31Da)生命的客観における過去的契機に過ぎない主客の否定的統一 → 生命に対する普遍・特殊・個別の外面化

・受容(普遍)…絶対無の単純な直接性 → 全ての外面を単純化した普遍に還元して直観する場

・興奮(特殊)…直観の抽象的観念を具体に限定する衝動 → 感情一般。

・再生(個別)…特殊な自己自身の全体として現れる類 → 個別の自己自身の外面的手段としての限定

31Db)生命体が受容する主客の否定的統一(直観) → 種々の直観への対自(感情) → 感情の全体

31Dc)直観と感情の内面形式としての外面的自己(主観) → 形式に対自して残留する具体的自己自身(客観)

31Dd)類(自己)と個別(自己自身)の否定的統一 → 目的と成る自己の再生 → 自己自身の手段化

31De)個別を手段として種に関わる自己 → 手段(自己自身)を廃棄する自己のジレンマ

E.普遍的客観

31Ea)無概念な客観世界 → 生命体の個別(客観)への関与 → 客観世界の手段化 → 機械論の目的論化

31Eb)生命体の自己否定と自己再生の過程 → 類として現れる普遍的生命

31Ec)普遍的生命の即自的自己(類)と対自する自己自身(種)の分裂 → 反省による自己(類)の算出

31Ed)自己自身の廃棄による個別生命体の死滅 → 擁立される普遍的生命の即自対自態 → 精神

第二章 認識

32a)生命における主観的概念(魂)と客観的実在(肉体)の否定的統一 → 自己同一な表象形式(認識)

32b)魂に対する経験を根拠にした心理学的分析の不適格 → カント式の物自体化した自我

32c)自我了解を通じた魂の自我限定 → 自我における志向と志向対象 → 自己(主観)と自己自身(非主観)

32d)判断における自己(魂)と自己自身(肉体)の統一 → 判断において限定された自我(反省)

32e)循環する自我の論理的限定 → 現象からの超越を拒否したカント式の不可知な自我の否定

32f)精神に至る個別生命の普遍化行程 → 単子論に始まる自我論理の諸形態 → 自我論理を根拠づける論理学

32g)「主観は客観である」との推論 → 対自理念(目的主観)と外面的即自世界(客観的制約)の統一

32h)推論された抽象的理念と具体的世界の単なる中間辞 → 主観と客観の形式的一致 → 主観の実在化衝動

32i)判断における否定されただけで廃棄されていない客観の即自存在 → 目的の非実現 → 手段に留まる認識

A1.分析認識

32A1a)衝動における客観の限定可能の前提 → 区別される概念と客観 → 客観の中に擁立された理念

32A1b)概念による客観の否定 → 概念と所与の区別 → 具体的客観の受容に留まる概念 → 分析

32A1c)分析における既知から抽出した未知の既知化 → 客観の同語反復の実在論 → 進展のない認識

32A1d)主観的観念論における概念の彼岸にすぎない客観 → 未知を綜合した既知の未知化 → 綜合

32A1e)未知を抽出する分析における既知の綜合 → 主観の擁立と客観の所与の否定的統一

32A1f)部分限定と因果限定に対する全体擁立と抽象化の先天的綜合 → 数学的加算と異なる綜合

A2.綜合認識

32A2a)小前提「Aの分析がB」 → 大前提「Bの綜合がC」 → 推論「AはC」

A2a.定義

32A2b)結論概念における「A=C」の単なる直接的統一 → 定義 → 現象を根拠にした現象認識

32A2c)個別(主観的表象)と類(定義)と記述(特殊) →定義における実存の恣意的取捨選択

32A2d)取捨選択における制約

・目的

・対象の幾何学的整合

・対象特性の類と特殊の区別

32A2e)経験的演繹による本質限定 → 第三者的特徴Merkmal → 観念の抽象的要素への還元要請

32A2f)定義の概念的純化 → 定義を根拠づける直接的限定存在の偶然 → 概念と現実の乖離

32A2g)定義の無根拠な偶然を限定する特殊定義 → 定義を根拠づける直接的限定存在の対自態 → 分類

A2b.分類

32A2h)具体的事物が擁立した観念 → 個別を外化する表象(普遍) → 綜合認識(定義)

