「完全な形で五輪を行うために延期する」
去年、五輪延期の判断理由を安倍はそう言った。
組織委員会の森会長は、完全でなければ中止するしかないとまで言っていた。もちろん無観客は完全な形ではない。
ボタンはかけ間違えられたまま、東京五輪は開会の日を迎える。
障がい者を虐待をしていた人物に、五輪の楽曲を担当させていた問題は、組織委員会の統治能力が機能せず、辞任での幕引きとしたようだ。次いで絵本作家も辞任するというバタバタまで起きて、しらけにしらけた五輪を象徴する騒動となった。
コロナ禍は皮肉にも、組織委員会の体質や五輪そのものの正体を炙り出した。
不完全な形の五輪はまだまだ問題を生起させそうだ。