ローレンツ変換式は、静止慣性系Sの時空座標(x,t)で、速度vで移動する移動慣性系S’の時空座標(x’,t’)を表現する式である。導出要領を以下に示す。
最初に、以下の式を前提する。
x2/t2 = x’2/t’2 = c2 ・・・前提式1:異なる慣性系での光速の同一式
上記式は、x成分だけで見た空間成分と時間成分の関係式になっている。三次元空間の場合の上記式は、もっぱら以下で表現される。
x2 +y2 +z2 =c2t2
x’2 +y’2 +z’2 =c2t’2
もし上記の一般式の形で表示するなら、前提式1は次の式になる。
x2 =c2t2 ・・・前提式2
x’2=c2t’2 ・・・前提式3
ここで移動慣性系S’の移動速度vをx軸正方向と考え、tおよびxに正値をとるなら、前提式1は次のようになる。
x/t = x’/t’ = c ・・・前提式4
また上記式の分子分母を逆にすると、次のようになる。
t/x = t’/x’ = 1/c ・・・前提式5
さらに前提式2と前提式3の二式の減算で、次の式も得られる。
x2-x’2 = c2t2 - c2t’2 ・・・前提式6
移動慣性系S’の時間進行の差異を無視した場合、慣性系S’の空間座標は、静止慣性系Sの空間座標が移動したものにすぎない。つまりx’は、下記のようにxのt秒後の値となる。ただしここではまだ、t’とtの関係を不問にする。xの値は、移動慣性系S’の移動速度vに対応して、次のように表される。
x’=x-vt
ここでストレートに移動慣性系S’の空間座標が、静止慣性系Sの一定の伸縮空間座標となるのを想定すると、上記式は伸縮率γを用いて次のように表される。
x’=γ(x-vt) ・・・式a:空間座標変換式1
以下要領で前提式4に式aを代入して、時間座標変換式1を導出する。
x/t=x’/t’
x/t=γ(x-vt)/t’ ・・・x’に式aを代入
t’=γ(x-vt)t/x
t’=γ(t-vt2/x)
t’=γ(t-vx・t2/x2) ・・・右辺第二項の分子分母にxを乗算
t’=γ(t-vx/c2) ・・・前提式5を代入。 式b:時間座標変換式1
ここで前提式6に式aと式bを代入し、伸縮率γをcとxとtで表現すると、以下のようになる。
x2-x’2=c2t2-c2t’2
x2-(γ(x-vt))2=c2t2-c2(γ(t-vx/c2))2
x2-γ2(x-vt)2=c2t2-c2γ2(t-vx/c2)2
c2γ2(t-vx/c2)2-γ2(x-vt)2=c2t2-x2
γ2(c2(t-vx/c2)2-(x-vt)2)=c2t2-x2
γ2(c2(t2-2tvx/c2+v2x2/c4)-(x2-2tvx+v2t2))=c2t2-x2
γ2((c2t2-2tvx+v2x2/c2)-(x2-2tvx+v2t2))=c2t2-x2
γ2(c2t2-2tvx+v2x2/c2-x2+2tvx-v2t2)=c2t2-x2
γ2(c2t2+v2x2/c2-x2-v2t2)=c2t2-x2
γ2(c2t2-v2t2-x2+x2v2/c2)=c2t2-x2
γ2(t2(c2-v2)-x2(1-v2/c2))=c2t2-x2
γ2(t2(c2-v2)-x2/c2(c2-v2))=c2t2-x2
γ2(c2-v2)(t2-x2/c2)=c2t2-x2
γ2(c2-v2)(c2t2-x2)/c2=c2t2-x2
γ2(c2-v2)/c2=1
γ2=1/((c2-v2)/c2))
γ=±1/√((c2-v2)/c2)
γ=±1/√(1-v2/c2)
伸縮率γは正値なので、γ=1/√(1-v2/c2)という値を得られる。
したがって、暫定の式aの空間座標変換式1、および式bの時間座標変換式1は、以下となる。
x’=1/√(1-v2/c2)・(x-vt) ・・・空間座標変換式
t’=1/√(1-v2/c2)・(t-vx/c2) ・・・時間座標変換式
(2011/11/23)
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