32A2i)抽象的観念にすぎない定義の特殊限定 → 普遍の部分を成す分類

32A2j)既知の未知の普遍への綜合(定義)に対する既知の未知の特殊への綜合(分類)

・具体の複雑な既知から単純な要素を分析する自然認識

・個別の単純な既知から複雑な要素を綜合する論理認識

32A2k)認識の単純化に示される論理認識と普遍認識の優位

A2c.定理

32A2l)直接的客観を根拠に反対対立する種の区別 → 普遍の原理的同一を前提に矛盾対立する種の区別

32A2m)反対対立が擁立する類の恣意的偶然 → 矛盾対立が擁立する選言的類

32A2n)定義と分類の綜合における恣意的偶然 → 定義と分類を媒介にした個別の対自限定 → 定理

32A2o)定義分類と定理の不一致 → 恣意的主観と対自的客観の不一致 → 定義と定理の不明瞭な区別

32A2p)導出の根拠となる定理 → 外部客観に根拠を持つ公理 → 定義にすぎない公理の論理的全体性

32A2q)実在の完全な全内容の関係限定 → 最初の定義と区別される第二定義 → 類と種差に始まる綜合概念

A2d.証明

32A2r)個別の実在相関と定義の普遍限定を一致させる綜合 → 定理と概念の一致の推論と証明

32A2s)具体的試用による個別と普遍の資格証明 → 個別と普遍の中間辞を成す特殊 → 主観的目的

32A2t)個別と普遍の肯定的同一 → 対象の定義と分類への単なる一致確認 → 形式的証明

32A2u)個別と普遍の同等化と通約 → 反省規定の先行擁立 → 証明の同語反復 → 独断論と懐疑論

32A2v)有限主観の不可知論(カント) → 無限定な主観(ヤコービ) → 形式的証明の否定 → 自由な主観

32A2w)自己限定する自由な実在 → 外化した概念の個別の主観 → 実践理念

32A2x)即自態の自己の客観化衝動 → 対自態の目的 → 即自対自態の個別実存

32A2y)客観的世界の主観的非現実化 → 主観的普遍の客観的現実化 → 善

B.

32Ba)他者の廃棄を通じた善の自己実現 → 即自を伴わない目的に留まる対自態

32Bb)外面的合目的に留まる個別と普遍の統一 → 形式的推論 → 手段化した目的 → 非現実な実践理念

32Bc)「目的は客観的現実である。そして客観的現実は外的現実ではない。ゆえに目的は外的現実を廃棄する。」

32Bd)小前提が含む主観的目的の客観的現実 → 主観的目的の客観化 → 主観的目的の非目的化(手段化)

32Be)大前提が含む外的現実の非客観的現実 → 外的現実の非客観化 → 外的現実の廃棄と目的の自己実現

32Bf)主観的目的の否定 → 実現した目的における主観的目的の客観化 → 目的の即自対自態

32Bg)主観的善の否定 → 実現した善における主観的善の客観化 → 認識と善の一体化 → 絶対理念

第三章 絶対理念

A.方法

33Aa)相互推移する理論と実践 → 理論と実践の統一(絶対理念) → 生命のある人格的対自主観

33Ab)無制約を形式と内容にする論理理念 → 形式=内容の同一形式 → 形式から外れた偶然な内容(所与)

33Ac)内容に対し印象に留まる形式 → 印象の必然的形式限定(純粋理念) → 純粋理念の全体(絶対理念)

