特別展が終わるというので昨日思い切って埼玉県立博物館(歴史と民俗の博物館)を訪ねた。文化庁主催の全国巡回展だそうだが、内容の素晴らしさに驚いた。上野の国立博物館でなぜ展示しないのだろうと思うほどの特別展だった。
わたしは、発掘だの古墳だの遺跡だのという考古学には全くの音痴だが、近年の日本の考古学上の発見が、われわれが昔学校で習った昔ながらの縄文・弥生・古墳時代の観念を覆すほどの大発見が続いていると言うことは側聞していた。縄文時代にも稲作がおこなわれていた地域・時代があったらしいなどという話をどこかで聞いたことはある。どういうことなのだろうと思い、はるばる時間をかけて大宮まで行ってみた。行ってみて驚いた。
展示物の多様さ、説明のわかりやすさ、全国的視点からの出土品の相互比較など、準備がよくなされていたことがわかった。写真撮影もほとんど許されていた(フラッシュは不可)。参観者も多く、家族連れから高校生まで、そして我々のような高齢者もいた。考古学ファンとはどうも歴史ファンとは異なるらしいという印象を受けた。
埼玉県行田市の埼玉古墳群 が2年前に国の特別史跡に指定され、世界遺産指定を目指していることは承知していたが、ここには埼玉県出土以外の新発見の遺跡11箇所の出品も展示されていた。日本列島では毎年8000件近い遺跡が発見されているという。
遺跡の表示で c.1750BP - c.1400BP (古墳時代)などとある。BC ではなく BP だ。BPとは Before Present の意味だという。cとは炭素を使った絶対年代測定法のことらしい。各展示品には英語の説明もついており、日本語の説明よりわかりやすく、丁寧な印象を受けた。
これで関東での展示は終わりで、これから全国を巡回するという。古墳ブームなので、多くのファンを引きつけることであろう。
「発掘された日本列島2022」
長野県富士見町・藤内遺跡出土 双眼五重深鉢