宮古島で最も神聖な場所といわれている。
張水御嶽は、古意角(コイツノと姑依玉(コイタマ)の男女ニ神による創世神話や
人蛇婚説話と結びついており、宮古で最古の拝所といわれている。
昔、平良に美しい娘がいた。ところが婿取りをしたわけでもないのに、
娘はいつのまにか身籠っていた。驚いた両親が訳をたずねると、娘は涙ながらに
夜な夜な忍び込んでくる若者のことを包み隠さずに話した。
いぶかしくおもった両親は、若者の髪に糸を通した針を刺しておくようにと言って聞かせた。
娘は言われた通り糸を通した針を若者の髪に刺した。
翌る日、三人が糸をたどって若者の後を追うと、糸は張水の洞穴まで続き、
そこには針の刺さった大蛇がいた。その夜、娘の夢に大蛇が現れて
「私は創世神古意角の化身である。この島の守り神を授けようとして交わった。
そなたは三人の女の子を産むが、三歳になったら子供達を張水まで連れてきてくれ」
と言った。
お告げ通り娘は元気な三つ子を産み、子供達が三歳になると張水へ連れて行った。
今か今かと待ちわびていた大蛇は、すぐに洞穴から出てきて鎌首をもたげ、
上空から娘と三人の子供を見下ろした。娘はその場にへたりこんだが、三人の娘は大喜びで
大蛇に抱きついた。大蛇も親子の愛情を示し、しばらくは子供達とたわむれたが、
やがて光を放ってアッという間に天に昇っていった。
こうして三人の子は御嶽に消えて宮古島の守り神になったという話しが伝えられている。