33Ad)普遍的絶対理念 → 自己の在り方限定(方法) → 自己自身の認識様式 → 内容を限定する形式

33Ae)限定する無限定な魂 → 推論において主観に客観を媒介する手段

33Af)即自存在を欠く始元の抽象的普遍

・感性的即自存在における存在証明 → 思惟的即自存在の抽象化 → 定義(指摘) → 形式的方法

・思惟的即自存在における存在証明 → 思惟的即自存在の実在化 → 絶対的方法

33Ag)始元=絶対者の流出説 → 始元の事物化 → 始元≠絶対者 → 事物を手段にして自己を実現する主観

33Ah)区別を有する具体の全体に対する反省 → 区別を捨象した普遍の抽出 → 外的悟性による外的反省

33Ai)方法の対象自体における内在 → 対象が含む内在的方法による直接的な普遍の抽出 → 弁証法

B.弁証法

33Ba)弁証法の史的遷移

・エレア派   …物体現象が抱えた矛盾の把握

・プラトン   …非客観的な弁論の主観的才能

・懐疑主義   …学的概念への全般的懐疑

・ディオゲネス …媒介的事実への単純回帰

・カント    …限定された主観と無限定な客観の否定的仮象

         エレア派理解の反省規定への拡張

・ヘーゲル   …媒介的客観の擁立

33Bb)始元における自己擁立 → 直接的普遍の廃棄と媒介的特殊の擁立 → 「主語普遍-述語特殊」の命題

33Bc)主語普遍と述語特殊のそれぞれ具体と普遍への転化 → 「具体-普遍」の偽命題

33Bd)自己は自己自身の他者 → 自己自身を含む自己 → 対自における即自の包括 → 自己自身は自己

33Be)最初の即自否定 → 自己と自己自身の区別の擁立 → 自己自身に対自する全体的自己

33Bf)区別を固定する形式的思惟 → 矛盾の全体を把握する主観 → 区別の否定を否定する統一

33Bg)小前提(最初の即自限定) → 大前提(現れた媒介の限定) → 具体的普遍を擁立する推論

33Bh)自己自身の分析を自己に綜合する主観 → 形式的媒介と異なる主観の絶対無

33Bi)否定の欠けた形式的推論(三段論法) → 直接普遍の即自否定と媒介限定による具体普遍の推論(三分法)

33Bj)即自否定と媒介限定の区別の欠けた三分法 → 正反合の空虚な妥協 → 手段の擁立の留まる推論

33Bk)擁立した手段に対自する推論(四分法) → 擁立した具体普遍と始元の直接普遍の同一 → 推論の仕事化

33Bl)推論が含む分析と綜合の各所の始元化 → 円環を成す一つの生命体

33Bm)単純な始元が複雑な内容を含む矛盾 → 無限定な絶対者の認識不能に対する焦燥 → 観念的始元の否定

33Bn)媒介的認識による全体把握 → 媒介を経た学の円環 → 体系として現れる学 → 学の主観的実在

C.自然哲学と精神哲学

33Ca)自然として存在する概念に解放された純粋理念 → 直接的存在に収斂した純粋概念と実在の絶対的統一

33Cb)自然理念の自由な限定形式 → 自然の外面的客観 → 自然哲学 → 純粋理念の決意 → 精神哲学


ヘーゲル大論理学 概念論 解題
概念論 要約  ・・・ 概念論の論理展開全体 第一篇 主観性 第二篇 客観性 第三篇 理念

ヘーゲル大論理学 概念論 解題
  1.存在論・本質論・概念論の各章の対応
    (1)第一章 即自的質
    (2)第二章 対自的量
    (3)第三章 復帰した質
  2.民主主義の哲学的規定
    (1)独断と対話
    (2)カント不可知論と弁証法

  3.独断と媒介
    (1)媒介的真の弁証法
    (2)目的論的価値
    (3)ヘーゲル的真の瓦解
    (4)唯物論の反撃
    (5)自由の生成

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